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映画『シェイプオブウォーター』感想メモ

あらすじ
1960年代、冷戦時代。アメリカとソ連は宇宙開発においても相手を出し抜くために、盛んに研究を行っていた。アメリカの研究機関のひとつである、航空宇宙研究センターで、独身の中年女性イライザは清掃員として働いていた。
幼少期のトラウマで声を出せないイライザだが、隣人で画家のジャイルズ、気の良い黒人女性の清掃員仲間であるゼルダという2人の友人を持ち、手話で会話をすることで平穏に暮らしていた。
ある日、新しく異動してきたホフステトラー博士が、奇妙な水槽を厳重な警備のもと運び込んできた。何が入っているのか、不審に思うイライザとゼルダだが、結局わからないまま、いつも通り掃除の仕事に戻る。その数日後、威圧的な軍人のストリックランドが、”なにか”に指を食いちぎられるという事件が起きる。血まみれの部屋を掃除しろと指示されたイライザとゼルダ。そして掃除の最中、イライザは水槽の中身を密かに覗き、魚とも人間ともつかない、奇妙な生き物に心を奪われる。
その日から、奇妙な生き物、”彼”とイライザの逢瀬は始まった。卵を与えて敵意がないことを示し、レコードを持ち込んでは音楽を流すイライザに、初めは警戒していた”彼”も心を開いていく。手話で伝えるイライザと、その手振りを真似することで意思疎通をはかる”彼”。言葉を話せない自分をありのまま見てくれる”彼”に、イライザは夢中になる。
しかし、ソ連にリードをとるために、水陸どちらでも生存できる仕組みの肺を持つ”彼”を生体解剖することをストリックランドの上司は望み、反対するホフステトラー博士の抗議も虚しく、”彼”の死が決定される。それを聞いてしまったイライザは、”彼”を逃がすため、友人のジャイルズに訴えかけ、行動に出る・・・。


※ここからガッツリとネタバレです※

アンチ「美女と野獣」の監督が撮った、最高傑作だと思う
・私も野獣がイケメンになるのに抵抗あったので、この作品は本当に神
・まずヒロインが自慰行為にふける生身の中年女性であることが素晴らしい
・声が出ないというところが、謎の美を与えている 神秘的というか・・・
・同僚のゼルダがお喋りなのが対照的で、2人の仲がとてもかわいい
・奇妙な生き物、”彼”のデザインがさすがデル・トロ監督といったところ
・神々しくも恐ろしく、美しい、奇跡的なバランス
・飢えて猫を食べてしまうシーンがまた素晴らしい あくまでも怪物的
・人間の常識を知らないので仕方ないよねっていう感じ
・その後で子猫と遊んでるのがかわいすぎる
・ちょっとだけヘルボーイのエイブを思い出した 中の人も一緒だし
チンチンが格納式っていうのも本当にデル・トロ監督わかってる〜
・魚人ならそうだよね!つるつるにみえるけど性器あるの最高ですよ
悪役ポジのストリックランドのキャラクター付けが至高
・「安い飴玉を常に舐めている」「不安になると噛み砕く」
・「手を使わず小便をする」「エリート、強者であるという自負」・・・
・彼もまた軍人という世界で歪んでしまった神経質な男なんだな、という感想
・白人至上主義で”彼”をモノとしてしか見ていない、まさに時代の産んだ”闇”
・イライザの喉の3本線は、正直初見で「あっこれ絶対エラになる」と思った
・ただどういう結末でそうなるかは想像できなかったので楽しめました
・彼女が「”彼”が人間でないなら、言葉の話せない私は何?」と必死で友人を説得するシーンが本当に切実で、必死の手話がいじらしい
・バスルームを水で満たして抱き合う2人のシーンの美しさよ・・・
その時代の迫害されている人物たち(女性、唖者、黒人、同性愛者)が自分たちの思いを大事に生きようとする、素敵な作品
・色合いの芸術性が満点すぎ 薄暗い世界に色づく緑と赤色
・緑が”future”で赤が”愛”なのがとても良い
・”彼”と関係を結んだあとのイライザの服装が赤色に変わっているの、すごく印象的だった かわいいのなんの・・・
・あとバスで帽子を枕にしてるのもかわいい 労働者らしさ
・水滴が合体するシーンちょっと笑ってしまった 暗喩っていうかもはや直喩
・ラストで水の中で赤いハイヒールが脱げていくのが、とてもおとぎ話っぽくて美しくて、もうとにかく美しいとしか思えなくて泣いた
・不必要なシーンがひとつもないのって、すごいことだと思う
・まずいパイをジャイルズが食べている理由も、カメラをずらして死角でこっそり煙草を吸う同僚たちも、ちゃんとあとで伏線回収されていて、映画として素晴らしい
・ストーリーと映像美が両方きちんと確立されている奇跡の映画
・ギレルモ・デル・トロ監督の描く、最高のおとぎ話だった
・改めて色々ゆっくり観察しながら見たらまた発見がありそう
・F.U.C.K手話シーンが面白すぎて覚えてしまいました(使いみちがない)

★★★★★+

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