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詩集Romanticism

自分のなかから出てきた言葉を使って、なにか作ってみたいな、とずっと思っていました。
そこで、このたび小さな詩とことばの本を作りました。

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♦︎概要♦︎
『詩集Romanticism』
詩と写真で綴ったちいさな本です。
こわれやすい砂糖菓子のような、誰にも知られない涙のような。それでいて、さいごにはすこし前を向ける明るさを込めました。
・サイズ:52×74mm
・40ページ

販売予定
známka webショップ
11/20 21時〜

委託
①クリスマスマーケット『fairy tale cabinet』
英国とアリスの主催による小さなクリスマスマーケット。大阪・北浜の素敵な空間で開催です。

②トゥーティッキ
東京・高円寺のレンタルギャラリーです。známkaが星月夜のキットを販売するためにお借りしています。
星月夜のすみっこに、ちょこんと置かせていただきます。今月末にはお届けしたいと思っています。

※直販と委託では販売価格が異なることがあります

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お人形さんの小物にも使えるサイズです。
モックではなく、中身もちゃんと印刷のある「本」なところがおすすめです。

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余談
ここからは余談ですが、ご存知のとおりわたしはあれこれ色々なものをつくります。
まず、よく絵を描きますが、それを紙の人形にしてみたり、額に入れてみたりします。じつはあるアパレルブランドさんの社内部活のようなところで編物も教えていますし、人形のデザインもしますし、クマも縫いますし、編集やデザインの仕事もいまだにします。小説も書きます。
なんというか……「雑多」。
自分の印象をひとことでいうならその言葉につきます。雑多。

わたしとて、内心では「これしかできない」という作家に憧れています。人それぞれに特色と悩みがあり、どれが正しいということはないとわかっています。ないものねだりな話ですが、それでもそういう作家さんが一つのことに邁進してる感じがストイックっぽくて、「かっこいい!」って思ってしまうんだよなあ。
(ちなみに、これ系の話は本当にただのつまらないないものねだりです。ひとりよがりの甘えです。以前、友人の作家に「そのいつも言ってる「これしかできない」っていうの羨ましい、かっこいい」といったら、即座に「自律神経ばくはつしろ」と言われました。そうです。人にはそれぞれ生き方や希望や考えがありますので、気軽に、そして不躾に羨ましいなどと口にするものではないのです。ごめん)

誰もに当てはまるわけではないと思いますが、わたし自身は「雑多」には弱点があると思っています。
どの道も全部突き詰めるには人生は短すぎるため、一つ一つの精度や理解が薄くなる(ような気がする)ことです。
いいかえるなら、どれも中途半端。わたしはとにかくそれがいやでした。
たまに、あまり親しくない方に「お仕事なにされてるの?」と聞かれることがあります。作っているものが一つであれば「絵描きです」「人形作家です」とシンプルに答えられるでしょう。
でも、わたしはいつも一瞬、言葉に詰まってしまいます。一言でいえない自分のことが恥ずかしいような、中途半端な自分をふと思いしらされるような、そんな引け目に「うっ」となってしまうのです。
懊悩の結果、「えーと、自分が作れるものをあれこれ作って売っています…」などと歯切れの悪い返答になります。お相手は、大抵首をかしげられます。

多分こういうときは、適当に「絵描きです」とでもいっておけばいいのです。
……でも、なんか考えちゃうんだよねー。他のものも作ってるのに、その適当なうそを見透かされたらどうしようとかいろいろさー。
自分の雑多さに自信がないため、総合的に「作家です」と答えることにも躊躇いがあります。絵、人形、オブジェ、箱、くま、編物…そのすべてにおいて、作家と名乗れるほどの素晴らしい腕が自分にあるんじゃろうか?
……余談といって始めたわりに、冗長になってきました。
すみません、これ、本篇です。

要するになにがいいたいかというと、わたしは自分のすべてにとにかく自信がありません。
作るものの質以前に、おそらく自分という生き物の存在自体に自信がないのです。技術の問題ではなく、これは単に性格の問題だと最近気づきました。

自他ともに認めるかなり悩みがちなわたしですが、それでも「自信がない」系の話、Twitterなどではあまりしたことがありません。
理由は、私の作品を買ってくださったり、好きだと思ってくださった方ががっかりするだろうなと思うからです。
新作発表のたびに「わたしの描くものなんて…」という作家の絵がキラキラして見えますか?
これはきわめて個人的な意見ですが、作家の大事なつとめのひとつとして、完成した作品を自虐しないというのがあります。どんな言い方であっても、すこしでも作品を卑下することはいわない。現段階の腕が理想に遠いことは作家なら誰にでもあるでしょう。性格上、つい自信がなくて「わたしの作品なんて大したことない」と頭の中で考えてしまうこともあるでしょう。でも口に出したらだめ。思っとけ、というやつです。

めずらしく、わたしのプライドのようなものなのかもしれません。
どんなことも公の場での卑下の理由にはなりません。その時の精一杯を込めて完成させたのであれば、腕不足や不安は自分の中だけで消化すべきです。
そういう葛藤をやたらと表に出すのは、一見作家として切磋琢磨して技術向上に一生懸命に見えるかもしれませんが、現時点の作品を気に入ってくれるお客様にはとても失礼です。あと、作品の価値が下がります。※個人的な考えですよ

ねえ、なんの話なの?という気持ちになってきましたが、一応今回は新作の詩集の話につながっています。
雑多はよくないもの、という思いを長年抱えてるものですから、わたしは自分のできることの中で「これがメインの仕事というのを決めたい」という気持ちが無意識にあります。
例えば、長いことこういう考えでした。→『ペーパードールがわたしのメインの仕事で、箱やくま、額に入った絵は脇道』。
箱やくまにはなんとも失礼な話ですが、無意識にそういうふうにしようとしている自分がいます。
悪気はないのです。無意識ですから。このことに気づいたのは最近です。
もちろん、箱もくまも額絵もペーパードールと同じくらい気持ちと精度を注いでいます。でも心の中では彼らは一応脇道ちゃんたちなので、ついついお披露目は遅くなりますし、欲しいとおっしゃっていただくことはあっても販売に回さないこともあります。
そういう時は、大抵こういう状況↓
『だって最近、全然箱入りのペーパードールを作れてないんだもの!!』

……おわかりいただけますでしょうか。そういう必要なんだか不要なんだかいまいちわからない謎ルールを自分の中に設けていると、通称「脇道のものたち」を作っている時に不思議なことが起こります。
『ペーパードールを作らず脇道のものを作るのは、本業をおろそかにしている』
…という不安感をともなう謎思考です。
ばからしいな〜と頭ではわかっているのですが、気持ちが勝手に罪悪感を覚えるのです。何度もいいますが、無意識です。
こういう思考回路は仕事以外のことにも常にあって、長年かけてなんとなくからくりがわかってきていますが、その仕組みはとりあえず関係ないのでここでは説明しません。
つまりは、自分の作るものに勝手に優劣をつけているということです。ややこしいことに、その優劣は出来の良し悪しには関係ありません。箱だってくまだって十分素敵で可愛いのに、その価値をニュートラルに認めてあげられないので、どうも後回しにされるのです。
もったいない。

そんなこんなで、ずっと書き溜めていた詩や俳句、言葉たちも同様に、「最優先ではない脇道の産物」として、今日まで日の目を見ることなくしまわれていました。
今回詩集を作ろうと思ったのは、あえていえばcovid-19のおかげです。
そろそろ二年になろうとしている新型コロナウイルスにかかるあれこれで、わたしはどっぷり疲れました。もともとHSPまっしぐらな性質で周囲の感情に振り回されやすく、こわがりで、柔軟性にかける性格です。疲れるところまで疲れ果て、たぶんネジが何本かぽーんと飛んだのでしょう。
面倒くさいことを考えるのはちょっと控えよう…だって疲れたもの……となったのです。
命に関わる世界的規模の災厄を目の当たりにして、自分の悩みがだいぶどーーーでもいいことだなと思えるようになったというのもあります。

「自分の書く言葉が美しいと思ってるし、好きでしょ。順番なんてどうでもいいじゃん。結局みんな私から出てきたものなんだから」くらいのところまで、やっとのことで進歩しましたという感じです。そうしてできあがった小さな本は思った以上に可愛らしく、中身はとてもわたし好みで、美しくて、ロマンチックで、ちょっと湿っぽくて仄暗く、いい出来でした。

たったこれだけのこと。はじめからあたりまえのようにできるひともたくさんいると思うと情けないですが、「自分のペースで納得しないと先に進まない人間」と言われ続けてきた人生です。今回もそうでした。
わたしはわたしにしかなれないので、面倒でも、ひとりしかいないわたしを大事にして、なんとか付き合っていくしかないのです。


長くなりました。こんなに自分の内面のことをあけすけに書いたのは初めてだと思います。ちょっと恥ずかしいし、あえて言葉にしたら情けないし、幻滅も怖いですが、わたしとしては自分がすこやかに前に一歩進んだ出来事だと思っているので、その記念に書きました。
もしここまで全部読んでくださった方がいましたら、本当に本当にありがとうございます。
わたしの不器用な制作活動を見守って、支えてくださる方々のおかげで、きょうまでやってこられました。
そのことに、毎日心より感謝しています。


love, známka

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