サッカーが売れる未来のこと


ここ数年、地方クラブ(特にJ2)において変わってきたなあと感じるのは経営の部分です。クラブライセンスの影響もあってか経営の部分が見直され、外から経営人材を招聘するクラブが増えてきました。かつては「いいサッカーをすれば客は入る」という盲信が支持されていましたが、その流れはかなり薄まってきているなと感じます。


下部リーグからの叩き上げが多いJ2では、こと経営に強いフロントを持たず、サッカーはわかれども経営は知らず状態のまま、競技成績だけでゴリゴリ昇格してJリーグまでたどりついてしまう傾向が強かったように思います。いざJリーグに来てみると資金力の壁にぶち当たり、その結果無茶な経営に手を出してクラブ自体の存続を危うくしてしまうクラブもチラホラ。幸い岡山は木村正明元社長がいましたのでその辺りの心配とは無縁でしたが、同じ地方クラブのサポーターとしては同情を禁じえないケースがいくつもありました。



いいサッカーをしても客は増えません。
なぜなら良さが楽しめるお客さんがそもそも少なすぎるから。
求められていないものを必死に提供しても売れるわけがないんですよね。「いいサッカーをすれば客が入る」神話は、そういうターゲットを見誤った考え方でした。近頃ではそういう話を耳にする機会がかなり減りましたが、これは大変によいことで事態は好転しているのだろうと思います。


しかし、
一方でいちサッカーファンとしてはさびしい気持ちを抱くこともあります。


いろいろなクラブの動きを見ると、サッカーの中身を売ろうとしても売れないので、例えばフーズであったりイベントであったり、サッカーの周りの集客要素を押し出すことで動員を底上げしようとするクラブが増えてきました。これは全く正しい方向性で、以前よりもしっかりとターゲットをとらえてお客さんを引きつけようという狙いを感じます。
そうして、サッカー以外の要素が充実していくわけですが、反面本来メインディッシュであるはずのサッカーの存在感は相対的に陰っていく印象が強いです。自分はここが気になっています。
つまり、サッカーの中身を売ってお客さんを集めようという動きが後退しすぎてしまっているのではないかということです。サッカーの興業なのにサッカーの主役感が薄れてしまうのちょっとさびしいなと・・・・・


現状「いいサッカーが客を呼ぶ」は幻想でしかありませんが、いつまでもその状態でよいものか?いいサッカーの中身が一部のサッカー好きにしかウケない状態を変えていく必要があるのではないかと?と思っています。そのためには「いいサッカーがちゃんと楽しめるお客さん」の絶対数を増やしていかなければならないでしょう。失礼な言い方をすれば、サッカーを知らないお客さんに誰がサッカーを教えるのか?そこがこの国では決定的に欠けているところだと思います。はたしてそこに手をつける主体はクラブなのか?サポーターなのか?JFAか?誰かがやらないとそうそうこの状況は変わらないだろう。そういうことを考えています。


クラブを支持するファン・サポーターはすでにたくさんいますが、その中でもゲームを楽しむ層をどんどん広げていくことがより深い文化の醸成には欠かせないのではないかと思います。そういった層を増やしていくことで、サッカーの中身で客が呼べる未来に近づくと楽しいだろうなあ。

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