かんでんち

 ガスコンロに火をつけるとピーッという電子音がした。

 コンロの異常を知らせる音なので一瞬冷っとしながら見てみると、斜線が入った電池のマークが赤く点滅していた。なるほど、電池がきれたのだとおもって、とり出してみると単一の乾電池2本が顔を出した。

 前に交換したのはいつだっただろう。全く覚えていないが、それよりも電池を買うことが昔に比べてずいぶん減ったように思えた。ともかくも雨だが電池を買いに行かねばならない。

 歩きながら考えた。乾電池という言葉の響きには何とも言えない違和感のようなものを感じる。円筒形で片方が出張ったこの物質は、乾電池ではなくもっとしっくりくる適当な名前があるのではないか。別の名前を考える気も起きなかったが、昔自分がしていた勘違いを思い出した。

 子供のころ、音で聞いた「かんでんち」という言葉を私は「缶電池」と認識していた。乾電池の形は缶詰めや缶入り飲料の形に似ていたし、感触もそっくりだったから。それに平べったいのはボタン電池というじゃないか、と。

 あとからわかったことだが乾電池の正式名称は円筒型乾電池といい、ボタン電池はボタン型電池というらしい。この情報で余計にもやもやが大きくなった。

 「かん」がなぜ「乾」なのか、なぜ池なのかと、どうでもいいことを考えながら肉まんと電池を買って帰ってきた。電池を入れ替えると、コンロは勢いのいいカチチチチチチという音をたてて点火した。ただそれだけだった。役目を終えた電池をまじまじとみてみる。「アルカリ乾電池」と小さく印字されていた。

 でもやっぱ缶電池は缶電池だよ。


 

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ぜん雑記

きになったものもの。
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