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「つくる」を楽しむ、ワークショップ的ボードゲーム3選

ボードゲームの魅力のひとつに、「参加者みんなでルールを共有して運用する」ところがあります。

たとえば人型のコマを働く人に見立てたり、紙のお金を価値あるものとみなしたり。「遊ぶ」ことの前に、「ルールを共有する」という構造があるのです。人はなにか協働作業をすると仲良くなるといいますが、ボードゲームで仲良くなるのは、こうした構造があるからではないかと思います。

これと似た構造をもつのがワークショップです。参加者たちはその場だけで通用するルールに入りこみ(「チェックインする」などと言います)、ワークに取り組みます。

ただワークショップがボードゲームと異なるのは、その場でアイデアなど何らかのアウトプットがなされる点だと思います。

とはいえ、ボードゲームの中にもワークショップ的なものがあります。本noteではそんな「つくる」を楽しめるタイプのボードゲームをご紹介していきます。

ディクシット

ディクシットを遊ぶとき、人は「タイトル力」を発揮することになるでしょう。

プレイヤーは、渡されたカードに描かれている絵にタイトルを付けます。ディクシットが面白いのは、その時に「当たらずとも遠からず」のタイトルを考えなければいけないこと。

カードにタイトルを付けたあとは他のプレイヤーが出したカードとよく混ぜてから、オープンします。ここで他のプレイヤーに自分がどれを出したかを選んでもらうのですが、ミソなのが全員正解でも全員不正解でもポイントがもらえないところ。

正解の人も、不正解の人もいなければいけないのです。ポイントの入り方的には、一人だけ正解で、他の全員が外すようなタイトルが理想的です。

一緒に遊んでいる誰かをターゲットにして、その人に刺さる(分かってもらえる)タイトルを考える遊び、と考えると非常にクリエイティブです。

テレストレーション

テレストレーションでは、プレイヤーの情報伝達能力が試されます。

このゲームは一言でいうと「お絵描き伝言ゲーム」です。お題に沿って絵を描いて、それを見たプレイヤーはお題を推測して文字を書いて、さらにそれを見たプレイヤーは絵を描いて…を繰り返して一周し、自分が出したお題が戻ってきて元のと同じだったら成功というゲームです。

しかし描きこめるホワイトボードは小さく、まともに絵を描くのは難しいです。そこで求められるのは、「お題の精密な絵」ではなく「次の人が解釈しやすい絵」をいかに描くかです。

たとえば前に僕は「とんこつラーメン」というお題をもらって、どうやって絵描くんだよ…と途方に暮れたのですが、「ラーメン容器の横にブタの絵を描く」というひらめきで解決したことがあります。そんなのもアリです。

ちなみに「試される」なんて言いましたが、やってみるとほぼ成功しません。このゲームは終わった後に結果を見て、参加者全員で笑い転げるのが正しい遊び方です。

はぁって言うゲーム

はぁって言うゲームで必要になるのは、観察力と演技力です。

プレイヤーは全員、同じお題の演技に挑みます。たとえばゲームのタイトルにもなっている“はぁ”と言うなど。しかし同じ「はぁ」でも全員違います。誰かは「失恋した時の"はぁ"」、他の誰かは「怒っているときの“はぁ”」という感じです。そしてお互いに、どの“はぁ”なのかを当てるのです。

ポイントになるのは、「自分がどう思うか」ではなく「いかに他の人に、渡されたお題のように見える演技をするか」です。多少大げさにやるくらいでちょうどいいです。

大人気につきAmazonでは売り切れているようですが、幻冬舎から出版されているので、本屋さんに行くとレジ横にあったりします。ちなみに関係ないですが、ボードゲームは本屋だと入る規格の棚がないからか、面出しされていることが多いですね。

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というわけで以上、「ディクシット」「テレストレーション」「はぁって言うゲーム」でした。僕はこれらのゲームをやっていると、途中で勝ち負けがどうでもよくなるんです。それはきっと、「何かをつくってそれで遊ぶというルールを共有する場」自体が楽しくてしょうがなくなるからだと思います。

こういうゲームたちのことを、夢中になっちゃうゲームって言うのでしょう。たくさんの人に遊んでほしいです。

ナイスプレー!