【SuzuriPeopleでは制作話が会員限定でしたがこちらでは全体無料公開にしてあります】


 「おっさんずヌイ活動」自体は#01「ことはじめ」で見て欲しい朧月院です。はい、タイトル通り、革ジャンをぶっ壊して資材にしたんですよね。それで作った帽子を紹介するぜい。革ジャンつっても普段着てるよーなSCHOTTとかのいいやつじゃないですよ。昔、ロシェルからリプロダクトレザーの気軽な薄手のラムレザーものが出た頃に何着か集めたの。うん。でも着ないままカビて捨てたのとかあった。ははは。そして残れるウルトラソウル、ッ、じゃない、ダブルライダース。それバラしました。

 ほらね。

 裏地を剥いで革ケアして帽子のパーツを裁断したとこ。リプロだから元々継ぎ接ぎされてるもんで各革の面積が少ないんだよね。広いとこから優先的に取ってる。

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 で、これがその後にどうなるか。の前に、別の分厚くてほんのすこーしの余り革で別のパーツを作って。スリンクも写ってますがこのパーツは中々丁寧な作業だよ。詳しくは後で教えるぜい。ヒントはだいぶ前の記事にある「隻眼屋」。

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そして、こうなった。

 どーん。

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 かっくいいっしょ。これめっちゃちっさいんだぞ。弟ぬい君のなのでね。シガーとの比較画像どぞー。と、弟ぬいが云ってます。ほら。

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やあ。弟ぬい出てきましたね。着用写真いくぞー。

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 ふははは。ぽてんとこけそうになるくらいの重たいリアルレザーの帽子だぜ。八枚接ぎでベースボールキャップとキャスケットの間くらいの感じ。これね型紙造るの苦心したんすよ。でもまあ、サンレモンさんのキトンシリーズの子の中でもここまでゴーカな帽子を誂えて貰ってるやついないだろう。

 弟ぬいよ恐れ入ったか。こう云うガチな感じが、おっさんずヌイだ。

 じゃ、細かい制作話はここからにします。な、ここまでの無料公開分でほぼほぼ見れるようにしてるから。今後も「おっさんずヌイ活動」にお付き合いの程。




 えーとね、元の革ジャンの写真もあって先に載せようと思ったんだけどさ、容量がでかすぎたみたいでエラー出るから別に元の革ジャンの写真って要らんよな、と思ってやめたの。うん。いや、一応云っておいただけ。

 じゃ、制作話的な感じの流れでいきましょーか。

 先程の写真の再掲も混ざるけど分かりやすくしてるつもりなんで、すまんね。先ず先程のこれね。これどーなってるかってと、背面の比較的広く取れる二枚の、質の似た革、リプロだから質感変わってきちゃうからね、それをまたリプロしてるわけやけど、そっから取ります。写真上部にあるパーツが、八枚接ぎにする帽体部分だ。それとサイズテープ兼パイピングにする、被り口の部分の長いパーツ。ボタンにするとこは後から取ったよ。

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 ねー無残な革ジャンっすねー。んでも失敗できないから、型紙に苦心したってのは、僕が中学ぐらいから布帽子を作ってた時の本なんかの人間サイズのキャスケットの型紙を元に、定番のクラフト紙、写真の一番上に入り込んでますが、巻きで持ってるんで、これと養生用マステを使って、描いたり切ったり貼って組み上げたりばらしたり切りなおしたり足したりまた組み上げたりして、ってな試行錯誤して作った、としか云い様がない。うむ。要するに紙でシミュレーションをするわけ。そんで漸く裁断。柔らかいラムの裏革だったから鉄筆じゃなくてチャコで引いちゃった。裁ちばさみで切っちゃった。で。その後。

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 普通に帽体を造る様にミシン縫いしたんだけど、厚みの限界まで。そのほうが継ぎ目が綺麗だからね。上の方は重なりが多すぎて開いてます。でも問題なーい全然なーい、ん、これ何だっけ聖飢魔Ⅱの。問題なーい全然なーいってあったよね。度忘れしたや。まあそれでね。さっき説明した長いパーツを革縫い針でざくざくと縫い合わせたとこ。中表と外表は、空間認知力の高くて帽子を分かってる人なら見てわかる。はずだ。つまり外側には細くパイピングされる形になり、内側にはサイズテープ的に長く伸びるものを一枚でやってるわけ。簡略化するの好きだからね。縫い慣れてくると無駄なトコ縫いたくないの。うん。縫製とかやってきた歴長いからカンだよね。

 それと、これ。トップボタンだよ。

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 見ての通り、つるりと丸い面を下にして、共革の端切れをぐし縫いにして絞って包み込むわけです。多分ね女性で飾りボタンのヘアゴムとかの小物を作った事ある人なら分かりやすいかな。やり方はまんま。だけど分厚いので、端っこが巾着の持ち手側みたいにたくさん残る。それを活かします。革ボンドで最終的に固めちゃうから。うん、だからさっきの帽体も、天辺が縫いきれなくて開いてていいんだよ。この、くるみトップボタンの足部分を差し込むつもりだったわけです。成功したね、見事に。

 それと、さっきのこれ。これ肝要。ツバ部分。

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 これな、カウレザーの、「隻眼屋」の部材の残り。「隻眼屋」は眼帯用に厚みも考えて鋤き厚指定で仕入れてたから、かなーりガシガシのしっかりした革。その代り馴染んでくるとめっちゃいい感じなんよ。宣伝じゃないです。はい、宣伝ぽいかな。でもね全然残ってなくてもうあと一つも作れないと思うくらいしか部材無くて僕も笑った。

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 こんなギリギリで取ってるんやもん。何となく圧着ローラーも一緒に写ってる。レザークラフトやる人とかには馴染みのあるツールかな。ま、これを鉄筆で型描いて、革包丁で切り出して、トコノールでトコ処理して、コバをさっき写ってたスリンクで丁寧に磨いて、ぴっかぴかの、パーツができるわけ。ツバになる部分の。ツバはねーどうしても一枚革でバチっと造りたかったのね。自然に曲がったりしてるうちに味が出る感じにね。レザー好きにはたまらんやつね。へへへ。

 で。そのツバの端に帽体が載る部分、および、帽体に折り込んだ長いパーツの内側ね、それと天辺の隙間にトップボタンの足を差し込むとこ、に、革ボンドをヘラで慎重に塗って、一気に形作ります。んで、作業板の上で成形し乾かし固める事数日。その状態がさっきのこれだね。

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 本格的なレザーキャップになってますよねー。でもちっせえんだホント。仕上がりをまた貼っておくよ。別ショットにしとくね。弟ぬい猫春くんのサービスショットである。ふはは。

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 そそ、このレザーコンチョの事も前に書いたよね。パートナーさんが大昔ワンスターのスタッズが一つだけ残っちゃってレザーやってる方に真鍮スタッズとそのワンスターでレザーコンチョにして貰ったって。ちっせえぬいのくせに本革アイテムを二つも身に着けてやがる。かわいいやつめ。と僕とパートナーさんは思ってますけど、いい歳こいた大人が、ねこぬいにハンドメイドレザーをこんなにふんだんに身に着けさせるとか、ねえ。ホント、逆説的にね、いい歳こいてるから本格派になるんだよ。自分たちが身に着ける物も質のよいものになってきたわけだから。革の種類とかも拘りますしね。そーいうとこが、「おっさんずヌイ」の肝の部分。今時オッサンしか拘らない様なレザーの使い分けとかしちゃって作って着せる。そこ。そこですよ。そこなんですよ。分かりますか。分かりませんか、ねえちょいと奥さん。え?分からないっちゃあ、あんたも無粋なお人だネ。オッサンのロマンをぬいにもぶつけるのが「おっさんずヌイ活動」なんでい。てなわけでヨ、何だか知らねえが江戸っ子になっちまったとこで、今回はここまで。ほらほら、又の機会に別のも載せっから、そん時ぁちょいと見に来とくれよ!

20190726

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