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知らないと損!中国の中で当たり前に使われる”ミニプログラム”とは?

大家好!
2019年5月24日に紅いシリコンバレーと呼ばれる中国広東省深セン市にて日系100%(中国人との合弁ではなくすべて自己資本の会社という意味合い)で会社を立ち上げ、これから説明するミニプログラムに着手しようとしており、ミニプログラムを始めとした中国のことをお伝えしていければと考えています。

ミニプログラムとは?

では早速ですが本題に入りましょう。
ご心配不要です。できる限りわかりやすくお伝えしていきます。
極力難しい言葉は使わないように注意します(ときにはカッコいい四字熟語使うかも)

読者の中で、ミニプログラムをご存知の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?
もし、既にWechatで使いまくっている方であれば、このnoteを読む時間はもったいないかもしれないので、QOLを向上させるべく、読み飛ばすか、「戻る」ボタンを押して頂いて構いません(ちょっと寂しいw)

ミニプログラムとは、wechat(テンセント)、Alipay(アリババ)、baiduapp(百度)、中国版Tik tok(抖音)で使われているサービスであり、
”ダウンロードせずに使えるミニアプリ”
という認識をしていれば理解しやすいかと思います。

中国では、中国語で小程序(xiao cheng xu / シャオチョンシュゥ)と呼ばれています。
wechatであれば、テンセントのミニプログラム開発専用のプラットフォームを使って、サードパーティー(別のアプリ会社など)が開発し、wechatのユーザーに対してサービス提供することができます。

おそらくミニプログラムを使ったことがない方からすると、
「横文字ばかりでよくわからないぞ!!」
と怒ってしまうかもしれませんので、引っかかりそうなポイントをそれぞれ説明します。

①ダウンロードせずに使えるミニアプリ

これは文字通りダウンロードせずに使えるスマートフォンアプリのことを意味しています。
通常私たちがiPhoneやSamsungのスマートフォンでアプリを使いたいときは、AppleのApp storeかGoogleのPlay Store経由でアプリ名を検索して、ダウンロードし、ユーザー情報登録をしてようやく使うことができます。
一度この作業をしたら、その後同じことをする必要がないので、この手間については既に忘却の彼方かもしれませんが、正直面倒くさい!はずw

だって考えてみてください。
京都の観光地に行った際に、
「このアプリをダウンロードしていただくと音声での解説を聴くことができます」
と書いてあったとしましょう。

「おいおい、WIFIがないところでダウンロードするとパケットを逼迫して、パケ死するやないか!しかも、一回限りしか使えないアプリのために、アプリのストアに飛んで、探して、ダウンロードして、登録してやっと使うのにどれだけの時間と労力とパケットを使わないといけないのかわかってますか、観光地のおじさんおばさん!若者のことを少しは理解して、はよ...」

という気持ちになったことはありませんか?
私は何度もありますし、LINEモバイルのSIMで毎月5GBプランでミニマリストをしているのでダウンロードする気は一切ありませんし、頑張ってウィキペディアを熟読します(そっちもパケット減るやんというツッコミは受け付けます)。

②wechat(ウィーチャット)

みんな(We)でおしゃべり(Chat)をするという意味を込めて作られたであろうテンセントのメッセンジャーアプリです。
要するに、中国版LINEですね。
私が中国留学をしていた2011年からサービスが開始され、当時QQというメッセンジャーアプリがスタンダードだったので、

「誰がこんな後発のアプリを使うかよ」

と高を括っていましたが、今ではユーザーが10億人にいます。
思い込みとは時として恥ずかしさに変わります。
そのうちの半分以上がWechatpayというスマホ決済を利用しているので、本当に現金を使わない生活が成り立ちます。
一方、日本はpaypayとLINEPayがバラマキキャンペーンをしているものの、日本国内にいる限り、財布を切り離して生活をすることは当分不可能でしょう。

また、テンセント(TENCENT)は世界時価総額トップ10に入る超大手中国企業であり、最近は映画のバトルロワイヤルをモチーフにされているpubgが日本で流行っていますが、そのゲームタイトルを中国で取り扱っています。
ゲーマーからすると一気に身近に感じる会社ではないでしょうか?

上記のランキングは2,018年8月20日のダイヤモンドオンラインにて公開された30年前の世界時価総額ランキングの変化であり、テンセントは当時8位。

横文字の解説についてはなんとなくわかって頂けたと思うので次に進みましょう。
今回はWechatのミニプログラムに限定していきますが、仮にwechatが中国版LINEであるならば、

「使う国の人やユーザー数が異なるだけで大差ないんじゃないの?」

と疑問に思う人がいるかもしれませんが、結論、似て非なるものです。
残念ながら日本より圧倒的に中国のほうがモバイル決済やアプリ開発は先を進んでおり、彼らから学ぶことは多々あります。

まずは、LINEとWechatのミニプログラムの違いについて話していこうと思います。

サードパーティーへのAPI提供

LINEのユーザーはメインの使い方はLINEユーザー同士のメッセージのやり取りや電話だと思いますが、LINEpayやLINE GAME、LINE MUSIC、LINE GIFT、LINE Manga AppとLINE社、もしくはLINEのグループ会社のサービスをLINEのアプリ経由で使うことができる点では、「ダウンロードせずに使えるアプリ」として類似しています。
しかし、あくまでLINEのグループ会社のものであり、クローズドな関係性でしか「ダウンロードせずに使えるアプリ」を開発することができません。

LINEのウォレットのボタンをタップした際の画面。

一方、Wechatのミニプログラムには、もちろんテンセントが提供しているアプリも含まれていますが、多くはサードパーティーのアプリが占めています。
サードパーティーとは、テンセント傘下ではない会社のことを指しています。もともと利害関係がなかった会社同士がアプリ内で連携することになります。
これを日本国内で例えるならば、LINEのアプリの中でAirbnbが利用できたり、Ubereatsで注文できたり、メルチャリに乗ったりできるイメージです(米国サービス2つ出してしまった)。

上記は私のWechatの画面であり、上の列は「最近使ったミニプログラム」で、下の列は「お気に入り登録したミニプログラム」という意味です。
ちなみに「乘车码」は地下鉄の改札を通るときにQRコードを表示させ、スキャンするとチケットを購入せずに通過することができるので、お気に入り認定にしています。

Wechatであれば、アプリ内で乗り捨てチャリのmobike、配車アプリのdidi、2年間でIPOしたコーヒーショップのluckingcoffeeなどをわざわざ時間と手間をかけてダウンロードせずにサービスを利用することが可能です。
Wechatのミニプログラムはここ2年程度で150万種類のアプリを生み出しているので、サードパーティーへのAPI連携は非常に得があると思いませんか?

「WechatとLINEの違いについてはわかったから他にwechatのミニプログラムがどのように優れているのか知りたい!」
と好奇心を抱いた方、ぜひ続きを読み進めてください!

各ミニプログラムのアカウント登録が簡易化

Wechatのミニプログラムの開発専用プラットフォーム経由でしか開発できないこともあって、基本的に各ミニプログラムのユーザーのアカウント登録はWechatと連動をしています。
ユーザー名、電話番号、身分証明書の番号、性別などの情報を毎度入力することがなく、Wechatに登録されている情報と同期するだけですぐにミニプログラム内でサービスを利用することができます。

日本であれば、名前、住所、電話番号、メールアドレス...と「いつ終わるねん!」とツッコミを入れたくなる上に、メール認証が必要となり超超超手間です。

Slackの社長ですら「メールとはゴキブリである」という名言を残しているくらいメールを見る人が減っている中でメール認証をするのはナンセンスでしょう。

それはさておき、要するにwechat経由でアカウント登録は簡易化されており、あったとしても電話番号に紐付いたSMS認証くらいです。
電話番号だけでよければ20秒くらいで登録が終わります。
せっかちで合理的な中国人の気質に合った手法ですが、日本人も簡単な方法があるなら正直ウェルカムでしょ?w

わかりやすく世界を代表するファストフード店のKFCのミニプログラムのアカウント登録の画面をお見せします。

便宜上電話番号を見えないようにしていますが、ここにWechatに登録している電話番号が表示され、「会員登録の申請のために使用することを許可しますか?」とYes or Noの選択肢が表示され、左は見ての通り「拒絶」であり、右の緑色のボタンは「許可」を意味します。

アカウント登録すると、マイページに飛ぶことで自分が登録されたかどうかが確認可能です。名前とアイコンはWechatの情報を元に初期設定時から同期されているケースもありますが、今回のKFCでは登録がされていませんでしたね。ここはUX上、手間というほどではなさそうでしょう。

スマホ決済との連動が神レベルにスムーズ

Wechatのプラットフォームゆえにwechatpayとの連動はまるで私たち人間が息をするように自然に使うことができます。
乗り捨てチャリのMobikeをミニプログラムで使う場合は、wechatで半自動的に決済ができているし、配車アプリのDidiをミニプログラムで使う場合もwechatで決済することができます。


上記のように指紋認証を設定しておくことで、iPhoneならホーム画面に親指を乗せるだけで、そのスクリーンの向こう側に広がる世界に一瞬にして飛び込むことができるわけです。
苦労することが美徳とされる時代は既に終わったのです。アーメン。

私はエンジニアではないのでエンジニアリングに詳しい人のほうが正しい情報かとは思いますが、wechatのプラットフォームでの決済機能を実装するに際し、開発工数が少なくなることは魅力の一つのようです。

決済だけではなく、コンシェルジュやメニュー表代わりに


今回もKFCを例に出してみますが、KFCのデリバリーサービスのミニプログラムを開くと、下記スクリーンショットのように写真と値段のついたメニュー表が表示されます。

日本で仮に中国人向けの紙のメニューを中国語で作成し提示しているお店を多数見かけますが、もはや「QRコードをスキャンしてね」というだけで済むと思いませんか?
それは冷たくあしらうのではなく、彼らにとっては最大のサービス提供であると私は考えています。

各メニューにカテゴリー、写真、値段、クーポン情報を掲載することができるのでオーダーする側からするとわかりやすいです。
日本語の商品名と価格だけしか書いていないメニュー表を見たら、もはや「何が出てくるんやろw」っていうワクワクドキドキのオーダーになってしまいますし、もしかしたら毎度店員さんに
「これはなんでしょうか?」
と質問をされるかもしれません。
正直コミュニケーションコストが掛かるので店内の回転率の低下に直結します。そしてお互いにストレスになることが容易に予想されますね。

もちろん、銀座の高級寿司屋であれば、カウンター越しに板前さんにオーダーをするというコト体験を重視しているかもしれないので、そのような業態に関しては例外と考えてもらってもよいでしょう。おそらく。
日本はQRコードでなんとかPayで支払ってもらうことに注力をしていますが、中国では支払いのみではなく、ミニプログラムの中で閲覧、オーダーまでできるようになっています。
ARと連携させれば、メニュー表の中で立体的に視覚で楽しめるコンテンツも提供することができるでしょう。

総じて開発工数を削減可能

再度エンジニアリングの話しに戻りますが、ミニプログラムの開発は難しいと言われる方がいらっしゃいますが、実際はどうなのでしょうか?
開発環境としては、Javascriptをベースとした特殊なプログラミング言語で、ReactかVue.jsを書いたことがある人からすると頭に入りやすいです(フロントエンドエンジニアからの情報)。
あとは、HTMLとCSSをいじったマークアップ言語を使ってコーディングをしていくのみです。正直ここは私のパートナーのエンジニアに丸投げ...笑

まず言語のハードルはクリアしたとして、ミニプログラム開発は専用のプラットフォームを利用することになり、サインアップ機能、ログイン機能、決済機能、ログアウト機能などが既に開発しやすいようにされているので、この時点で工数の削減に繋がります。

そして何よりWechatのミニプログラムはiOSとAndroidのプラットフォームごとに開発する必要がなくなります。
これが意味することとは、ミニプログラムを開発をすることで、iPhoneとAndroidフォン(Huawei, Samsung, Oppo...etc)それぞれに適した開発まで終わらせてくれるわけです。

ユーザーの視点に立って考えると、iOSのアプリは使えるけど、Androidのアプリはまだ開発されていなくて使えないというもどかしい状況にこれまで何度か直面したことがあると思いますが、ミニプログラムではそれが発生しません。

ユーザーにとっても使いやすく、開発側からしてみても工数が短縮されるので相互にとって魅力的なのがミニプログラムです。

終わりに...

今回はミニプログラムとはどんなものなのか?という概要的な話を具体的にしてみましたが、今後は中国人が実際に中国国内で利用しているミニプログラムの事例であったり、他のプラットフォーム(アリババ、百度、Tiktok)のミニプログラムを使いながら記事にしていければと考えています!
それではこれからもぜひご愛読をお願い致します。


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