「地雷と未来と掃除ロボット~デスゲームを添えて」第1話(完結済み)

あらすじ
未来からきたエージェント、シス・フェディエは教師に変装して任務のため潜入している。この学校の生徒であるこれまた未来から来た魔女藤宮ミネを暗殺(または無力化)するためだ。自然なノリで藤宮ミネを面談という形で誘い込むもシスの正体は実はバレバレで!逆に藤宮ミネの罠にハマってしまう!ピンチになるシス!だがシスの様子が少しヘンで…?具体的には頭が悪い。有利な展開なのにシスに振り回されるミネ、ミネの方もシスの容姿を気に入り虜にしようと苦戦する。果たして各々の目的は果たせるか?その行く末を見守る掃除機ロボットの存在は?こんなはずじゃなかった!

あらすじ本文267文字

#創作大賞2023 #イラストストーリー部門

「病気で休職してしまった白鳥先生の代わりにこのクラスを担当させてもらう、シス・フェディエです。名前と見ての通り金髪で外国人ですが、日本に住んでからは長いので日本語は流暢です。急にクラスの担任が変わってしまって皆不安だろうけど、なんでも気軽に相談してね」 
「・・・それではホームルームを終わります、なにか質問はありませんか?」
「はーい!2-A16番の藤宮ミネですっ!センセー最初になんでも相談してください!って言ったよね!えーとじゃあ!センセー彼氏とかいるんですか?」
「何でも聞いて…とは言ったけどそういうプライベートな事は許可していないわ、もっと進路とか部活のこととか…できれば学業に関することの質問なら受け付けるわ」
「えーと、じゃあ彼女はいますか?」
「藤宮さん…だから…先生そういうことには疎いというか…じゃなくて、真面目な質問にしなさい!…ちょうどいいわ、藤宮さん放課後この教室で面談を行いましょう。クラスのこととか…ア・ナ・タのこととかいろいろ聞きたいしね…」
藤宮ミネという生徒はチェーとした顔をするでもそのあと、(センセーと一対一で話せる!)とでも思ったのかにやけた顔をした。
シス先生が教室から去った後、教室は彼女の話で持ち切りである。
「シス先生やけに美人だったよな…優しそうだし、しかもちょっと抜けているところもあって…いい!」
「シス先生といきなり一対一で話せるなんて藤宮がうらやましいぜ…」
「それにしてもよ、なんでシス先生靴を履いていないんだ?普通に不便だろ」
「バカ、お前外国は家の中では靴を履いて生活するんだよ、それは逆を言えばつまり仕事場では靴を履かないで生活するってことだろ?よく考えろよ」
「でも確か日本に住んでから長いって言ってたし…そんなことあるかな…うん、あるよな!やっぱ外国ってすげーや!」
「ピピピ、ゴミがたまって掃除できません」
「あ、またピーナッツ君がゴミたまって掃除できなくなってんぜ、ほんとポンコツだよなこの掃除ロボ」 
…しまった現代では靴を履くことが常識なのか、これは初日からミスってしまった。教室内の会話を盗聴しながらシス・フェディエは考える。
シス・フェディエは未来人の、ある任務を負ったエージェントである。その任務とはこの学校にいる、ある生徒が未来から来た危険因子であるとの報告を受けその生徒を始末(あるいは無力化)するためにこの学校に教師に変装して未来からやってきたのだった。
そのある生徒とは先ほど無礼な質問を投げつけてきた、藤宮ミネである。彼女は危険思想、魔法や呪いが発達した未来からやってきた未来人でこのまま彼女を放置したら、この世界に何か不都合なことが起こってしまうのでは…?という懸念からシスの雇い主は藤宮ミネの始末を命じた。折を見てこちらから藤宮ミネのほうに仕掛けようと思っていたのだが…ラッキーであるまさか彼女から話しかけてくれるなんて…意外と人みしりなシスにとってとてもありがたいことだった。放課後二人きりで会う時間も取れたし、その時に持っている銃でズドンして、あとのことは現地の警察に任せて、自分は未来に帰還で任務終了である。対処が雑?しかし彼女は大体このやり方で任務を遂行している、難しいことを考えることが苦手なシスにとってはこのやり方が一番確実でしかも簡単なのだ。もちろんこの世界の警察にとっては迷惑極まりないやり方であるが、未来人は過去人のことを下に思っているきらいがあり、そちらの迷惑はあんまり考えていない、そうは言ってもここまで極端なやり口をするのは、単細胞のシスぐらいだが…。
さて、うっかり授業中に自分が未来人であると何回かばらしそうになったシスであるが、なんとか「まあ外国人だからね…」でごまかしながら、放課後藤宮ミネとの面談の時間である。ここまできたらあとは適当に面談しながら、帰り際を銃でズドン!である。
「でね、やっぱり前の白鳥センセーはクラスの皆からも慕われていてねー急に病気だって言われて、クラスの皆で何かお見舞いとかできないかなぁって」
「うーんやっぱり今は病気のこともあるしお見舞いはかえって白鳥先生の迷惑にもなっちゃうかもね…」
「そっかーじゃあ花とかなら贈っても大丈夫かなー」
(言えない…この学校に来るときに白鳥先生は邪魔だから銃でズドン!したなんて…)
「センセー聞いてる?」
「…!うん聞いてるわ!そう大丈夫よ!白鳥先生は意識不明の重体になんかなっていないわ…いや!違うくて!」
「うん?意識不明…それってどういう…」
「ピピピ、ゴミがたまって掃除できません」
「あ!ピーナッツ君がまた掃除できなくなっている!」
「ピーナッツ君?その掃除ロボットのこと?」
「うん!ピーナッツみたいな形をしているロボット掃除機だからそう呼ばれているの!このピーナッツ君が普段は優秀な掃除ロボットなんだけど、たまにこうやってゴミがたまって掃除できなくなっちゃうの!気づいた人がパックを入れ替えたりしているんけど、なかなかやる人いなくてさ…こういうのもクラスの係とかで決めたほうがいいのかな…」
「この時代において教室内に自動掃除ロボットがあるなんて珍しいわね」
「これも白鳥センセーが置いてくれてさー、わざわざ放課後掃除するんじゃなくてロボットにやらせたほうがいいってさーホントいいセンセーだったよ白鳥センセー」
(申し訳ないな…白鳥先生…後で治療カプセル飲まして治します…)
「うん…白鳥先生についてはそのぐらいにして、あなたのことが聞きたいわ、藤宮さん」
「ん?私のこと?やだなー先生私なんてなんの取柄もない普通の女の子だよー、そりゃーホームルームではあんなこと言ったけどそれは緊張しているシスセンセーを和ませようとしてさー」
(案外いい子では藤宮ミネ?場合によっては対象を殺害しなくてもいいとは雇い主から言われているが…余計な温情を残して後々トラブったら面倒である、ここは確実な始末をしておくのが得策であろう)
「そうよね、生徒のプライベートな事はあんまり聞くべきことではないものね、今日は色々クラスのこと話してくれてありがとう、これで面談は終わりね」
「私こそシスセンセーと話せてうれしかったよ!で話は変わるけどシスセンセーって彼氏いるの?もしくは彼女?」
適当に返事をしてミネを帰らそうとしたが…次のセリフで状況が変わった。
「あーやっぱ彼氏とかはいないよねー…だってセンセー未来人だもんね♡」

2話に続く リンクは下にあります
※追記 1話目には全話のリンクを記入します


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