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経営者にぜひ遊んでほしい、『フードチェーンマグネイト』というボードゲームのこと

『フードチェーンマグネイト』(以下、FCM)というボードゲームがあります。先日、初めてプレイしたんですが、最高でした。

FCMはファストフードチェーンの経営者になって、最も金を稼ぐことを目指すゲームです。メニューの仕入れ、販売、マーケティング、そして人材獲得で争います。いわゆる「重ゲー」に分類されるスケールのボードゲームで、ルール説明に約1時間、プレイに少なくとも2時間は必要になります。価格も定価で約1万円。いろんな意味でヘヴィです。「おすすめのゲーム教えて!」と言われても絶対に勧めません。

でも何が最高なのかというと、プレイヤーのミスを救済する措置がないところです。

通常の、多くの人に楽しまれるボードゲームのデザインの鉄則は、「途中で脱落者を出さないこと」です。なぜなら、脱落したプレイヤーはそのゲームを続ける気がなくなります。すると、脱落しなかったプレイヤーにとってもゲームがつまらなくなり、ゲームは崩壊するのです。それを解決するためにプレイ時間を短くしたり、差が出にくいような複雑な得点方法を考えたりといったデザインがなされます。

しかしFCMではそれがありません。富めるものは更に富み、貧しいものはひたすら貧しく。運の要素は一切なく、各プレイヤーの意思決定がぶつかり合うだけです。最初の数ターンで大勢がなんとなく決まります。一度やってしまった失敗はずっと引きずることになります。

だが、それがいい。

僕はボードゲームの良さは、人と人とのインタラクションという現実のシステムを採用しつつも、あくまでシミュレートで、現実に対して取り返しのつく失敗ができ、経験を積める点にあると思っています。ゲーム内で失敗しても、現実ではちっとも痛くもかゆくもありません。

FCMはそうした学びを得られる、本気の失敗をできるゲームだと感じました。前ターンにやらかした失敗を後悔し、マヌケな自分を罵り、自然とより真剣に盤面を見つめるようになる。でも失敗する…。その体験は現実にフィードバック可能な宝物です。

このゲームのおかげで僕は、自分の経営判断力がめちゃくちゃ未熟だということに気づかされました。起業する前にやればよかった…と思います。

プレイにはこの厳しさに耐えられるプレイヤー2人以上が必要です。しかもとてつもなく頭がくたびれます。ですが意思決定の面白さと取り返しのつかなさを学べる、とってもよいゲーム体験でした。先週日曜にプレイしたばかりなのですが、もうまたやりたいです。

★Twitterでも遊んで楽しかったボードゲームの話をしてます。こちらも合わせてどうぞ。

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