やまもと+かき峰

2019年11月。

秋も深まり、いろいろと美味いものが出始めるころ、毎度の面々はオンライン(ツイッタ)でいつものように「ばあさんやメシはまだかの~」のノリで、美味い店の話を行っていた。

「海の家ってありますよね」
「ええ」
「あれって冬の間、閉まってることが多いじゃないですか」
「そうですね」
「そんなやつの逆バージョンで、秋冬だけやってる牡蠣の店があるんです」
「へえー」
「瀬戸内の小ぶりのやつなんですけど、なかなか美味しいんですよ」
「いいですね」
「いきます?」
「いつでも」

あいかわらずカジュアルに参加表明。決断が早い。

「ほんじゃ決まり。開催します」
「たのしみですー」

ということで、今回のツアーが組成された。遠方組は、わざわざそのためだけに500km超を移動してくる。行動力が尋常じゃない。

場所は大阪の中心街から阪急宝塚線でしばし移動した、池田。
「伊丹空港からすぐですね。意外と近いですね」いや貴方は羽田から来るんでしょ。まあええか。

***

店は16時開店につき、夜の部になる。したがって昼の部もなんか考えましょう、ということに。

「昼から飲めるとこないですか」
「たくさんあります」
「そうですねえ、十三いきましょうか」
「いいですね」
「ねぎ焼きはどうです?」
「いきますー」

ということでオーソドックスに「やまもと」を目的地にした。

http://www.negiyaki-yamamoto.com/

昼の部に参加するのは、地主と不動産やさんと零細士業の3人である。
なかなか香ばしいエリアに所在する本店について、「土地の匂い」に敏感な地主は、今回はどういう印象を持たれるであろうか。

はい。
その後、界隈の物件調査に。嗅覚するどい地主は、呈された物件について「この建物…築35年の香り…」などとコメントし、関係者を感嘆させていた。

***

そうこうしているうちに、夜の部の時間が迫る。
残りのメンバーと合流し、マルーンのノーブルな電車に揺られ、ガタゴトと目的地へ向かう。

店は大正時代の創業。再開発での移転を挟みつつ、いまの、阪急池田駅降りてすぐのこの店舗では、40年くらいだそうである。(ネット情報)

さて、料理はコース一本のみ。酢牡蠣→カキフライ→土手鍋→牡蠣飯という組み立て。
量が足りないときには個別に追加可能。だが倶楽部会員の平均年齢から想定するところ、おそらく最後の牡蠣飯は完食できないであろう。(その場合には折り詰めしてくれる)

靴を脱ぎ、畳敷きのテーブル席に案内される。膝が弱くてもひと安心。現地集合の参加者も到着し、ドリンクのオーダーと同時にコースが開始。

画像1

(↑ 店の公式webより)

まずは酢牡蠣。小ぶりだから余計な水分がなく、それゆえの美味さ。
続いて土手鍋。最初はオネーサンがセットしてくれる。それをひととおりいただき、次からは自分たちで作る。
その間にカキフライが大皿でドーーンとサーヴされる。ウスターソースでいただく。
鍋もフライも、小ぶりの牡蠣でギュッとした感じがうまい。質実剛健さがある。

さいごは牡蠣飯。出汁を注いて、ワサビと海苔で。
オイスターバーで生のセルガキをウフフー、というような映え感はないものの、なんというかこう、コースのそれぞれの味に統一感があって、しみじみとあ~美味い。となる皿々であった。

***

店を出た一行は、ふたたびマルーンの電車に揺られ、十三で一旦下車。
茶ァしばきましょかとなってカジュアルてっちり屋に赴くも、満席で断られ、代わりの居酒屋にIN。

しばし反省会を開催し、新幹線の最終時刻が見え始めるころ、解散の時。
タクシーに乗り込む者、電車移動の者、ひとり三次会へ赴く者。
行動はバラバラながら、皆それぞれ、牡蠣への再訪を固く誓うのであった。



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