2022年 7月17日 奈良クラブ 2-0 MIOびわこ滋賀 感想


無事に試合が開催されて良かった…




これがこの試合の一番の何よりの思いだ。そのため、試合の当日であっても不安を払拭することはなかった。それは、他の興行でも当日の数時間前になって急遽興行の中止を宣告されたという現実をまざまざと目の当たりにしてきたからだろう。結局のところこの試合は予定時刻内で無事に開催された訳だが、このことを知ったのは試合開始時刻より数時間後のかなり遅い深夜の時間帯だった。これは私事なので仕方がないのだが…

スターティングメンバー

この試合のスターティングメンバーを試合前に見たとき、一抹の不安はある程度解消された。特に2CBとCHのポジション。チームの屋台骨となるこのトライアングルポジションは現在好調の奈良クラブを下支えする中核といっていいからだ。第11節ホンダロック戦では1-0と勝利こそはしたものの、CHがカード累積で出場できなかったために、セカンドボールを重要な局面で相手にほとんど回収されてしまい、試合の主導権を握れなかったことがあったからだ。この高い感染力のある感染症は誰がいつどこで感染して発症するかは全く分からない。このことについては、今まで以上にチーム内での競争力が、これから先のリーグ戦を戦う上でさらに重要さを増すことになるだろう。JFLの優勝を目指すのであれば尚のことだ。

それではこの試合の感想について書いてみよう。まず相手の滋賀の守備の狙いとしては、今期JFLでは初めてスタメン起用となったボランチの國領選手だったのは間違いない。

(以下敬称略 相手番号反映せず)

13分

右CB4番のロングパスに都並が前方へダイレクトパス→國領が回収するもFW16番に競り負けボールを奪われる 右WG桑島は中へ入ってフォロー その空いた桑島のスペースへ16番→左SH27番に付かれる 27番→16番にリターンパスが入り右ポケットを進入 森田が競り合うも転倒 16番→右サイドでFW18番へ渡る 國領ペナ内右で18番に寄せるもクロスを上げられる

13分の他にも…


5分、アルナウ→伊勢→國領で相手のプレスにボールロスト→都並回収

6分、左サイドから寺島のスローイン→寺村→國領も相手のプレスにボールこぼれ左タッチライン割る 相手ファール

15分、GK41番ロングボール→都並が頭で前方へ→FW16番が上手く体を使って國領をかわしボールを保持 國領16番の後方からカットもボランチ5番がこぼれ球を回収 桑島右SBの位置まで下がる

22分

寺村→國領もボランチ5番にインターセプト 國領右サイドの都並へ指示出していたが後方の空いているスペースまで降りるべきだったか?

28分、伊勢→國領も相手にインターセプト

34分、左サイドスから寺島のスローイン 森田→寺村→國領も回収できずに相手2人に挟まれてボールを奪われる 最後寺村と森田挟んでシュートブロック


このように、滋賀の狙いは明白だった。しかし…

33分

アルナウ→寺島が相手を上手くかわしてから→寺村→國領→森田→寺島→森アーリークロス 相手クリア 寺村前へ走り込んでクリアボールを回収→森クロスも相手に潰されゴールラインを割る

このように、左CB寺村から國領が相手4人の空いているスペースへ上手く入ることで、寺村からのパスを受けやすい状況を作り出し森田へ繋げている。しかし、その後の34分の國領からボールを奪われるプレーをフリアンが重く見たからか、その直後の35分に、右WG桑島とボランチ國領のポジションチェンジを指示した。

一方で、ボランチへと変更した桑島は、ボランチのポジションで構えると相手がそこを囲んで相手に捕まえられることは國領を見て分かっていたからか、ポジショニングを中央の位置だけに留まらずに左サイド、最終ラインと上下左右にハードワークをして動くことで相手のマークを外し、フリーの状態を上手く作り出していた。 そのため、40分以降からは、奈良クラブのビルドアップが後方からスムーズにボールが動くようになり、そのことが結果として先制点を上げる原動力となった。

試合後のインタビューで、國領はこのポジションチェンジについてかなり自己否定的な受け答えをしていたことがとても気になった。確かに桑島がボランチにポジションチェンジしてから奈良クラブのビルドアップはスムーズにボールが動いたのは事実ではあるが、それは桑島が相手の國領への狙いを理解していたからの判断であったからで、何も桑島が特別にスペシャルなプレーをしていたからではない。おそらく、試合開始から桑島がボランチのポジションについていたなら、國領と同じく相手からボールロストを繰り返していたに違いない。それは桑島だけでなく可児や片岡や金子雄でも同様だろう。なぜなら、それが滋賀の狙いだったからだ。そのため、國領には絶対に自分のプレーを悲観し過ぎないでほしい。次はもっとできるはずだと自信を持ってプレーしてもらいたい。そして、國領のストロングポイントをどんどん進化していってほしい。そんな國領をピッチで見れると私は確信している。それはももちろん私だけでは無い。選手も監督もスタッフもファンサポーターもみんな一緒の気持ちだろう。そんななか…

44分

相手のクリアボールを寺島が追うことで、森田が最終ライン左サイド付近でボールを回収 桑島も最前線からIHの位置まで全速力で戻る 森田→桑島へ 16番を上手くかわして桑島から浅川へ縦に浮き球のループクロス 一気に相手の6人の背中を取る 浅川は26番とGKが競り合うもシュート そのこぼれ球を29番3番が寄せにくるも最後に詰めていた國領がゴールを奪う

この先制点は本当に素晴らしいゴールだ。40分以降に奈良クラブが後方からよいビルドアップを展開していたからなのは、ここで何度も先述した通りだ。確かに桑島の芸術的なループクロスはもちろんだが、森田のタッチラインへ割らせない献身的で決して諦めないプレーと、國領が慣れない右WGのポジションだったとはいえ、最後まで詰めていってあの位置へポジショニングしていたからこそ生まれたゴールだったからだ。一見すると、速攻で効率的に奪ったゴールのように見えるかもしれないが、それは全く違っていて、チーム全員で上げたゴールだということが、少しでも分かってもらえればありがたい。

後半に入ってもよい流れでゲームを展開できていたからこそ、65分、滋賀のCKからのカウンターでこの試合の勝利を決定づける追加点を上げられたのは間違いない。ここでもトランジションで相手を上回った桑島のパスと森の相手のスライディングをかわしたスピードに乗ったドリブルの突破力と冷静な判断でゴールを奪った浅川のシュートが素晴らしかったことはここで言わねばならない。この追加点のお陰で、この後は選手交代を最終的に5人をフルに交代することができ、活動期間が少なかったチームに対して、公式戦で一人でも多くの選手を試すことが可能になったことはとても大きかった。しかし、そんななかあえてこの場面だけは取り上げなくてはいけない。それは…

90分+1分

伊勢のクリアボールに相手のGKが回収 そこにCF浜田がプレス GKはロングパス それをボランチの金子雄が収める 前方には浜田 フリーST桑島 フリー左WG加藤もいるなか金子雄は最終ラインへバックパス 時間帯と2点差を考えると縦パスを入れてリスクを追って勝負する場面だったのでは?

これはとても残念なプレーだった。第6節三重戦以来の金子雄の鋭いスルーパスが久しぶり見られると気持ちを高ぶらせた場面だっただけに、少し間があってからの最終ラインへバックパスを選択してしまったことは、彼のこれからの大きすぎる課題となってしまった。それでなくともここのポジションには森田、國領、桑島、可児、片岡、山本と群雄割拠の熾烈なMF争いとなっている。次こそは彼のリスクを恐れない勇猛果敢なチャレンジを見てみたい。それこそが、今回のような事態が生じてしまっていてもチームが動じない原因になるからだ。とはいっても、この状況下で満足にトレーニングができず、またコンディション的にも難しい試合だったにも関わらず、結果はもちろん内容でも相手を上回ることができ、そこへさらに、勝点+3を積み上げられたことはこれはかなり大きいといえる。JFL優勝するチームの風格も備わってきている、と言っても大袈裟ではないような雰囲気を漂わせていると私は感じる。これは少し贔屓目だろうか…

最後に、このようなクラブの緊急事態のなか、前節の枚方戦は残念ながら中止を余儀なくされてしまったが、この試合を開催するにあたりご尽力されたクラブのスタッフの方、ボランティアの方、クラブ関係者各位の皆さまの絶え間ない努力により、この試合を無事開催して頂けたことに感謝の言葉を送りたい。

本当にありがとうございました。

MIOびわこ滋賀の皆さまもご協力下さり本当にありがとうございました。

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