「シェイプ・オブ・ウォーター」の事。
結局の所、ラブストーリーにSEXは必要かの話。
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今年の3月16日、中国での公開初日にこの映画を見に行った。
その事は3月17日のnoteに書いた。
書いた内容を簡単に書くと、中国で公開された「シェイプ・オブ・ウォーター」は、日本で公開された「シェイプ・オブ・ウォーター」と別物だと言う話。
{以下・ネタバレになります}
色んな人の書いた映画評など読むと、この映画にはオナニーシーンやSEXのシーンがあるらしい・・・のに!。
中国で公開された映画には、そんな場面が一切なかった。
日本に{映倫}があるように、各国にはそれぞれの審査基準があり、そのままでは公開出来ない理由も判らなくない。
中国ではオナニーもSEXも描いてはいけないようだ。
出来れば、監督が作ったオリジナルな映画をそのまま見たい。
という事で、「シェイプ・オブ・ウォーター」がAmazonプライムで配信されたので、日本で公開されたバージョンを見た。
中国版を見たのは3ヶ月も前なので細かい所の記憶はないので純粋な比較は出来ない。
だけど、確実に冒頭の裸になってのオナニーシーンは無かったし、SEXをしたという話、も無かったのはハッキリ憶えている。
「日本版・シェイプ・オブ・ウォーター」を見終わって、この映画の全体の印象を考えた時、中国版のほうがロマンチックではないかと思ってしまった。
① 主人公はしゃべる事が出来ない障害者で、友人も少なく、単調な毎日を送っている。
② 主人公はしゃべる事が出来ない障害者で、友人も少なく、恋人も無く、性欲はオナニーで解消し、単調な毎日を送っている。
恋人も無く、性欲はオナニーで解消し、
この事が入るだけで、すごくナマナマしくなる。
① 主人公は半魚人の中に、自分と同じ境遇である事を見出し、助け出す。
② 主人公は半魚人の中に、自分と同じ境遇である事を見出し、助け出す、そして、自宅のバスルームでSEXをする。
自宅のバスルームでSEXをする。
また、この事が入るだけで、すごくナマナマしくなる。
中国版の映画では、すごく純粋に、単調な毎日の中に現れた{半魚人}の中に自分と同じ境遇である事を見出し、救い出す決心をする。
すごくシンプルな流れで、主人公は{半魚人}に好意をよせるが、そこにSEXを期待する気持ちはない。
もちろん、日本版も中国版も、救い出す動機の中に{半魚人とSEXをする気持ち}が無いのは同じであるけど、結果的に日本版では主人公と半魚人はSEXをして、強く結ばれる感がある。
中国版では、あくまでもプラトニックなままだ。
問題は、このことが物語にどういう影響を与えているか。
個人的な感想を言うなら、中国版のほうが良かったと思う。
ギレルモ・デル・トロ監督は自ら、この映画を「おとぎ話」と言っている。
この物語を「おとぎ話」としてとらえた時、オナニーやSEXはナマナマし過ぎる。
嫌な見方をするなら、毎日オナニーをして性的な欲求を解消するしかなかった主人公がSEX出来る相手を見つけた。
SEXをしたから愛が深まるなんて言うと、LGBTの方々の怒られそうだけど、少なくともこの物語においては愛が深まったと思う。
{自分の男を助けたい} のと
{自分と同じ境遇にいる半魚人を助けたい} のではずいぶん違う。
「おとぎ話」なら{自分と同じ境遇にいる半魚人を助けたい}の方がプラトニックで美しい。
映画では、そこまで{半魚人}を{自分の男}として描いてはいないけど、やはり、関係を持っているのを、知って見るのと、見ないのでは観客の意識が違う。
それでも結果的にはオナニー&SEXのある物がアカデミー賞を取ったので、そんな場面がある事がマチガイであるはずは無いのだけど・・・
結局の所、ラブストーリーにSEXは必要かの話だけど、現代劇なら無いと物足りないけど、おとぎ話ならアリかな?
強引にまとめると、「中国版・シェイプ・オブ・ウォーター」もそんなに悪くなかった。
追記
中国版・シェイプ・オブ・ウォーターも、ただオナニー&SEXシーンをカットしただけでなく、ちゃんと他の場面で補充して、上映時間は日本版と同じになっている。おそらく監督は中国版にもちゃんと目を通していると思う。
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