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( 思索の旅 最終章 ) 語源から、イノベーションを考える

ここに辿り着くまでの思索の旅から、「イノベーションとは」「イノベーションのプロセス」「イノベーションが生み出す変化」を纏めると、次のようになる。

《 イノベーションとは 》
● 二つ以上の異質な何かが出会って、核のような何かが在ることに気づき、新たな価値を発見し、新しい世界を創造すること
● 何かを新たに創るのではなく、元々在った何かを創り直すこと
● 新たな価値観や世界観をみせて未来を創ること

(大切なこと)
● 外側のみえやすい世界ではなく、内側のみえにくい世界に目を向けること
● “ない” と思っている中に “在る” ものに、目を向けること
● 何かを創造することよりも、何かの存在に気づき・発見すること
《 イノベーションのプロセス 》
注意 ⇒ 出会い ⇒ 気づき ⇒ 発見 ⇒ 発想 ⇒ 創造
              ↓       ↓
              変容       変革

(大切なこと)
① 無 ⇒ ②在 ⇒ ③有
① 固定概念の外にある無意識など、みえていないものに注意を向ける
② “ない” のではなく、何かが “在る” ことに気づく
③ 新たな価値や可能性などを発見する
《 イノベーションが生み出す変化 》
私が変化を促して、社会が社会を変える

(変化の起こり方)
  私の“内側”で、変化が起こる
  私の“外側”の相手に、変化が起きていく
  相手の“内側”でも、変化が起こる

(変化のカタチ)
  変容 : 内側に、意識を深めることによって起こる
  変革 : 外側へ、価値観や世界観を拡げていくことによって起きていく

イノベーションについて、私が探し求めた答えに辿り着いた。辿り着いたと同時にあることが気になった。

「一般的な考えと私が辿り着いた考えに、なぜ差があるのか。」

鍵は、“イノベーションという言葉そのものにあるのではないか” とふと思った。


イノベーションの語源

「教育」

教育という漢字から受けるイメージ「教える」に違和感はないだろうか。従来の「知識詰め込み型教育」と「先生から生徒への上から下への関係性」は、今求められている教育と違う。なぜそうなのかと思い、いろいろ調べたことがある。「教える」は英語で “teaching” 。今求められている教育は「能力引き出し型教育」で、先生と生徒の関係性から引き出すの “coaching” に近い。
何となくわかったがスッキリしなかったので、教育の英語 “education” に注目した。そこで興味深いことを知った。ラテン語の “educere” を語源とし、 “e-(外へ)+ducere(導く)” からなる。ラテン語からの意味では、「能力を外へ引き出す」になる。語源の意味が、本来の教育ではないだろうか。そこでイノベーションも語源を遡ることで、本来の意味を知ることができないかと考えた。

「イノベーション」

イノベーションは英語で “innovation” 、動詞 “innovate” の名詞形である。意味は「革新する/刷新する」で、これらの意味からイノベーションは「技術革新/新機軸」と呼ばれている。教育同様に語源を遡ると、ラテン語の動詞 “innovare” の完了形に由来し、意味は「リニューアルする」とあった。そして “innovare” は、“in-(内へ)+novare(新しくする)” からなると。
リニューアルとは、「古くなったものを新しくする(更新・改装・再開発)」こと。古くなったものは外にはなく、内にあり元々在ったもの。このように考えると、イノベーションとは無(0)から有(1)ではなく、「元々在った何かを、創り直すこと」。ここに辿り着いて、約半年間の思索の旅も終わりを迎えた。

思索の旅⑤「イノベーションとは、何か」でイノベーションをプロセスからみたときに、次のように書いた。

プロセスからみると、「創る」というよりも「創り直す」、に近いのかもしれない。何かを新たに創るのではなく、元々在った何かを創り直す。

途中まではうっすらみえていたものが、今ははっきりとみえる。今まで、私が書き顕してきたイノベーションを別の角度から光をあてて確認することができた。最後に整理したいことがある。

何と何が結合するのか。

イノベーションの意味の「新結合」から、私はイノベーションを次のように考えた。

「二つ以上の異質な何かが出会って、核のような何かが在ることに気づき、新たな価値を発見し、新しい世界を創造すること。」

二つ以上の異質な何かが出会うとは、結合することである。今までの文章から、出会うモノを、内側と外側という視点で整理する。内側と外側は同質ではなく、異質なものである。異質なものは対立し合っているが、結合することでつながり、そして対立の向こう側がみえてくる。

私/相手
意識/無意識
意識/価値観、世界観
意識/固定概念の外
みえていない/みえている
注意 ⇒ 気づき ⇒ 発見/発想 ⇒ 創造
起こる、起こす/起きている、促す

最後になるが、従来のイノベーションの考え方は西洋思考をベースにしている。この西洋思考的のイノベーションだけでは、ビジネスも社会も限界にきている。これからは、「東洋思想をイノベーションに加えることで、ビジネスも社会もさらによくなる」と考えている。
内側で東洋思想的なイノベーションの変容が起こり、外側で西洋哲学的なイノベーションの変革が起こる。変容と変革がつながって、イノベーションが起こる。統合ではなく結合であることに、大きな意味がある

私が辿り着いたこのイノベーションの考えは、私のオリジナルの考えではない。似たような考えをもっている人がいて、その人たちのアイデアやエッセンスなどを借りてあわせて辿り着いた。本を読むことで、過去の人の考えや考え方から刺激をもらった。ニュートンは次のように言っている。

もしも私がほかの人たちよりも遠くを見たとすれば、それは巨人たちの肩の上に立ったおかげなのです。

思索の旅①「イノベーション思索の旅を始めた」でふれたが、いろいろな人たちの存在があったから、今文章となって形として顕れた。無からは決して生まれなかった

私が考えるイノベーションは広義の意味で、一般的なイノベーションは狭義の意味、その違いだけかもしれない。しかし、物事を狭く細かくする定義化することに意味はない。それは、視野を狭め、定義の外にある無限の可能性を奪っていくから。

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