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上腕骨近位端骨折保存 リハビリ


上腕骨近位端骨折保存療法の適応

基本的に転位がない症例に推奨される。
転位がある症例に対しても手術後も骨脆弱性に起因する骨折部・骨片および螺子の転位や合併症により機能回復が限定的となることから保存加療を推奨しているという報告もある。

骨折の分類

Neer分類やAO/OTA分類
 Neer分類は、骨折を起こした上腕骨近位端が小児期の4つの骨端 核(骨頭,大結節,小結節,骨幹部)に分かれる傾向があることを利用した分類である。4つのセグメント相互の間に1cm以上の横転位、あるいは45°以上の軸転位がある場合を転位型骨折(2- part,3-part,4-part骨折)とし、これ以下の転位であれば最小転位骨折(1-part骨折)とする。1-part骨折は骨折周囲の軟部組織が残存した安定型であり、骨への血流も保たれていると考える。

Neer分類
上腕骨近位部骨折の治療原則(Neer)



 AO/OTA分類は、骨折を3型に大別する。すなわち、関節外に1ヵ所の骨折線があるグ ループA(unifocal fracture)、関節外に2ヵ所の骨折線があるグループB (bifocal fracture)、関節内骨折であるグループCである。そしてそれぞれを骨折線の入り方や粉砕の程度などによってさらに細分する。ただ、AO/OTA 分類は骨片間の転位を規定しておらず、Neer分類の用語を用いていてもNeerの定義とは一致しない。

AO/OTA分類
上腕骨近位部骨折の保存的治療と手術治療(OAグループ)

一般的にDrが使うのはNeer分類のため、DrとのデスカッションするうえではNeer分類の知識が保存症例や手術症例において重要なものと考える。

保存治療の成績の報告

・屈曲に関しては、年齢や骨折型に関係なく健患比が80%以上で良好
・各年齢群のROMの比較は、後期高齢者において外旋可動域が低下
・外旋は、前期・後期高齢者3・4Part骨折で健患比が80%未満で不良
・内旋は、前期高齢者3・4Part骨折で患健比が80%未満で不良
※ただし、後期高齢者において健側もROMが低い傾向が認められるため、健側と患側の比が小さくなる可能性あり
・1Partと2Partを比較すると、頚体角・骨頭大結節間距離・屈曲可動域いずれも2Part で有意に低下
・受傷時と比較し癒合時には骨頭骨片は内反変形し、大結節は上方転位する傾向を、特に 2Part骨折以上で認め、その変形治癒の結果,可動域制限が残存する可能性あり

まとめ
関節可動域は、骨折型の問題よりも癒合後の変形度合いによって制限が出る可能性が高い。
 リハビリにおいては、治癒過程を考え変形を助長する運動や日常生活をするうえで注意する動作を指導して行く必要があると考える。

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