JFL 第14節 鈴鹿ポイントゲッターズ プレビュー

第3節 鈴鹿ポイントゲッターズ 2-0 クリアソン新宿

新宿のシュート数が12本に対して、鈴鹿は前節の高知戦から中2日で、しかもスタメン8人を変えるという、いわゆるターンオーバー的な布陣でこの試合を挑んできたために、攻撃が上手く噛み合わず鈴鹿のシュート数は3本と、この試合では新宿に試合の主導権を握られてしまった。しかし、36分、新宿はPKのチャンスを得るがまさかのノーゴール。すると、鈴鹿が68分にショートカウンターで後半途中のHTに交代して入ったFW19番が先制点となるゴールを決める。その後、新宿の攻勢が続くもなかなかゴールまでが遠く、ここにきて決定力不足が再出してしまった。一方で鈴鹿は、AT4分に新宿のCKからのカウンターで勝利を決定づけるゴールをまたしてもFW19番が鮮やかに決めた。ターンオーバーで挑んだ鈴鹿としては貴重な勝点3を獲得し、前節の高知戦と合わせて2連勝とした。反対に新宿としては、試合の主導権を握っていたのにも関わらず残念な敗戦となり、結果3連勝を上げることはできなかった。

第12節 FC大阪 1-0 鈴鹿ポイントゲッターズ

FC大阪は、前節のアウェーしまね戦で1-3で敗戦したもののスタメン7人を変えてきたことで、この試合では主力選手達は2週間きっちりリフレッシュをはかり準備万端でこの試合に挑むことができた。これはこの花園第1Gでは絶対に勝つんだという強い意志の表れだろう。一方で、鈴鹿は新宿戦から中3日というタイトな試合日程のため、この試合では新宿戦よりスタメンを8人変えてFC大阪に迎え撃ってきた。この差なのかははっきりとは分からないが、やはりコンディション的に有利な立場のFC大阪が、得意のハードワークで試合の序盤から鈴鹿を圧倒していった。そのため、鈴鹿に対してチャンスらしいチャンスをほとんど与えさせなかった。しかし、鈴鹿の三浦泰監督も事前のスカウティングでしっかりと把握していたかのように、この試合では最終ラインを5バック気味に引いて守備から試合を作っていた。そのせいか、FC大阪にシュートを9本打たれたとはいっても決定的な危ない場面をほとんど作らせなかった。そんななか、60分過ぎたところから、鈴鹿にも少しづつ前へ出ていく時間が増え始め、右サイドを中心に右SH41番の活躍で何度か良い展開の攻撃を作っていた。しかし、その成果もむなしく、89分、FC大阪は得意のリスタートで決勝点を上げるゴールを奪い、見事に12,152人の観客動員数を集客した花園第1Gでの記念すべき試合をものにすることができた。

第13節 鈴鹿ポイントゲッターズ 0-0 FC神楽しまね

鈴鹿は、前半の立ち上がりから積極的にプレッシングを仕掛けて相手をサイドへ追い込み、そこからボールを奪って縦に早い攻撃へ繋げて試合の主導権を握ろうと試みたこの試合。しかし、鈴鹿の思惑通りにはいかなかった。それは、前節のFC大阪戦での守備へ重心を置き過ぎたことがこの試合では仇となったのか、しまねにマイボールでしっかりと後方から繋がれて前進されると、鈴鹿の最終ラインがずるずると下がってしまい、前線のプレッシングとのかみ合わせが合わなくなってきてしまい、しまねにセカンドボールをほとんど奪われる場面が増えたためだ。そして、鈴鹿の攻撃の起点となるボランチ7番が、自陣の最終ラインに吸収されたところからのスタートとなってしまうために、どうしても攻撃が間延びしてしまう展開が出てきてしまい、鈴鹿の攻撃は人数をかけてスピーディーに上手く繋がらず、サイドへ深く入っても質の低いクロスを上げることが精一杯となってしまった印象を受けた。しかし、HondaFC、大分、三重戦で複数失点して3連敗(天皇杯除く)を喫してしまった守備については、三浦泰監督の修正が効いてきたのか、この試合でもしまねにボールの支配率で上回れてしまっても、失点は防げるようになってきたことは良い傾向だろう。一方でしまねは、80分過ぎた辺りからさすがに攻め疲れしたのか、選手達のパフォーマンスが明らかに落ち始め、鈴鹿の攻撃を一方的に浴びる展開となってしまい、ゴールを奪うことができずに勝点1を鈴鹿と分ける結果となってしまった。

VS 鈴鹿ポイントゲッターズ プレビュー

この3試合を見てみると、鈴鹿の基本フォーメーションはFC大阪戦ではタイトなスケジュールのせいもあってか、3-4-2-1的な布陣を率いて戦っていたが、それ以外の試合では概ね4-4-2(4-2-3-1)の比較的シンプルなフォーメーションとなっていた。攻撃時は両SBが比較的高い位置を取り、ボランチ7番は最終ラインへ入ることが多く見られ、もう一人のボランチがその1列前をフォローするようなひし形を形成していた。とはいっても、このボランチ7番は左サイドが主戦場と一応はなってはいるが、中央や右サイド、果てはトップの位置まで自由にポジショニングを取っていることが多く、そこはある程度個人の判断で監督から任されている選手のようだ。そのため、基本となる攻撃については、彼が中心となって両サイドを中心として縦に早い攻撃でゴールを奪うスタイルが、鈴鹿の思考の最優先となっている。また、彼の左足からの正確無比なリスタートはとても驚異的だ。

守備時は、FC大阪戦では最終ラインが5バックを形成して、5-4-1のシステムで3ラインがゴール前に強固なブロックを引いて待ち構えていたが、それ以外は、基本フォーメーションから大きく可変することなく4-4-2を形成してそのまま守っていた。そして、先述したことだが、本来なら前線からアグレッシブなプレッシングを仕掛けて相手陳内でボールを奪い、ショートカウンターを狙って攻撃を作っていきたいと考えていたようだが、3連敗したときにいずれも複数失点を喫してしまったために、最終ラインはこの3試合を見たかぎりではとてもハイラインとはいえない、まずは失点をしないことを最優先している現実的なライン設定を取っていたようにみえた。その成果もあってここ直近の4試合ではFC大阪戦以外(といっても1失点だが)の3試合ではウノゼロを達成している。守備が安定してきているだけに今度は攻撃を再構築していきたい、現状の鈴鹿はそんな状況に置かれている。

そんな鈴鹿の要注意選手は、何をおいてもボランチ7番なのは誰の目にも明らかだろう。彼のプレースタイルは正確無比なパスと高度な戦術眼を武器としレジスタとして活躍した、元イタリア代表のアンドレア・ピルロを彷彿とする。彼が繰り出すスルーパスはまさにレジスタそのもので、そのプレーの素晴らしさについつい見とれてしまうほどだ。もちろんスルーパスだけが素晴らしいだけではなく、常に一歩先、二歩先を読む客観性に優れた戦術眼に基づく認知判断力は、フィールドプレイヤーの誰よりも視野が広いし正確だ。そんなところも彼はとても素晴らしい。そんな彼だからこそフリーで自由にプレーさせてはいけないのは当然である。とはいえ、彼はポジショニングを自由に取ってくるので非常にマークがつきにくい。奈良クラブとしては、彼のマークの受け渡しを90分間正確に行わなければいけない。そうでないと間違いなく決定機を彼から作られることになるだろう。奈良クラブにとってとても危険な選手だ。

その他の要注意選手なのは右SH19番だろう。現在7ゴールはJFLでの得点ランキング1位と並んでいる。そんな得点王の彼ではあるが、彼の持ち味は決定力の高さだけではない。新宿戦でも見せたように、スピード感あるドリブルと思いっきりのよさが彼の素晴らしさだと思っている。新宿戦の先制点では、果敢にペナ内へ進入してゴールを決めた場面がまさにそのことを証明していると言える。決勝点も同様だ。その他の選手はFW41番だ。彼はその恵まれた体格とスピードの他に、周りの選手を活かせることもできる選手だ。FC大阪戦ではゴールこそ奪うことはできなかったが、右サイドへ彼が入ってからは守備一辺倒だったところから、一気にその流れを鈴鹿ペースへ変えてみせた。奈良戦では、CFか右SHの出場か分からないが、スーパーサブとして彼が後半途中から出てきた場合は、奈良クラブの左サイドはとても難しい対応を取らないといけなくなると思われる。後の要注意選手はやはりFW11番のキングカズこと三浦知良選手だろう。第8節のHondaFC戦以来出場はないようだが、彼がベンチ入りするだけでもスタジアムの雰囲気は一変すると思われるので、そこは注目しておきたい。

そんな鈴鹿に対して奈良クラブはどうやって試合を進めていけばよいかを考えてみる。まず攻撃について。鈴鹿はおそらくしまね戦と同じく立ち上がりは、アグレッシブにプレッシングを仕掛けてくると思われる。しかし、ここ4試合では守備に重心を傾けているということで、奈良クラブが効率的に攻撃をすれば、10分過ぎた辺りから鈴鹿の最終ラインは少しづつ下がり気味になってくると思われる。そのため、立ち上がりからの失点は是が非でも防がなければいけない。そして、前節のソニー戦でもソニーのプレッシングをほとんど回避してみせた奈良クラブなら、鈴鹿戦でもおそらく問題ないとここは楽観視している。そうすると、しまね戦のしまねと同じく、奈良クラブも試合の主導権を握る展開へと移っていくのではないだろうか。しかし、その後のしまねは鈴鹿にゴールを奪えなかった。その主な原因は、ボール保持率がいくら高くても緩急をつけたビルドアップができていないからだと考えている。奈良クラブのCHがそこを意識した球出しができればゴールを奪うことも十分可能になってくるだろう。それ以外では、要注意選手のボランチ7番の空いたスペースをついていくことだ。彼は自由にポジショニングを取ってくるがゆえに、彼を意図的に上手く誘い込むことさえできれば、その空いたスペースを素早くつくことでゴールを奪うチャンスが増えてくると思われる。そのため、彼の動きを選手全員が声を出し合って確認し合う必要がある。攻撃ではこういったところか。

守備については、奈良クラブの前線のプレッシングはボランチ7番のケアはもちろんのこと、右CB20番の球の出どころも十分に注意しなくてはならない。彼のロングフィードも奈良クラブにとって非常に驚異的だからだ。それ以外では、こういった縦に早い攻撃を仕掛けてくるチームに対してもっとも重要なことは、セカンドボールの回収と球際の競り合いでは絶対に負けないことだ。しまねが鈴鹿から試合の主導権を握れたことの大きな要因の一つがここにあったからだ。ここでセカンドボールを奪えれば、奈良クラブは鈴鹿から波状攻撃を受けずに単発的な攻撃となると予想している。セカンドボールと球際。いつものことだがやはり鈴鹿戦でも変わりがない大切なポイントだ。

明日の四日市も最高気温が33℃ととても高い予想となっている。こんな猛暑の午後にサッカーをしている選手達のコンディションがとても心配ではある。しかし、そうはいっていられないのも現実だ。鈴鹿も先日の報道で逆にモチベーションは高くなっていると思われる。選手、コーチ、スタッフ、ファンサポーターが死にものぐるいで勝ちに向かってくるだろう。その厳しい戦いから勝ち点を奪い取る強い奈良クラブをぜひ見てみたい。

そんなことで今回の得点予想は1-0の辛勝で奈良クラブの勝ちを予想!

バモス!奈良クラブ!
勝ってアウェーで無双するのも悪くない!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?