【書評】脳を科学してモチベーションを高めることは可能なのか? 『勝てる脳、負ける脳』

スポーツライターと脳神経学者の著者による、脳とスポーツの本『勝てる脳、負ける脳』について。

サクッと読める文量の新書ですが、“イップスやスランプはなぜ起こるのか?”、“トラウマを残さない方法”といった、興味深いトピックが盛りだくさんです。

特に面白かったのは、脳がモチベーションを発生させるメカニズムでした。

本書によると我々のモチベーションは、脳内でドーパミンが放出されることによって発生するそうです。

そしてドーパミンがもっとも放出されるのは「報酬が得られるか得られないか、確率は半々くらいだけど、頑張ればどうにかなりそう」と思えた時だとのこと。

ちなみにここでの報酬というのはお金とか食べ物といった即物的なものに限らず、「成長の実感」などといった「本人にとって良い感じのモノゴト」という感じです。

よって「絶対成功するわ~」といった超余裕なときや、「こんなん絶対無理や…」という絶望的なときは、逆にモチベーションは発生しにくいようです。

優れたスポーツ選手は、無意識にしろ意識的にせよこうしたモチベーション発生のメカニズムを上手に使いこなして、厳しい練習に耐えて己の牙を磨いているということなんですね。

「詰んだ」と思うと人生のモチベーションは低下する

けんすうさんがnote「あなたの人生はまだ詰んでいない可能性が高いし、一発逆転とかないですよ、、と。」で怖いことを言っていました。

一番リスクが高いことが「人生詰んだと思って、適切な行動をしなくなる」ことじゃないかと。

「人生詰んだと思う」のって、モチベーションの仕組みで言い換えると、「こんなん絶対無理や…」状態、つまり脳をモチベーションが発生しない状態にしてしまう思い込みなのですね。

だってモチベーションは「”この先、いいことがある” と思う」ことによって発生し、”この先”に向かうために使われるものですから、「詰んだ」と脳が思い込んだ時点で発生しなくなります。必要なくなるからです。

そんなとき人は、「適切な行動」をとれなくなるんだと思います。自分を”いいこと”へ方向づける力が失われています。

RPGで言えば、地図無し・装備無しで、宝があるかわからないダンジョンに挑むようなものです。

自分勝手でいいから、”いいこと”を探そう

勝てる脳、負ける脳』には、テニスの錦織圭選手が超厳しい練習に何故取り組み続けられるのか? という話題もありました。

それは日々の練習の中で、「ちょっと自分が上手くなったところ」を発見する能力に秀でているからだそうです。だから毎日の練習に報酬があって、それでモチベーションを維持できるというわけですね。

これは我々でも真似できることだと思います。つまり、日々のなかに”いいこと”(=報酬)を探しましょう。

それは自分勝手なもので構わないはずです。朝適当に茹でた卵がちょうどいい半熟になった、とか。友達にシェアするまでもないような“いいこと”。

錦織選手が発見しているであろう上達も、おそらく他人から見ればほとんど差がないものだと思います。

報酬の一番大事な条件は「自分がそれを報酬だと思えること」なのです。

そして、それが「この先の人生にもある」と思い込めたら、人生のモチベーションは湧いてくるという寸法です。とりあえず生きていようという気になります。

人からよく「人生楽しそう」って言われる人って、そんな「自分勝手な報酬」を見つけるのが上手な気がしますね。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 いただいたサポートは新作ボードゲームの開発費用や、テストプレイ会で振舞うお菓子代に使います。

『チャオチャオ』ブラフゲームで一番好き!正直者は勝てません…笑
22

#編集 #ライター 記事まとめ

編集、ライター、コンテンツ、メディアなどに関する記事をまとめていきます。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。