見出し画像

統合報告の概要(基礎概念)|統合報告

3つの基礎概念(「国際統合報告フレーム」より抜粋)

組織に対する価値創造と他者に対する価値創造

組織が長期にわたり創造する価値は、組織の事業活動とアウトプットによって資本が増加、減少、又は変換された形で現れる。この価値には、次のとおり、相互に関係し合う2つの側面がある。
・組織自身に対して創造される価値であり、財務資本提供者への財務リターンにつながるもの
・他者に対して創造される価値(すなわち、ステークホルダー及び社会全体に対する価値)


< 関係性(つながり)について、私の考え >

組織が“事業活動”を通して創造する価値は、2つある。組織に対しては財務リターン(経済的価値)で、他者(社会)に対しては社会的リターン(社会的価値)になる。
ポイントは、「組織に対して価値を創造する能力は、組織が他者(社会)に対して創造する価値とつながっている(“相互作用がある”)」こと。
これは、ビジネス(組織)とソーシャル(他者、社会)の両者を追い求めることができることを指している。この関係性をいかに築くかが重要になってくる。

資本

・資本は価値の蓄積であり、組織の活動とアウトプットを通じて増減し、変換される。
・あらゆる組織の成功に向けた支えとなる価値の蓄積であり、ビジネスモデルへのインプットとなる。
・資本ストック全体は、長期にわたり変化する。資本が増減し、又は変換される状況においては、常に、資本間又は資本内におけるフローが存在する。


< 価値(資本の変化など)について、私の考え >

一般的には資本を「財務(貨幣)資本」と考えるが、統合報告では資本を「財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本」の6つで考え、広義に捉えていく。
これにより、事業活動にInputされる資本と、事業活動の結果のOutputやOutcomeの資本が同じ種別でなくてもよいことになる(Input:財務資本 ⇒ 事業活動:人財育成 ⇒ Output、Outcome:人的資本の向上など )。
この資本の組み合わせには「資本の変換」という新しい考え方を含んでいて、今まで見えにくかった、見えていなかった価値を見える化することができる。

価値創造プロセス

・組織の事業活動とアウトプットによって資本の増加、減少、変換をもたらすプロセス。
・価値創造プロセスは静的なものではない。


< 価値創造プロセスについて、私の考え >

多様な価値を生み出すプロセスを、8つの要素の関係から設計していく。(外部環境、使命とビジョン、ガバナンス、ビジネスモデル、リスクと機会、戦略と資源配分、実績、見通し)
「Outcomeで生まれた資本が、Inputに再投資される(循環)」ことを矢印で表していることが、大きなポイント。資本を広義に捉えることで、事業活動も広義に捉えることができる。そして価値創造に拡がりを与え、事業の大きな可能性を示すことができる。
特に非営利団体などの組織にとっては、事業価値を魅せることが可能になる。


3つの「統合」から“みえる”もの

統合報告で、“資本の流れ(変化)”がみえる

よりまとまりのある効率的なアプローチを促すとともに、財務資本の提供者が利用可能な情報の質を改善することによって、より効率的で生産的な資本配分を可能とする。

統合報告書で、“価値創造プロセス”がみえる

統合報告書の主たる目的は、財務資本の提供者に対し、組織がどのように長期にわたり価値を創造するかを説明することである。
統合報告書は、組織が利用し、影響を与える資源及び関係(フレームワークでは「資本」と総称される。)についての洞察を提供することを目的としている。
統合報告書は、組織の外部環境を背景として、組織の戦略、ガバナンス、実績、及び見通しが、どのように短、中、長期の価値創造を導くかについての簡潔なコミュニケーションである。
統合報告書は、主要なステークホルダーの正当なニーズ及び関心が、ステークホルダーとの継続的なコミュニケーション、意思決定、行動、実績を通じてどのように理解、考慮、対応されているかを開示することによって、信頼とレジリエンス(変化への対応力)の構築に不可欠な透明性と説明責任の向上につながる。

統合思考で、“関係性(つながり)”がみえる

統合思考は、組織内の様々な事業単位及び機能単位と、組織が利用し影響を与える資本との間の関係について、組織が能動的に考えることである。統合思考は短、中、長期の価値創造を考慮した、統合的な意思決定と行動につながる。
統合思考は、次のような、組織の長期にわたる価値創造能力に影響を与える要素間の結合性と相互関係を考慮するものである。
組織が利用し、影響を与える資本やトレード・オフなどを含む資本間の相互関係
組織の主要なステークホルダーの正当なニーズと関心に対応する能力
組織の外部環境、組織が直面するリスクと機会に対応するために、組織がどのようにビジネスモデル及び戦略を組み立てるか。
過去、現在、将来における、資本に関する組織の活動、実績(財務及びその他)並びにアウトカム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?