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ゲームデザイナー式、仕事をクソゲーにしないための冴えたやり方

ボードゲームの中には「協力ゲーム」というジャンルがあります。僕はこのジャンルのゲームをプレイするたびに、「ふだんの仕事もこういう風にできれば、いいものになるのになぁ」と思います。

一般的なボードゲームでは、オセロや将棋のように、他のプレイヤーは敵です。競争相手です。一方、協力ゲームでは、他プレイヤーは仲間です。そして敵はいわば、ゲームそのものとなります。

協力ゲームで有名なタイトルには『パンデミック』があります。

プレイヤーは「医者」や「科学者」といった様々な役割になり、世界中で発生する危険な感染症の拡大防止を目指します。感染症が地球を覆ってしまう前に特効薬を開発できれば、世界を救ってプレイヤー全員の勝利。失敗したら敗北、世界滅亡です。

『パンデミック』をクリアした時の達成感は、ちょっとすごいです。プレイヤーたちは、宇宙モノの洋画で、隕石の衝突とかを防いだ時に管制室が沸き上がる感じになります。いくらやっても、勝つか負けるかギリギリのラインでの攻防で、手に汗握れます。

発売から10年ぐらい経っていますが、未だに協力ゲームの筆頭として名が挙がることが、このゲームの素晴らしさと完成度を示しています。

で、本題なのですが、ふだんの仕事も『パンデミック』みたいにできれば、いいものになるのになぁって思います。

『パンデミック』でプレイヤーたちは、「特効薬を開発して、感染症から世界を救う」という目的のために行動します。全員が、同じ目的に向かっています。僕はこの状態を、「同じゲームをしている」と呼んでいます。

一方、なんか面白くないな…うまくいかないな…という仕事は、プレイヤーたちがバラバラな目的に向かって行動している気がします。つまり、「違うゲームをしている」状態です。

もちろん、現実の人間や組織はボードゲームのようにシンプルに、ひとつの目的に向かってまい進はできません。ですが少なくとも、仲間たちが全員、同じゲームの優先順位を上位に置く努力はすべきです。

たとえば上司が「成果を出すゲーム」よりも、「部下を精神的に支配するゲーム」に熱中していたら、部下は仕事が面白くなりません。部下にとってその仕事はクソゲーです。

また、仲間が違うゲームをしていたら、その仕事は成功しても「もうやだな…」となることが多い気がします。逆に、同じゲームができていれば、たとえ失敗しても「もう一回挑戦してやる!」という気持ちになれます。

「ルールブック」をつくって、本気で遊ぼう

では、どうすれば仲間と「同じゲーム」ができるのでしょうか。そこで必要になるのが「ルールブック」です。

ボードゲームでは、それがどんなゲームであろうと必ず、ルールブックがあり、勝利条件が書いてあります。これを仕事でも用意し、共有することです。

プレイヤーは、自身がそれを目的の上位に置いていることを他のプレイヤーに浸透させるのです。自身が本気ゲームをプレイすることを伝えて、プレイしている様子も実況します。ウソはバレます。違うゲームをやっていてもバレます。

これをできていると、仕事はいいものになるはずです。

しかしこれは、簡単なことではないです。だからこそ僕らは『パンデミック』のような協力ゲームで自然と構築される「ゲームへの本気な取り組み」で、格別の喜びを感じられるのかもしれません。

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