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最後のひとつの苹果ジャム

 これ、一般論的なことでなく、あくまで「わたしはね」というやつなんですが、冷蔵庫に食べ物の〈最後のひとつ〉が残りがちです。

 なんとなくもったいないなぁという漠然とした気持ちが頭のなかのどこかにあるからだと思っていますが、原因は定かではありません。
 食品を廃棄するのは絶対に嫌だけど、じゃあさっさと食べ切ればいいじゃんというと、なぜかそれができない。
 ちなみに、買い置きや買いだめはほぼしません(災害備蓄は別)。とにかく食べ物を捨てることが恐ろしいので。
 なので、食品を実際に廃棄の憂き目にあわせることはほとんどないのですが、食べ切る瞬間までは気持ちのなかで色々とあるよね、という話。

 「あとひとつか〜。いつ食べよっかな〜」などと思っているうちに、いつしかいちばんいい食べ頃は過ぎ、「ああ急がにゃ、だめになる…」という焦る気持ちがさらにタイミングを逃し、そうこうしているうちにどんどん気が重たくなっていきます。
 結局、あまりいい状態でなくなったものを駆け込みセーフで食すことが多いのですが、これよくない。食べ物にも失礼。
 最近、この点について本気で悔い改めようと思い、己れの行動変容を促しているところです。

 …が、今回も残った。くそう。

 モノは苹果。オーストラリア産のジャズ。
 あの小さい、酸味のあるキリッとした味がとても好きです。ヨーロッパ映画に出てくる苹果みたい。女の子の手に握られていても決して大きすぎないあのサイズ…。
 子供の頃は、映画を見て外国の人は手が大きいのだと思っていました。苹果があんなにすっぽり掌のなかに収まるなんて。
 国産のリンゴと違い、いつまで経ってもカチンカチンに締まっていて一見状態変化が少ないあの実の性質が、ついこちらを油断させます。
 最後のひとつが、ずっと冷蔵庫にいらっしゃいました。

 昨日、葡萄を買ってきました。これは新旧交代を理由に重い腰をあげるよい機会と思い、夜中に最後の苹果をジャムにする計画を立案。
 味が落ちてるかもしれない最後の果物は、ジャムにするに限ります。
 最後のひとつ程度の量なら二、三日で食べるつもりで日持ちを気にしなくてもいいし、なにより翌朝のパン、ヨーグルト、紅茶が楽しみになる。

 固いジャズをジャムにしたことがなかったのでどうかなとは思いましたが、まあいいや。
 なにごとも、やってみないとわからん。

 角切りにした苹果を同量の三温糖と一緒に琺瑯鍋に入れます。ミルクパンで十分な量。
 ここに呼び水的な少量の水分を加えて煮れば、まあどうやったってジャムなのですが、こういう時は折角なので楽しい要素を考える。

 ♦︎酒飲みの案
  ・ラムで煮る
  ・ジンで煮る

 ♦︎魔女見習いの案
  ・ローズマリー(庭の枝)と蜂蜜
  ・シナモンとカルダモンと黒胡椒(S&B←魔女?)
  ・胡桃と干し葡萄

 ♦︎やったことがない案
  ???

 お酒で苹果を煮るなら、まず間違いはありません。煮なくても、最後数滴垂らすという手もある。 
 また、ハーブ・スパイス系も苹果の古きよき友人です。
 ああ楽しいな、なんにしよ〜かな〜と、真夜中に角切り苹果(皮付)を眺めていたらふと思いつき、昨晩はこのようなレシピにしました。

材料
ジャズ(固めで酸味のある種類の苹果):最後のひとつ
三温糖:苹果と同量かお好みで
濃いめのミントティー:適量

①琺瑯鍋に、1cm角程度の皮付き苹果の角切りと三温糖を入れる。
②別の鍋にコップ一杯分くらいの少量の水を沸かし、生のミントを一掴み入れ、濃いめのミントティー(抽出液)を作る
③①にミントティーを適量加え、火にかける
④好きな煮具合になったら火を止め、壜に入れて冷蔵庫で保存。二、三日中に食べ切る。

 ジャズの皮の色は濃いです。紅玉に似ているでしょうか。
 煮ると渋い赤が溶け出し、なんとも素敵な臙脂色。

 ミントティー適量とは?と思う方もいるでしょうが、最初はごく少量入れて煮はじめてみて、苹果が好きな煮具合になるまえにお茶が蒸発してしまったら、その時は追加してください。  
 ジャムのコツは、なんでも少しずつ、です。

 ミントは軒下で育てているミント三種のなかからキューバミントを選びました。一番育ってたくさんあったから。
 スペアミントなら、ミントの清涼感がより強く際立つでしょう。
 やや砂糖を入れすぎたので(同量をちゃんと量りませんでした)、サイダーで割ってレモンを入れてもきっと幸せよ。

 では、また。良い一日を。

 参考:林檎と苹果

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