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スーツを着るサラリーマンは奴隷なのか!?田端信太郎が著者「ブランド人になれ!」で言いたかった、たったひとつのこと

「そんなに仕事辛いなら、辞めちゃえば?」

これは、僕が5年前に妻と結婚して早々に言われた一言です。その頃の仕事は、大きなプロジェクトのリーダーを任され、経験不足で四苦八苦し、朝の4時に冷や汗をかいて起きているような状況でした。朝は力なく出社し、食事はそこそこに取り、残業は36協定ギリギリまでしました。巷で言われるブラック企業と比較すると大したことはないとは思いつつ、正直、仕事に行くのが辛かった。

「男なんてな、好きなことを仕事にできるほど甘くないんだよ。金を稼いで、家族を養わなきゃならないんだ!」

語気を強めて、そう言い返すのが精一杯でした。


1.田端信太郎「ブランド人になれ!会社の奴隷解放宣言」


突然ですが、記事のタイトルにあるうこの本は、NTTデータ、リクルート、ライブドア、LINE、ZOZOという、その時代のイケてる企業からヘッドハントされるサラリーマンのトップオブトップである田端信太郎さんが書いた、これからのサラリーマンが、どう働くべきかを書いた本です。編集者は、最近TVなどでもおなじみ、編集した本をバズらせまくる、幻冬舎の箕輪さん。

書かれていることは、これからの時代のサラリーマンの生き方、マインドセット。有名企業、安定企業に就職すれば安心とされた、言うなれば会社の奴隷でいれば幸せに生きられるというような神話が崩壊した今の時代、どうサバイブしていけばいいか。その答えが、人々に与える影響力、ブランドを確立し、「ブランド人」になれ、というもの。そうすれば、自らが転職サイトに登録せずとも、ヘッドハンターから声がかかるようになり、クビのリスクを恐れて社内政治や同調圧力に屈するようなこともない、と。


2.強者の論理?

田端さんは、よく"炎上"することで有名だ。もはや田端さんの代名詞であり、それこそ、「ツイッター炎上といえば田端さん」というブランドを確立している。

僕は、ツイッターの炎上にも、3パターンあると考えている。一つは、一昔前に話題になった、いわゆるバカッターのような、誰がどう見ても悪であることをツイッターにアップし、それが拡散されて”炎上”するパターン。もう一つは、49対51のように意見が拮抗しやすい問題についての意見を提起し、様々な著名人含め、時に罵倒しあうほど議論が白熱するパターン。もしくは多くの人がAと思っても、それを口に出してはいけないデリケートな議論に「これはAだべ」とツイートし、Bと思っている人が石を投げつけ、Aと思っている人は静観しがちなパターンだ。

僕の知る限り、田端さんは、上記でいうと2番目、3番目の議論で正論をぶち上げ、「それは強者の論理だ!」と”炎上”することが多い。これは、ホリエモンや箕輪さんはじめ、いわゆるツイッターでよく”炎上”するとされる方達に共通している。これが、バカッター騒ぎの「炎上」とひとくくりにして報道される。彼等が"炎上"しているのは、果たして悪なのか。

3.スーツを着て満員電車に揺られるサラリーマンは奴隷?

2019年8月11日、お盆休みで休暇を過ごしていた昨日、ツイッター上でひと騒ぎがあった。

箕輪さん「ねばならない、って過去の人間が作ったものなのに、今の人間がそれに盲目的に従うのはおかしい。真夏にスーツで満員電車通勤とか、ねばならないの奴隷。」
「奴隷の時代のこの鉄球が、今の時代の思考停止だと思うんだよな。」
「だから、この鉄球がついてる人のおかげで楽しく生きられるって思うより、鉄球みんなで外そうよって言っていきたい。」

その結果。。。

箕輪さん大変だ。低脳社畜が騒いでる
「悪かったな。Tシャツジーンズで出来ない仕事もあるんだよ」
「電車に乗ったことないんでしょ?この時期ネクタイさえ珍しく、上着着用なんて皆無に等しい」
「タンクトップで接客とかされたくないでしょ。過去の人間に縛られてる訳でもなく、ユニフォーム的にスーツはらくだからね。奴隷に見えるなんて視野が狭すぎる。」

そして、我らが田端さんも、休暇中を過ごしているハワイから参戦。

百田尚樹さん「箕輪さん、フリーで大金を得ている人が、真夏にスーツを着て満員電車に乗って通勤する人を、上から目線で揶揄するのはあまりよくないと思う。
日本はこうして真面目にコツコツ働く人たちがいるから成り立っている国です。箕輪さんが大金を得られるのも、そういう人たちがおられるからこそです。」
田端さん「嫌ならやめればいいんですよ。みんな、奴隷なの!?」
「奴隷ですよ。みんな着たくないけど着てる。女房子供を食わすためです。」
田端さん「え!? 就職先を決めたのも、結婚したのも、子どもを作ったのも、自分の意思じゃないの!?」
「本人的には周囲や社会が悪いになります。だから先程の発言が出るワケでして」
田端さん「で、周囲や社会を憎んで、どうするの?
なんか良いことあるのかな?」
「スーツ着ると仕事してる気になるからむしろスーツの方が俺はいいかなw」
田端さん「あははw スーツ着て通勤することが「仕事」なんだw」


上記ツイートは、僕がこの"炎上"騒ぎを側から見てて恣意的にピックアップしたものですけど、これを見て、みなさんはどう思われましたか。「奴隷」という言葉を使われたと思ってる側からすればカチンと来たんでしょうが、果たして、箕輪さんと田端さんは、そもそも誰に対して「奴隷」と揶揄したのか。


奴隷(どれい)とは、人間でありながら所有の客体即ち所有物とされる者を言う。人間としての名誉、権利・自由を認められず、他人の所有物として取り扱われる人。所有者の全的支配に服し、労働を強制され、譲渡・売買の対象とされた。(ウィキペディア)

つまり奴隷とは、自らの意思決定権を持たず、自らの行動はすべて他人の意思決定に委ねられて、労働を強制されるもの。つまりは極端な言い方をすると、「自分の意思を持たない会社の歯車」「与えられた仕事を盲目的にこなすことしかできず、自らが考えて主体的に行動できない無能」に対してではないでしょうか。

まさに、冒頭の僕も、奴隷であったと自覚しています。

4.ブランド人にならなければならない時代背景

高度経済成長の日本においては、企業に勤めて与えられた仕事をこなしていれば、企業が成長する恩恵にあやかって、昇給し、終身雇用も保証され、退職金もたくさんもらえたのかもしれません。そんな時代であれば、会社の歯車として一生勤め上げる生き方は、リスクの低い好手であったと思います。しかし今の時代、熱意を持って会社に人生を捧げようと思っても、その会社の寿命が自分の寿命よりも短いことすらある。つまり、今の時代、一生同じ会社で勤め上げるという思いを持っていても、報われない可能性がある。

また、そのような決意を持って会社に勤めているならまだしも、漫然と勤めている人間が、突然リストラの対象となる時代だからこそ、今の時代は残酷だ。そんな人間が突然リストラされたら、路頭に迷うのはいわば当たり前だ。(そもそも、そんな人間に、それまで給料を支払ってくれていた会社に、感謝こそすれ、会社を恨んで悲劇のヒーローぶるのは、お門違いではないでしょうか。)


そんな時代だからこそ、個人として社会に対し「我こそは、かのブランド人、✖︎✖︎である!」と名を揚げる必要があるというのは、自分のキャリアのためのベターな選択肢として、疑問を挟む余地はないのではないでしょうか。

4.ブランド人になるために

田端さんの著書「ブランド人になれ!会社の奴隷解放宣言」には、田端さん自身がブランド人となった方法とエピソードが、余すことなく書いてあります。

1章 君は誰を笑顔にしたか?
2章 己の名をあげろ
3章 会社なんて幻想だ。大いに利用せよ
4章 市場を支配しろ
5章 発信者たれ!
6章 真っ当な人間であれ
7章 たかがカネのために働くな

書いてあることは、「俺はこう思う!以上!」というものであり、至極当たり前なこと、正論が並んでいる。再現性という観点でいえば、万人がブランド人になれるかは、クエスチョン。実際、この本のレビューには、以下のような辛辣なコメントが並んでいる。

「こんな内容の薄っぺらい本を初めて読みました。
「速読の練習にすらならない、スカスカの内容」
「意識高い系ポエムのような数々のありふれた言葉」
「スカスカ、極論、エビデンス無しの内容で、とても1,50円を出すに値しないです」

しかし、これらのコメントは、この本の意図を理解できなかった方なのかな、と思います。

問題の、本書の内容をざっと抜粋してしておくと、以下の通り。

・汗水だとか、つらいだとか、苦しいだとかそれ自体には一切価値はない。
・今日自分がやった仕事は、どれだけお客様を喜ばせたか考えろ。
・給料がいくら欲しいか。なぜその給料に値するのか。自分の値段を言語化しろ。
・ハッタリをかまして名乗りをあげろ。失うものはない。
・上司とメシなんか行くな。
・ツイッターでフォロワー1,000人を超えない人間は終わっている。フォロワーとは資産であり資本だ。
・上司の前でペコペコして、部下の前では威圧的なカメレオンのような卑怯者は、長持ちしない。正直者でいろ。部下から愛されろ。
・パンツを脱げ。正直者であれ。

いかがでしょうか。ブランド人田端さんによる、ブランド人になるための目からウロコのノウハウとは言えず、当たり前なことばかりでガッカリでしょうか。では、上記の問いや行動について、いくつ言語化でき、実行できていますか。「自分は、昨日の仕事でお客様を喜ばせただろうか」「1,000万円給料欲しいと思っていたけど、自分が会社に提供できる便益ってなんだっけ?」「部下の相談に対して、仕事の手を止めて聞いてあげれてないな」等、わかっちゃいるけど出来ていないことが、ものすごく多いことに気づきます。

この本に記載されていることは、何も魔法の言葉はありません。田端さんからの正論をきっかけに、これまでの自分を内省し、明日からの行動を変えるための本です。

4.奴隷から解放されるために必要な、たったひとつのこと

そして、この本の最後に書かれている一節が、以下のとおりです。

この本を最後まで読んでくれた君は、ブランド人とは何たるかを理解したはずだ。あとはもう、行動あるのみ。この本を何度も読み返してくれるのもいいが、さっとゴミ箱にでも捨てて行動することこそ、最大の価値がある。

すなわち、自分のやるべきことを決め、自分の信念に従って、行動するのみ!これまた、文章にすると当たり前すぎることだけど、これこそが本書の結論にして、おそらく田端さんが最も言いたかった、たった一つのことであると思っています。四の五の言わず、自分の信念に従って、行動を起こせ、と。


果たして、今回の"炎上”騒動で奴隷と言われたちは、自分の信念に従って、行動していないことが問題とされ、奴隷と揶揄されたのだ。

スーツを着る事が業界のデフォルトで、嫌々スーツを着ているのは、自分の信念に従った行動なのか。もちろん、スーツをビシッと着こなしていなければ、取引先と会えない業界は今もたくさんあることは真理だ。アメリカのドラマSUITにも、以下のようなやり取りがある。

先輩弁護士「それは自分のスーツか?新しいのを買え。法律の世界では、着ているもので値踏みされるんだよ。」

だがそこに、自分の選択があったのか、業界のデフォルトにただ従ったのか。その選択があったか否か。同じスーツを着ているという結果であっても、実態が奴隷的に働いているのか否かは、変わる。奴隷として働きたくなければ、全ては自分で選択しなければならない。

例えば会社に転勤を言い渡された時、自分はどうするか。その会社で昇進する目標のために転勤を受け入れ、転勤にあわせて家族を連れて行くのがベストな選択なのか。単身赴任して悠々自適に地方で暮らすのか。クビ覚悟で拒否するのか。もしくは、転職するのか。転職するとなれば、自分に市場価値がどれだけあるのか。年収を増やせるのか、減るのか。年収が減るから、転職を諦めて転勤を受け入れるのか。

仮に自らの能力不足が原因で転職を諦めて、嫌々転勤するのであれば、それは会社に押し付けられたのではない。まして、家族を養うためと、家族のことを言い訳に使うべきではない。それは、転勤を断る材料もない、自分の市場価値がないことが原因であり、自分を恥ずべきことであるから。

そんな状況に陥らないために、今の会社と交渉するカードとして、ひいては奴隷から解放されるために、普段から自らの行動を内省し、常に正しい選択をし続け、アウトプットし、市場から注目されるブランド人にならなければならないのだ。

ちなみに僕はいま、ブランド人とは程遠い存在ですが、転職活動を経て自己分析し、自分の市場価値を知り、今は会社の人間に言いたいことを言って、ストレスフリーに働いています。

スーツを着て出社をしますが、奴隷とは思っていません。ドレスコードがスーツと指定されていて、一見自分の選択の余地はないように見える環境ですが、それはその会社に勤めると決めた自分の選択の結果だからです。


問題は、自分の腹周りが大きくなりすぎていて、スーツをカッコよく着こなせないことです。こんな偉そうな記事を書いてるくせに、ランニングと筋トレが続かない、こんにゃくの意思は、これから直したい。ということで、これからランニング行ってきます。行動や、行動!


これからブランド人になるべく、頑張って発信していきますので、よろしければツイッターフォローお願いします! (twitter @zephnko2)


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よく言うと、フォルムが、なめらか。

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