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象る。

象る(かたどる)

突然、この言葉が気になるようになった。
何でだろうか。

よくわからない。
うまく説明できないといった方がいいのかもしれない。

音の響きがいい。
漢字のカタチがいい。

言葉からいろいろなものを、感じられる。
言葉からいろいろなものを、想像できる。

「か・た・ど・る」

何とも言えないような、気持ちになる。

先日、『かたちの詩学』という本を読んだ。
向井周太郎さんの本で、人から薦められて手に取った。
「うんうん」と首を縦に振りながら、ゆっくり読んだ。

向井周太郎さんが語るデザインは、私の知っているデザインとは少し違う。
全く違う訳ではないが、違う。
この違いが、魅力的だ。
言葉の感度が異質で、私は好きだ。

冒頭に次のような詩的な文章がある。

身振りは
 世界の生成
  いのちの
  かたちの生成
の振動であり
 リズムであり
 響鳴である

本を開いて最初のページに、この文章がある。
心の奥の扉を開ける鍵になったかもしれない。

言葉だけでなく、字の下げ方なども絶妙で心地よい。

今もう一度この本を開いて、言葉を追った。
そして、「象る」が気になる理由がわかった

「かた」と「かたち」の違いと関係性について、本ではふれている。

「かたち」は、「かた・ち」であると。

詳しくは本を読んでほしい。
向井さんの言葉を本全体から受け取って感じてほしい。

今まで意識していなかったが、向井さんの言葉から意識が動き始めた。
かなり遅い、啓蟄かもしれない。

正直にいえば、久々に本を読みながら、嬉しくもあり悔しくもあった。
扉が開いていき、ワクワク感があって嬉しい。
こういう感度がなかった(気づかなかった)ことが、何よりも悔しい。

ただ、やっぱり日本語は好きだ。
ひらがなやカタカナに、漢字まである。
同じ漢字でも、音読みと訓読みではイメージが異なる。
不思議な感覚で、この感覚は日本語だけ。

同じ音でも、目にする印象が全く違う。
時には意味まで違う。

もっと、目を通して言葉を象りたい。
そして、音を通して彩りをつけたい。

象るは、「かた・どる」
彩るは、「いろ・どる」

他に、縁どる(ふちどる)もある。
これは少し違う気がするが。
この「どる」が、気になってしょうがない。

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