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ボードゲームをブラッシュアップするための10の視点

ボードゲームに限りませんが、何か新しいものを作ろうとするとき、一発で完成品が出来上がることはまずありません。

かならず、完成(仮)→ブラッシュアップ→完成という流れになります。そんなブラッシュアップの時につかえる、10の視点をまとめました。

1.自分のセンスを疑え

ゲームらしきものができあがったら、まず自分のセンスを疑うことから始めましょう。ゲームのブラッシュアップに際して、自分のゲームを「面白い」と思っているのは非常に危険です。

ゲームを作ってると「面白いものができた!」といいことをしている気持ちになるんですが、ふたを開けたら面白がっているのは自分だけかもしれません。誰もが、校長先生の話みたいな自己満足コンテンツを作っている可能性があるのです。

ゲームの面白さを判断するのはプレイヤーのセンスに任せましょう。あなたは作り手ですから。

2.なぜそのゲームをやるのか

ゲームには目的があるものです。最強の海賊を目指すとか。プレイヤーがテンションをあげられるものになっているでしょうか。

たとえば僕は最近いろんなスーパーなどで即席パスタソースを仕入れて自宅に10種くらい常備して、その日の気分で好きな味を食べるという食生活にハマっているのですが、「結局同じパスタだ」「不健康だ」などと言われて共感を得られません。だからたぶん「即席パスタソースで毎日違う味を楽しむことを目指すゲーム」はだめですね。

それを面白がっているのが自分だけになってないか、あるいは内輪だけになっていないかと考えてみてください。

3.いつ、つまらなくなるのか

あんまり考えたくはないことですが、プレイ中のいつでも全員が完璧に面白いゲームというのはあんまりありません。ゲームは、つまらなくなってしまう危険性を常にはらんでいます。

洗い出してみて、それがどうやら頻繁に起こりそうだぞというときは、改善をしたほうがいいかもしれません。

たとえば、ターン制のゲームで、他の人のターンにできることがなにもないと退屈になりがちです。そのときは他の人のターンでも使用できるアイテムを用意するとか、他の人の動きを注視していないと不都合が生じるようにしてみるといった解決が可能でしょう。

4.どこで遊ばれるのか

そのゲームはどこで遊ばれるんでしょうか? 床? 机の上? あるいは、屋外?

プレイヤーたちがどういうシチュエーションで遊ぶのかを考えてみましょう。場所のイメージができたら、プレイヤーの座り方も想像できるでしょう。プレイヤーたちが机を囲んで座ったら? 一直線に並んでも遊べる?色んなパターンが考えられていると、多様なシチュエーションで快適に遊んでもらえるゲームになるかもしれません。

たとえば、屋外で遊ぶこともあるかもしれないと思うなら(そうするとより体験が良くなるなら)、風が吹いても飛ばないように、カードやコマを重い素材にできないか考えてみるのもいいかもしれません。

5.誰が遊ぶのか

あなたがゲームを誰に遊んでほしいのか、とも言えます。その人のためのゲームになっているでしょうか?また、誰と誰が遊ぶゲームなんでしょうか?その人たちは、楽しく快適に、そのゲームを遊べるでしょうか?

たとえば親子で遊んでほしいなら、カードサイズを子供の小さな手でも持てるようにしたらいいかもしれません。誰が遊ぶのかは、ゲームの紹介の仕方など、つくったあとのことにも関わってくるのでよく考えましょう。

6.感情はどう動いていくか

サービスデザインの教科書』という本に書いてあったんですが、人が体験を評価するとき、一番良かった瞬間の印象と、終わる時の印象で決めるそうです。

極論を言えば途中のどこかと最後さえ良ければ、それを「いい体験だった」と思うということ。「終わりよければすべて良し」って結構ガチなんですね。せっかくなので、プレイヤーの感情がそうなっているかどうかを考えてみましょう。

途中どんなに盛り上がりがあっても、最後の最後がつまらなかったら、「つまらないゲーム」ということになってしまうかもしれないのです。

7.余計なシステムが含まれていないか

ぼくはゲームには何かしらメッセージやテーマがあるものだと思ってます。だから、それに反したシステムが組み込まれているともったいないなと感じます。

たとえば、努力の素晴らしさを伝えたいゲームなのに、勝敗がサイコロの出目で決まってしまうとか、ちょっと悲しくないですか。だったら、サイコロを2つ振るためには〇〇しないといけない、3つ振りたいなら××が必要、といった感じで努力が必要になるデザインを施すといいかもしれません。

8.あってもなくても同じものはないか

人の注意力は非常に少ないので、同時に2つや3つの情報を処理する必要があるとパンクします。見てほしいところが絞れているなら、そこに注目してもらえるようにデザインしましょう。

たとえば、あるポイントチップをもらうと1ポイント獲得で、ポイント獲得の手段はそのポイントチップをもらうこと以外にないとしましょう。そのとき、ポイントチップに「1ポイント」と書く意味はありません。ルールブックに、「チップの数がポイントです」とだけ書いてあればいいですね。

ただ、プレイヤーの情報処理能力をパンクさせるのが目的なら、むしろどんどんゴチャゴチャさせましょう。

9. 似ているゲームをプレイしたか

どんなゲームにでも、多少似ている既存のゲームがあるものです。新しくゲームをつくろうと思ったら、そういうゲームを探して、プレイするか、少なくともルールは知っておきましょう。

数字が書かれたカードをつかったゲームをつくるなら、トランプゲーム集を読んでみるとかいいかもしれません。レポートや論文を書く時に、先行研究を探すようなものです。先人のスマートなやり方を拝借しつつ試行錯誤したほうが、ゼロからつくるよりも圧倒的に早く・良いものが仕上がります。

10.色んな人に実際遊んでもらったか

いわゆるテストプレイです。新しいゲームをつくるのなら、それは新しい体験なので、実際に遊んでみないことには本当に面白いかどうかは分かりません。

だから頭のなかで考えるだけでなく、実際にカタチにして、テストプレイをしましょう。絶対です。テストプレイを経ていないゲームはありえません。

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以上です。最後に、ボードゲームのブラッシュアップについて。

ブラッシュアップとは、あなたがボードゲームでやりたいことへの解像度を高めていく行為です。

ボードゲームづくりが他のエンジニアリングと比較して明らかに優位なのは、思いついたら誰でも実装できるところです。例えばアプリケーション開発では、それをやったら良くなる・面白くなるのは分かってるんだけど、予算や技術が…!といった局面だらけだと思います。ボードゲームでは時間さえあれば大抵できます(大量生産したいなどの場合はまた話が別ですが)。

だから、ブラッシュアップの効用が非常に高いです。上記のような視点を頭の片隅に置きながら、上がった解像度をゲームに反映し、どんどん良くしていきましょう。

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