『ネガティブ発言するサポーターは追い出せ』について語り合うファジサポのAとB
B「あのさあ」
A「お、どした?」
B「ちょっと・・・」
A「ん?」
B「どうにも納得できないことがあってさ」
A「へえ」
B「まだ冷静になれてないんだけど、話聞いてくれる?」
A「ああ、いいよ。どうしたの?」
B「こないだ横浜FC戦があったでしょ?」
A「ええと、ルヴァンのホームゲーム?それともリーグの?」
B「リーグの方」
A「ああ、あの土砂降りの雨の試合か。1-3で負けたやつ」
B「そうそう。その試合に前から誘いたかった友人を誘って行ったんだよ」
A「ああ、そうだったんだ。いやー、それは天気がアンラッキーだったね・・」
B「うん。前々から準備してて、その日は友人の子どもも連れてったのね。マサキくんって言うんだけど」
A「え?すごいね!」
B「でも、試合内容は結構しんどい感じだったじゃない?」
A「まあ、確かに・・」
B「正直頼むからもうちょいいい所見せてくれよって。友人の心をつかむような何かをもう少しくれよ!って思ってて」
A「うん、わかるよその感じ」
B「友人は一応おもしろかったよって言ってくれたのねそのときは」
A「おお」
B「でも、後日ちょっとした事件があってさ」
A「え?」
B「マサキくんが学校に行ったとき、試合見に行ったことを友達に話したんだって」
A「うんうん」
B「なんか学校では親も子もファジサポみたいなひとが結構いるらしくってさ」
A「へえ、そうなんだ」
B「そういう子たちと話ができるかも?って友人は思ったらしくて」
A「共通の話題になりそうだもんね」
B「でも、マサキくんとしてはあんまり試合がおもしろくなかったから、友達に”おもしろくなかった”って感想を伝えたらしいんだよ」
A「なるほど」
B「でも、それが・・・」
A「え?なになに?」
B「”チームががんばってるのにおもしろくないとかネガティブなこと言うやつは敵だ!”って」
A「・・・ええっ」
B「”おまえみたいなやつに応援してほしくない”って、言われたって」
A「子どもは残酷だな・・・」
B「それでマサキくんもガッカリしちゃって”もう二度と行かない!”ってなってしまって。俺、なんかすごく申し訳なくて。何度も友人にごめんねって」
A「うーん・・・」
B「友人は”気にしないで”って言ってくれたけど、そんなの無理じゃん?」
A「無理だね」
B「自分の気持ちもどうしたらいいのかわかんないし、友人になんて言えばいいのか?もわかんないし、もうなんか・・・」
A「そうかあ。でもなんで学校の子どもたちはそういうことを言うんだろうね?」
B「そう思って聞いてみた。俺も疑問だったから」
A「ほお!」
B「そしたら”親とか大人たちがそういう風に言ってるから”らしい」
A「ああ」
B「大人たちがチームに対してネガティブなことを言うやつは敵だ、とか。そんなやつは応援しなくていいとか。スタジアムに来るなとか。そういうことをよく口にしてるみたい」
A「いやぁ・・・」
B「サポーターって応援するのが仕事みたいなもんだと思うからそういう考え方が普通なのかもしれないけどさ」
A「うーん・・・」
B「でも、そうじゃないサポーターを追い出すみたいなこと言う権利あるのかな?って思って。何様なんだろう?ってムカついてきてさ。そんなやつらがいるからマサキくんみたいに嫌な思いする子が出るじゃん」
A「うん」
B「こっちは一生懸命準備して、友人の都合と合わせて、説得して。なんとか試合に来てもらってさ。それで土砂降りで」
A「そうだよねえ・・・」
B「過ごしにくくて悪いなぁって思いながら少しでも楽しんでもらおうって思ってさ。なのに試合は惨敗みたいな感じで。まあ、そこは勝負だから仕方ないよ。俺もさすがにその辺はわかってるから」
A「うんうん」
B「それでマサキくんの学校の話聞いてさ。もう、なんだよ!?って。さすがに納得いかないっていうか。こっちの努力を全部台無しにする権利そんなやつらにあるわけ?って思って。ふざけんなよ!って」
A「まあまあ」
B「なんなの?チームを応援したかったらネガティブなことは言っちゃダメなの?非国民なの?そういうやつは追い出せばいいってこと?同じ考えかたのやつだけ集めてやるから、そういうやつは来るなって?そういうことなの?」
A「まあまあ、ちょっと落ち着きなよ」
B「納得いかないんだよ。そういうの」
A「うん、どういう話なのかわかったよ」
B「Aは俺よりサポーター歴がずっと長いからさ。こういう話どう思う?」
A「そうだね。長いことチームを応援していると、どこかでいずれぶつかるやつだよねこういうテーマは」
B「うん」
A「うーん、どう言おうかな・・・・。そうだな、まずBの気持ちはめちゃくちゃわかるよ。まずはそこからだな」
B「うんうん!」
A「マサキくんみたいな思いをする人が出るのはいいことじゃないよね。だって新しく来てくれた人が”もう二度といかない!”ってなっちゃってるんだもん。誰も得しないlose-loseな現実だしさ」
B「俺もそう思う」
A「ただ、付き合い長い分Bのことをよく知ってるから、ひとつ厳しいことをいうとBも最初は”チームにネガティブなこと言うやつはサポーターじゃねえ!”みたいなこと言ってたんだよ?」
B「え・・・・・」
A「最初の方だからもうあんまり覚えてないかもだけど。正しいことをしているのだからそうじゃないやつは出ていけばいいみたいな感じのことちょくちょく言ってたんだよ」
B「あっ・・・」
A「Bは正義感強いし、熱いタイプだからね」
B「・・・・」
A「たしかに、チームを鼓舞することはいいことだと思うし、ネガティブなことを一切言わないのもいいことだとは思うよ」
B「・・・うん」
A「でも、そうしなきゃいけないってルールなんてないよね?だって客だぜ?お金払ってチケット買ってスタジアムに入場してさ」
B「そうだね」
A「なのに、他の客がその”いいこと”に参加しないからって理由で”そんなやつはいらない”なんていう資格ないよね」
B「うん」
A「暴力とか行き過ぎた暴言とかはダメだと思うよそりゃあ。でも、チームに不満を漏らしたり批判したり愚痴ったりって、そんなの自然なことじゃないの?って自分は思うよ」
B「そうだよなあ・・・」
A「どんなに強いチームでも全試合勝つわけじゃない。なかには不満の残るようなゲームだって当然あるわけで。そういう勝ち負けを見にいくんだし、喜怒哀楽があるのが普通だと思うんだよな」
B「うん」
A「なのに、ネガティブな感情を持ってはいけない!言ってはいけない!みたいなの不自然じゃん。チームがうまくいかないときとか、多かれ少なかれネガティブな気持ちがわいてくると思うよみんなの胸中では」
B「うん」
A「そしてそういう気持ちを抑えながらそれでも前を向くんだよ!って態度は素晴らしいと思う」
B「うん」
A「でも、みんながみんなそうしないといけないルールはないし、そうしない人が劣っているわけでも間違ったことをしているわけでもないでしょ?」
B「そうだな。マサキくんみたいにつまんなかったらつまんないって言うのも自然なことだもんな」
A「そうそう。でも言えない。言わせない空気がある」
B「言うと、今回のケースみたいに悪者扱いされてボコボコに言われちゃうわけか・・・」
A「そういうネガティブなことを言う人を見下してしまう人もいるんだよ。チームを守るのがサポーターなのに、ネガティブな発言をする奴は守らない奴だから敵だと。敵だから叩けばいいと。ネガティブさと向き合えないどうせ弱い奴なんだ、と」
B「いや、それは・・・」
A「その一方でサポーターは増えてほしい!と願ったりしていて」
B「いや、あべこべじゃん!」
A「そういうことをBも言っていたんだよ」
B「いやあ・・・」
A「まあ、何を隠そう自分もだけど・・・」
B「いや、お前もかよ」
A「相当昔の話だけどね(笑)・・・気持ちいいんだよね。いいことしているときって。何かの役に立っている!とか、正しい道を歩んでいるんだ!みたいな。そういう高揚感みたいなものがあったり。あとはそうなれないやつを見下すような優越感もあってさ」
B「うん」
A「だからその分危険でもある。ついついそう思ってしまう。凝り固まってしまう。決めつけて排除したくなっちゃう。気持ち悪いやつを追い出してより居心地よくしたくなっちゃう」
B「でも、そうすると」
A「マサキくんみたいなひとが出てくる」
B「いやあ・・・」
A「正義感、高揚感、優越感に浸ってるうちに、誰かに嫌な思いをさせて二度と来ねえ!って思わせちゃう」
B「うーん・・・」
A「だからwin-winにするためにはどう考えたらいいんだろうなあって」
B「Aはどう考えてるの?」
A「それは教えない」
B「え、なんでよ?」
A「いや、せっかくBがきっかけを得たんだから、Bが考えて答え見つけなよ。自分はそれこそ昔にきっかけがあってそんとき考えたからさ。まあ、そこから修正しつつ今があるけど」
B「そうか、そうだな」
A「マサキくんや友人にどういう言葉をかけたらいいか?難しいけど、考えてみたらいいんじゃない?」
B「うん」
A「もし、もう一度ファジの試合に来てくれるなら今度はみんなで一緒に楽しもう」
B「わかった、ちょっと考えてみる」
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