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1970年代のカンフー映画をマジメに見る。

中国のネットTVに表示される1970年代のカンフー映画のポスターに胸がときめいてしまう。

だた、ときめくだけで、さほど面白い映画という訳でもなく、あまり見る事も無かったのだけど、この所、中国でのネット規制が厳しくAmazonプライムも見られないので、ひとつ集中して見てやろうじゃないか! と思ってしまった。

1973年にブルース・リーの「燃えよドラゴン」が公開されたあと、ブルース・リー人気に後押しされ、「燃えよドラゴン」以前に作られた香港でのカンフー映画が何本か公開された。

当時高校生だった僕は、少ないお小遣いの中から何本か見た。

見た記憶はあるけど、内容は覚えていない、ただ、それまで見ていたアメリカ映画、フランス映画などには無い、独特な雰囲気が楽しかった記憶はある。

ドラゴン人気で公開されたのはブルース・リーがそれ以前に香港で主演していた「ドラゴン危機一発」「ドラゴン怒りの鉄拳」など、

それ以外にも、おそらく香港でヒットした映画を配給会社が調べて買い付けたのだろう。

そんな、調べれば判る歴史に興味は無いので、実際にはどんな映画があったのか、せっかく中国にいて、日本公開されていないような映画も見られるので、その中からいくつか見てみる事にする。

1973年から始まるドラゴンブームは本当にすごかったのだけど、ブームはやがて終わり、香港映画の公開は無くなる・・・

時は流れてジャッキー・チェンが本格的に出てくるのが1979年。

ウィキペディアによると

1979年に『トラック野郎・熱風5000キロ』との2本立てで公開された『ドランクモンキー 酔拳』が大ヒット。

なので1973年の「燃えよドラゴン」を中心として、1970年から、ジャッキー・チェンの出てくる1979年までの、日本未公開作品を何本か見て行きたいと思う。

「五虎屠龍」1970

まず「五虎屠龍」は1970年公開の香港映画(邵氏兄弟有限公司)製作。これといって目的を持って見た訳ではない、ただタイトルを検索して、日本公開されたかどうか調べて、未公開のものを見ていこうと言うだけ。

今となっての、この映画の見どころは{朱元龙}と名乗っていた頃の{洪金宝・サモ・ハン・キンポー}がアクション監督をしている所(だけ)か、

この映画が純粋なカンフー映画なのかわからない、大掛かりなアクション場面はいくつかあるのだけど、ほとんどが刀を使ったアクション、日本風に言えばチャンバラ映画だ、ワイヤーアクションもほとんど無い。

郑佩佩(チェン・ペイペイ)の人気とか、当時の事は判らないが、人気があっただろうなと思わせる雰囲気はただよってくる。

映像的な稚拙さは時代的な事もあるので、言うべきではないだろう。

見るべき視点はアクションシーンだが、一番気になるのは大げさ過ぎる音だ、刀と刀がぶつかる音、切られる音、倒れる音が、あまりに作られている。

タイトルで検索すると丁寧に物語を書いている人がいるので、話を知りたい人はそちらで。

「大決鬥」1971

「大決鬥」こちらも(邵氏兄弟有限公司)製作の映画。今では髪もすっかり薄くなった ティ・ロン(狄龙)が主役、イキのいいアクションを見せてくれます、が、カンフー映画というより、喧嘩の場面がカンフー風味ぐらいで、ケレン味たっぷり、構えをみせたりしないのでカンフー映画だと思ってみるとガッカリ。

「追撃」1971

「追撃」は1971年制作の映画(嘉禾有限公司)製作。

茅瑛(アンジェラ・マオ)苗可秀(ノラ・ミャオ)衣依(マリア・イー)の3人が、ゴールデン・ハーベスト社(嘉禾有限公司)第一世代の役者だという、日本で言う所の日活ニューフェイスみたいなものだろう。

この映画は、そのマリア・イー主演。マリア・イー、芝居は決してうまくないし、カンフーも出来ない、でもなんとか短刀を両手に持っての立ち回りをうまくこなしていたので、衣依の可愛らしさを売るなら成功だろう。

本当の主演の田俊はいつも額に汗をかいてる謎のキャラクターだが脇汗とか無く、洋服はサラサラ・・・

アクションの音がウルサイ。

「天龍八将」1971

ノラ・ミャオとゴールデン・ハーベスト社第一世代の役者、アンジェラ・マオが主役8人の中の2人で出ている映画「天龍八将」。

ノラ・ミャオとアンジェラ・マオはそれなりに良い役をもらって、短いけどカンフーの見せ場も作ってもらっている。

最後はムチで戦う軍団と死闘・・・ふたりとも腰まである長い髪をふり乱して戦う・・・それは悪くないが、もう少し髪がサラサラならな、と思う。

ムチ軍団の中にはサモ・ハン・キンポーの姿も・・・

ムチとカンフーの戦いは新しい試みであったかもしれないけど、正直つまらない。

最後はラスボスと{天龍八将}という8人が戦うのだけど、1対8である、それなのに手こずり過ぎ。

「刀不留人」1971

「刀不留人」 (1971)ウィキペディアでは「ノラ・ミャオ レディ・ブレイド」というタイトルがつけられているが、日本公開されたのかは不明。

苗可秀(ノラ・ミャオ)のアクションのヘタさが光る1本。

短剣を2本持ち、刀さばきがカッコよく見える場面もあるけど、アクションのひとつひとつが段取りになっていて、スマートでない。

ノラ・ミャオの完全主役、だからこそアクションのヘタさが際立つ。

「天龍八将」のように主役グループのひとりなら、それなりに良かったけど、ひとりはキツイ。

「金旋風」1972

「金旋風」は「刀不留人」の翌年に公開されたノラ・ミャオ作品、主役とはいうものの、見せ場はさほど無い、これもカンフー風味の剣劇だ。

あまりにも雑な作りなのが香港映画らしさなのか、ラストはアメリカ映画「大いなる西部」の有名な音楽で終る、いいのか?

「ノラ・ミャオ ザ・ハリケーン」というタイトルでDVD発売されているらしい。

ついでに書いておくと、ブルース・リーの2本の映画、「唐山大兄(ドラゴン危機一発)」1971年、「精武门(ドラゴン怒りの鉄拳)」1972年、もゴールデン・ハーベスト製作でノラ・ミャオとマリア・イーも出演している。

「ドラゴン危機一発」ではマリア・イーがヒロインで、ノラ・ミャオは完全な脇役。「ドラゴン怒りの鉄拳」はノラ・ミャオがヒロインでマリア・イーが完全な脇役。

この2本の映画では極力、アクション場面には参加させず、可愛らしさだけで存在感を出している、が、個人的にはノラ・ミャオの圧勝だと思う。

関係ないがノラ・ミャオ、名前がイイ、猫の鳴き声を思わせる{ミャオ}と
野良猫を思わせる{ノラ}もう猫好きにはたまらない名前、なにより覚えやすい。

そして、ゴールデン・ハーベストのもう一人の女優アンジェラ・マオは「龍爭虎鬥(燃えよドラゴン)」に出演している。

「鐵掌旋風腿」1972

この映画はアンジェラ・マオの完全主演、やせた洪金宝(サモ・ハン・キンポー)が悪役で出ている。
しかしアンジェラ・マオが際立って活躍している印象がない。

どこを見所といっていいのか、平坦な作品だ。

公開当時のものか判らないけど、英語版のポスターが悪くない。

「冷面虎」1973

書こうかどうか迷った作品だけど、変わった映画なので書いておく。

現代劇で京都が舞台だ。当然、日本ロケで岡田可愛が主演している、ゴールデン・ハーべスト作品だが、中国人女優にはない可愛らしさが岡田可愛にある、岡田可愛がこんなにイイとは思ってなかった。

もうひとりの主役は王羽(ジミー・ウォング)、安定したカンフーアクションを見せてくれるし、今なら撮影許可の出ないようなアクションも日本でやっている。

今ではジミー・ウォングの人気を想像すら出来ないが、座頭市シリーズの「新座頭市・破れ!唐人剣」(1971年)のゲスト主役でもある。

どんな作品にでも見る田俊(ジェームス・ティエン)も短い戦いだがカンフーアクションを見せてくれる。

そしてマリア・イーが・・・なんのアクションも見せず、可愛いだけで出演、それはそれでイイ。

鐵娃」1973

「鐵娃」1973年作品、「五虎屠龍」でも大活躍の郑佩佩(チェン・ペイペイ)アクションも悪くない、だだ、それほど見せ場はない。一番おどろいたのは、突然、宍戸錠が出てきた事、よく見るとポスターに滨户錠というそれらしき名前が・・・、なぜこの時代の香港映画に・・・。

宍戸錠はラスボスで、最後の最後に郑佩佩と戦う、日活映画にはなかった体を張ったアクション。

英語版の「Attack of the Kung Fu Girls」もいかにもアジアチックでイイ感じだ、でも、それほどのアクションは無い。

「福建少林拳」1974

女性メインの作品でも田俊(ジェームス・ティエン)は大活躍なのだが、今となっては、ナゼ彼がそれほど出演しているのか?、カッコ良かったのか?

芝居もカンフーも悪くないが、体が・・・しまってない。

ブルース・リーはやはり特別なのだろうが、筋肉でしまった体でのアクションではない。

この映画は、単純明快な話だけど、カンフーシーンが長過ぎ、延々と戦う。殺したいのか、痛めつけたいのか、目的が不明。

「少林門」1976

なかなか豪華な作品、監督は吴宇森(ジョン・ウー)アクション監督が洪金宝(サモ・ハン・キンポー)

主演は谭道良(タン・トウ・リャンウ)だけど、若い洪金宝が堂々の悪役、そして陳元龍という名前だった頃のジャッキー・チェンが出ている。

整形前なので、パッっとしない顔、本当の脇役だ、監督のジョン・ウーも出演者の中に名前があるけど、発見出来ず。

相変わらずの田俊・ジェームス・ティエンも出演。

物語は善と悪がハッキリして単純明快、難を言えばアクションが長い。

「破戒」1977

これはアンジェラ・マオ主演でかなり良く出来た映画だ、音のつけ方が京劇風で、それが心地良いリズムを生み出している。
アンジェラ・マオはカッコ良く さまになってる、2本の短剣を使い、サソリをあやつる・・・

活劇としては申し分なし。

アンジェラ・マオがいると安心出来る。アンジェラ・マオに守ってもらい、マリア・イーを守ってあげたい。ノラ・ミャオは恋人で、チェン・ペイペイがお友達にいたら最高。

もっといっぱい見ていて、続きがあるが、長くなりすぎた。

というか、1本づつ丁寧に書けばよかった。

本当は年代別の作品リストがあって、それしたがって見られれば最高。香港に行けば手に入るのか、日本の方が手に入るのか・・・
(ネットにあがっているものはいい加減で当てに出来ない)

※ ポスター画像は中国・百度から。




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