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禅的思考とビジネスの親和性(1)

初めまして、櫻井新堂と申します。新堂は法名で2022年5月に得度した際に師匠から頂きました。私は会社に勤めるごく普通のビジネスパーソンでした。そんな時、背中を押されるように57歳の時に独立をし、禅の世界に吸い込まれるように飛び込んでいきました。宗教心も信仰心もありませんでしたが、ビジネスパーソンとして30年強働いてきた中で、なぜこういうことが起こるのだろうか?ということに対し、単純にこの世界の本質、つまり真理を知りたいという欲求に駆られたのです。

NOTEには興味はあったものの、なかなか手が出せないでいたところ(正確にはまだその時ではなかったのかも)、つい1週間前にふと目にした記事をきっかけに書きたい衝動に駆られました。
その記事がこちらです。

「これからの時代こそ、「野中理論」が必要になる」

こちらは早稲田大学の入山先生がハーバードビジネスレビューに連載されている記事ですが、この中で一橋大学の野中郁次郎名誉教授のSECIモデル*が世界で唯一知の創造プロセスを描き切った理論であり、これからの時代に不可欠な理論として紹介されています。さらに、この理論の相性に合うものとして「マインドフルネス」「直感」「センスメイキング」も挙げているのです。

野中先生の著作は色々読ませて頂きましたが、読むたびに仏教や禅についてもかなり研究をされたのではないかと確信していました。例えば野中先生が色々なところで引き合いに出される本田宗一郎さんの「ワイガヤ」のお話も、暗黙知を仏教の阿頼耶識(あらやしき)に見立て、ワイガヤや書き出すことで暗黙知を形式知にすることを仰っています。

実は昨年(2023年)に某企業に対し野中先生のSECIモデルを用いて禅的思考がビジネスには必要であると説明をしたことがありました。暗黙知は本人の体験・体感を踏まえた素養や涵養(かんよう)によりじっくりと薫習(くんじゅう)されるものであり、一般的な知識だけでできあがるものではありません。よって自分の体験・体感を振り返り、或いは行動・実践をしていく中で、自分が持っている暗黙知(これを禅では「本来の面目」と言います)にリーチしていく(SECIモデルの内面化(I)から共同化(S)のプロセス)。これにより事象が表出化(SECIモデルの表出化(E))し、野中先生が仰るところのPrudence(賢慮)やPhronesis(実践知)となっていく(SECIモデルの連結化(C))、つまり禅の「叡智」となると説明しました。
端的に言えば、このSECIモデルのプロセスそのものが禅的思考と言っても過言ではないと、私自身のビジネス経験からも確信しています。

奇しくも入山先生に間接的に親和性についてお墨付きを頂く機会を頂いた訳ですが、もう少し私自身の体験も踏まえ、考察を加えていきたいと思っています。

〜 つづく 〜

*SECIモデルはこちらの解説が分かりやすいかもしれませんhttps://schoo.jp/biz/column/1743


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