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ぞんびのリミテッド大考察『イクサラン:失われし洞窟』序文

こんにちは、ぞんびです。

Center of the Earth!

お久しぶり、というほどの期間を開かずの記事ですね。エルドレインの森発売まではかなり時間があったものの、イクサランが来るの早くない?エルドレイン昨日じゃかった?
再訪の連続となるエキスパンションですが、正直前回のイクサランはカードパワー的なメスが入る直前のセットでありかなりセット全体としても地味だった記憶があるのですが、令和の今、イクサランというジャングルはどうなっているのか我々も大探検ですね。


今回も『リミテッド大考察』シリーズとして、エキスパンション全体を踏まえたカード評価をやっていこうと思います。全7記事を予定しています。今回は久々に「ボーナスシート」枠がドラフトに存在せず、ちょっと楽ができますね。
まず最初となるこの記事ではイクサランの洞窟(以下LCI)全体の能力や特徴や気づいたこと、そのそれぞれの分析や考察をしていこうと思います。この記事シリーズの目的である、『環境分析』をする際のとっかかりを可能な限り並べようということですね。


カード個別評価白編はこちら
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カード個別評価緑編はこちら
カード個別評価多色+その他編はこちら
カード個別評価アルケミー編はこちら


前提事項
以下、この記事シリーズの前提やテーマとなる部分となります。
・MTGAでのプレミアドラフトを前提としています。
・BO1、対人ドラフトとなるためBO3やクイックドラフトとはいくつか話が変わります。
・実際にイクサラン:失われし洞窟のドラフトが始まる前にカードリストやギミックと向き合い『こうなるだろう』『これらはどうだろうか』と予測交じりの考察をしていきます。
・この記事での用語として以下を使っています
  専門性:カードの強さが、特定のギミックに強く依存しており、そのギミックを強く補強していること。そのギミックに関わるカードを多くとレア取るほど強くなったり逆に単独で存在していても弱いことなどを示す時等に使用。
  越境性:カードが複数のギミック/アーキタイプを跨ってサポートしていること。これが高いほど、『どのようなアーキタイプやデッキを目指していても採用しやすいカード』と言え特にピックの序盤に取りやすく、取っても後続の選択肢が狭くなりづらいです。
・この記事をまず『序文』として、環境全体の分析やギミックの振り返りなどをしていきます。その後、各色のカード評価を個別に行っていきます。環境全体観や各ギミックの影響を先に把握し、存在するアーキタイプなどのイメージを固めないと正確なカード評価につながらないからですね。

1:イクサランの洞窟全体について


これも今回初再訪となる次元ですね。前回は「不滅の太陽を巡った4陣営の争い」にフォーカスされていました。5色を4部族に分けて、それぞれの部族ごとのテーマ及びメカニズムを持ったセットでした。勢力を拡大し太陽に近づくことを表した『昇殿』はいまいちでしたが、今でも大人気の宝物が初登場したエキスパンションでもありますね。変身もかなり拡大して用いられていたりもしました。
今回は次元のイメージは保ったまま『洞窟探検』がテーマになっています。南米の神話や空気感を強くモチーフとして設定し、洞窟で待つ発見や死、神やモンスターがちりばめられていますね。
全体的に前の『ジャングルの冒険』をモチーフにした空気を残しながらも、また新たなテイストとなっており非常にワクワクするエキスパンションです。

2:新規メカニズム『落魄』

今回のイクサラン全体のテーマである「下にもぐる」を表現するために新たに制定された用語ですね。概ね「パーマネント・カードが墓地にあること」を示しますが3種類の用途があるため小分けにして説明します


・落魄4/落魄8


おそらくもっとも基本だと思う落魄です。
墓地にパーマネントカードが4枚または8枚存在することで能力を得る、あるいは強化されるカード群です。
まず、4枚はまだしも8枚はだいぶしんどいですね。今回全体的にルーティング手段が少ないので土地を墓地に落とすのがちょっと難しいんですよね。土地を用いずに墓地にパーマネントカードを溜めようとすると「4枚は全呪文のうちの1/6」「8枚は1/3」という事実を押さえておく必要があります。何も補助なく達成はあきらめた方がいいという意味でもあります。
どのような手段で墓地に送るのかがいいかはまた別途気づきのところで項目だてますが、「そのつもりでピックと構築をしないと無理」だと思います。落魄せずにどの程度強いかもかなり評価に入れる必要がありますね。また、当然パーマネントである落魄カードの方が非パーマネントよりも評価しやすいです。


・底なしの落魄

これはちょっとした亜種ですね。一定の枚数で能力がオンになるんじゃなくて1枚ごとに効果が強化される形です。
大体2枚でまぁまぉ、3枚を超えると十分強いくらいの形になっており、落魄を特に意識しないデッキでも使いやすいんじゃないでしょうか。とはいえ枚数はこれも極めて少なくレアリティも高いですね。


・このターンに落魄していた場合

これだけ能力語的な用法じゃなくてルール用語的な扱いなんで結構混乱すると噂の使い方ですね。
自分の墓地にどこからでもいいのでパーマネント・カードが墓地に置かれていれば「落魄した」と見なされて能力が誘発します。
注意点としては、まず墓地に置かれる元はどこでもいいことですね。切削やサイクリングなどの直接ディスカードや、シンプルに戦場から送られたり呪文が打ち消されることでも落魄扱いになります。ゲーム中盤では達成簡単そうですね。
また、パーマネント”カード”に限定しているのでトークン類では反応しません。特に今回はアーティファクトトークンがひしめいており、そのどれでも誘発にはならないのは気を付けておきましょう。

落魄は3つものアーキタイプにも割り当てられていますが、その全部が黒いです。そのことからもわかるように黒という色単位で落魄が割り当てられていると言えるでしょう。他の色ではそもそも落魄を必要とするカードが少ない一方で、黒は逆に落魄に付き合わないとコモンの戦力が心もとなかったりもします。
また、落魄を扱う際はデッキの中のパーマネント数にも注意しましょう。非パーマネントが増えれば増えるほど当たり前のように達成が難しくなります。切削などした場合も外れやすくなりますし。また、切削を行うカード自体も多いため、もしかしたらデッキ枚数も40枚に固定する必要がない可能性にも思い当っておきましょう。


3:新規メカニズム『発見』

第二の新規メカニズムはマローヒントでの予告もあった『昔の大人気メカニズムが調整されて再登場』となった発見です。強力なカードが多く、良く使われた続唱が元となっていますね。


発見nを行う、という形でカードには書いてあります。nの数字も、条件も様々ですね。
発見nを行うと「n以下のマナコストのカード1枚がランダムで手に入り、それを即座にマナを払わずに唱えるか手札に加えるかを選べる」となります。能力の効果としては非常に強力ですね。どんなに悪くても「土地以外が手に入るドロー」ですし、大体の場合はそのまま唱えるのでマナコスト分得できます。
しかし今回存在している数が極端に少なく、コモンだとたった3枚、アンコモン以上を加えても10枚程度です。
そのため発見が環境に影響をどうこうや、メカニズムとしてどうこう語るよりも、それぞれのカード毎に個別に語ったほうが良さそうですね。発見の条件や数字もバラバラで一概に語りにくすぎます。
ただ言えるのは、「コスト/数字が大きいと下振れが激しくなる」という特徴があることですね。一般的にデッキに入るカードはマナコストが大きくなればなるほど少なくなるので、もし仮に『Xマナ:発見Xを行う』というカードがあった場合、「払ったコストに見合うカードが捲れるか」はXが大きければ大きいほど減るはずです。そのため、評価の際もそのようなカードには厳しく評価つけてますね。
逆にコストが小さくて発見できるカードは、カードとしての元々の効果次第ですけど評価しやすそうです。


4:新規メカニズム『作製』

今回の完全新規メカニズムの一つです。
変身メカニズムの一種ですね。

全て表面が非クリーチャーのアーティファクトについている能力です。アーティファクトを素体に別のカードをくみ上げるというイメージですね。
マナコスト+作成の素材に何が必要かという形式で能力が書いてあります。
ソーサリータイミングでマナを支払いながら素材を必要な数だけ戦場あるいは墓地から追放することで変身させることができますね。
変身の形式が統一されているだけで、おおむね過去の変身カードや『戦場にいるときにマナを払って強くなる』系統のカードと同じプレイ感覚ですね。
表面がクリーチャーでないため盤面有利は序盤手放しやすいですが、スムーズに作成できたら表面と合わせて影響が大きいカードが多いですね。
ただし、結局盤面で大きく有利になるカードは少なく、速やかに作成して有利になるカードというよりは『消耗戦の果てのゴールとして扱える』カード群だと思います。素材を墓地から調達できるのもその方向性を推し進めてくれていますね。相打ちなどを繰り返したりして盤面を落ち着かせ、たがいにマナが余る場面でこちらは大きなフィニッシャーを手に入れるという流れが理想です。
落魄と違い戦場から追放する素材には『カード』の指定がないのでトークンも用いれますね。余った宝物とかを変換できるのは結構大事そう。
『墓地を消費してしまう』関係上落魄とは相性が悪く見えますがその一方で『デッキにパーマネントが増える』助けになったりもします。どうせゲーム中盤以降にしか作成しない=落魄の必要性を判断してから使えることが多いので最終的にはあんまり喧嘩しないんじゃないかな?バランスにもよりますが。
青白が割り当てられておりそこで10枚程度、それ以外の3色+アーティファクトで10枚程度となってます。作製を直接補助するカードも特にないので『作製デッキ!』みたいなまとめ方は難しそうかなと思います。
ちなみに作製を持つカード自身の追放までがコストなので『作製に対応して削剥で除去』みたいなことはできないです。大体の場合は作製が完了した後に除去すればいいですが、土地に変じるタイプやEtB持ってるタイプ相手にはそうもいかないので覚えておきましょう

5:再録メカニズム『探検』

前回イクサランで登場し、人気を博したメカニズムですね。

何等かを条件として行われるキーワード処理で、『ライブラリーの一番上を公開して、土地なら手札に加え、そうでないならカウンターを1個設置後墓地に置くか戻すかを選べる』というものです。その性質上必ずクリーチャーについているか、『クリーチャーが探検を行う』という形になっていますね。
とりあえず最低限疑似的な1ドローが行えます。良質なカードを引くというよりは『不要なカードを1枚分掘り進める』という感じですね。土地が捲れたら純粋に土地が伸びて長期戦に構えれるのもいいですし、カウンターが乗ったらその場で即時的に盤面が有利になります。前回はちょっとサイズ難であることも多かったですが今回はまずまずなサイズのクリーチャーについていることも多いですね。
実際のところどう扱えばいいかはちょっと今回難しいです。一見落魄と相性がいいんですが、土地をめくっても墓地に送れませんし、土地じゃないものをめくった時になんでもかんでも(有用なパーマネントも)落魄のために墓地に送るというようなことをしているとトータルでドローの質が悪くなってしまいます。とはいえ、これを持っているカードは殆どがパーマネントであることを考えると間接的に落魄の手助けはできる、くらいですね。
土地を伸ばして作製のコストをねん出する、地図トークンと重ねて探検することでサイズアップを狙うなども含めて他のメカニズムと最も連携を取れるし取らないと漫然としてしまいそうな能力です。

6:新規メカニズム『地図・トークン』

新しいトークンが生まれました。ただし、効果はかなり見おぼえがありますね。


上で説明した探検を行えるトークンですね。
違いはソーサリータイミングであることと、クリーチャーを対象にとって行うことです。
ソーサリーなので、相手の動きを見てから使うということはできないですね。除去を見てからサイズアップというようなことはできないのは注意です。
また、クリーチャーを対象に取らないといけないのでクリーチャーがいない状況では一切使うことができませんし、使用後にクリーチャーを除去されてしまった場合解決自体もできないです。
そのため山札の不要牌を取り除く目的で使う場合にはあまりとっておき過ぎてしまうと最後使えなくて困るということにもなりえます。クリーチャーのサイズアップの影響を考えても早め早めに使ってしまった方がいいでしょう。この辺り、よく似ているトークンである血トークンとは真逆の性質ともいえますね。
これも数自体は少ないものの作製のコストに便利だったり、シンプルにビートダウン方面で使えたりと、結構見ることが多くなると思います。どのデッキが使っても強いので、今回のメカニズムの中で最も『なんとなく採用』できますね。

7:再録メカニズム『変身』

作製で一部触れましたが、今回はそれはそれとして変身カードもサイクルの形で登場していますね。


今回の作成以外の変身カードはすべて土地になるものですね。死亡時に土地に還り、条件付きで戻ってくる『神』が5枚と、レアで土地に変わるサイクルが5+1枚、あとアンコモンで『作製』担当じゃない色に配置されていますね。
今回は『コモン/アンコモンの変身カード確定枠』が存在するのでアンコモンの変身カードは意外と見ることになるかもしれませんね。一方でレア以上のものは普通のレアと同等でしか見ないので、特にどうこうっていうのはなさそうです。


8:新規サブカードタイプ『洞窟』

門以来となる新規土地タイプですね。とはいえ、門と同じく特にルールなどが存在するタイプではないので難しくはありません。


イクサランの洞窟感を出すための追加だと思われます。コモンに7枚、それ以上のレアリティで7枚の合計14枚もの洞窟土地が用意されており、また、洞窟を参照するカードが土地以外に緑は3枚、アーティファクトは2枚、その他の色は1枚ずつ存在しますね。ほとんどアンコモン以上なので、ドミナリアで行えたような『壁デッキ』のようにインパクトのあるまとまりにはならないと感じています。
とはいえ、洞窟タイプを持つコモンはどれも使いやすく自然にピックすることは簡単だと思います。各色に散っていますが洞窟のサポートカードも明らかに強く、どこかでデッキを寄せる価値はありますね。基本的には緑多色の様相になりそうですが。
ただ、コモン洞窟がタップインばかりなのでどうしてもテンポ遅くなりそうなのが気になりますね。環境が中速以降に傾く場合のアーキタイプとしてカード評価しておきたいです。
コモンの土地は基本地形枠から出てくるはずなのに、やたら強いのでじみーに環境全体のパワーが底上げされますね。


9:リミテッドアーキタイプ

定例の項目ですね。『2色の組み合わせ』で10通りのアーキタイプが用意されています。アンコモンの多色カードは今回も1枚ずつですね。最近だとかなり多色の影響が少ないセットといえるかも。
一つずつ説明していきます。

青白:作製
シンプルに作製を持つカードが多いです。どれも説明した通り、基本的には何らかのアドバンテージを稼いでいく能力と、中盤以降フィニッシャーになれる能力を持っておりとりあえずデッキに入れておくだけでアーキタイプとしての方向性を定めてくれそうですね。
とはいえ入れすぎるとテンポ悪いしコストも食い合うので強いものから順に入れて、弱いものは入れないタイプの能力になりそう。一応それぞれコストになりあいはしますが。
多色アンコの主の案内壁画は機能しさえすればめちゃくちゃ強い。すれば


青黒:落魄コントロール
3つある落魄系のうちコントロールを割り当てられた組み合わせです。
ドローしながら切削できるカードが多かったり、除去と落魄支援を兼ね備えたカードが多かったりするのが特徴でゲーム速度を落としながら落魄へと向かっていき、多色アンコモンのウチベンバクや各種レアで盛り返していく形になると思います。
緑は絡んでいないものの切削ドローを多用する都合上『洞窟が墓地にある時』のカードとは緩やかに手を組めますね。しなやかなベンティサウルスは機能すれば非常に強力なカードです。
黒のトップアンコモンと目している死の重みを最も有効に使えそうなアーキタイプなのも注目ですね。

黒赤:落魄アグロ
3つある落魄系のうちアグロを割り当てられています。
積極的にカードを墓地に落としていくというよりは『パーマネントを展開し攻めていく中で相打ちしたり除去されたり、あるいは除去効果を持つパーマネントを用いる』ことで受動的に落魄を行っていくデッキになると思います。
受動的な落魄と聞くと一見遅そうですが、そもそも今回赤のアグロ的な動きが強く、『落魄できないなら殴り切っちゃうぞ☆』的な動きを十分押し付けていけると思います。パーマネントを展開するカードや、打点を上昇するカードがおそらく重要で、特に両方を行えるエターリの好意はこの色で非常に強力だと見込んでいます。
落魄が重要ではない、ということが大事ですね。

赤緑:恐竜
恐竜を参照するカードが一定数あります。
今回のイクサランは意図的に部族参照カードが排されているのですが恐竜だけは残りました。激昂が弱かっただけなんですが・・・
これもコモンには枚数が少なく、赤と緑に1枚ずつしかありません。恐竜アーキタイプを目指すならレアリティの高いカードを集める必要がありそうです。
とはいえ、鎧の同族呼びは非常に強力な、色に合っているコモンだと思います。緑をメインカラーにする場合は必然恐竜を使う羽目になりそう。
全体的にはミッドレンジ速度より一回遅いのビートダウン、という感じですね。

緑白:クリーチャー強化ビート
クリーチャーのサイズを上げやすいカードが揃っており、またごく一部サイズが変更していることを参照するカードがあります。でもたった2枚なんで、あんまりアーキタイプ感は出ないですね。
でもそもそもクリーチャーを並べてサイズが上がったら強くて有利です。装備品、コンバットトリック、全体強化、継続強化など様々な手段があります。クリーチャーの数と質ともに今回最優秀の色だと思うので、適当に殴ってるだけでいいんじゃないかなと思います。メカニズムって感じはあんまりないです。

白黒:生け贄
パーマネントを並べて、それらを生贄にすることで利益を産みます。
落魄と作製両方を取り扱うことができ、その両方が生贄と相性がいいというアーキタイプですね。
並べたものを食べて落魄できますし、落ちた後は作製のコストにもできます。ただ、トークンじゃ落魄できないけど作製できる、とか、作製すると落魄が減るみたいな不協和音も混ざるので、『何を使うか』はちゃんと吟味する必要がありそうです。
パーマネントを並べて墓地に送るという行為自体が今回のエキスパンション全体のテーマと合致していることもあり、最も幅広くカードを採用できるアーキタイプだと思います。
ちなみに、赤が絡んでいませんし魔法のリンゴもないので『パクリファイス』は行えなくなっていますね。

黒緑:落魄ミル
3つある落魄アーキタイプのうち、『積極的に自分で切削して墓地を溜める』担当ですね。探検も事実上切削として扱っています。
落魄を持つ緑のカードはどれも攻撃的な打点につながるカードなので、素早く切削して溜めて、素早く切り替えて攻撃する、というアーキタイプになると思います。
切削に時間をかけすぎると今回厳しい環境だと個人的には予想するので、立ち位置はちょっと不安ではありますね。自然に墓地を溜めれるクリーチャーなどを評価上げて取る必要がありそう。

緑青:探検ランプ
一番ふわふわしてると思うアーキタイプです。
取りあえず探検できるし、土地が伸びると手札の質を良くしたりファッティを出すこともできます。でも正直そういう青緑が活躍した記憶あんまりないですね。
洞窟を集めての多色ランプが実態になると思いますし、それだったら結構強い気がしてます。洞窟集めたいしね。探検って感じにはならなさそう。

青赤:海賊&アーティファクト
アーティファクトが戦場に出たり、持っていることを条件として強化されるカード群です。ほとんどが海賊な関係か攻撃的なカードが多く、アグロ系のデッキになるでしょう。
青からは地図トークンなどが、赤からは優秀なアグロカードが多くアーティファクトとして提供されているので強いカードを取っていくと自然とこのアーキタイプに収まっているという感じがあります。

赤白:タップアグロ/ミッドレンジ
タップされることで誘発する能力を持っているカードや、アーティファクトとクリーチャーをタップすることで能力を使えるカードです。
そもそも攻撃すると勝手にタップされますし、2マナのこの能力を持っているアーティファクトクリーチャー2種が非常に優秀なので、これも赤青と同じく『勝手にアーキタイプが揃ってる』タイプになるんじゃないかと思います。強いカードだけで形成できそうですし太陽撃ちの民兵+修繕士の手持ち鞄のような実用性の高いコモンコンボもあり、かなり期待しているアーキタイプですね。


10:各気づきポイント

ここから下はいつものように、カードリスト全体を見て気づいたポイントをまとめていきます。いつも通り後々追記する可能性もあります。
今回はプレビュー期間が大会中で結構忙しくてこの気づきポイント貯めるのに結構時間かかっちゃいました。4日位。


・コモンアンコモンのパワー

前回のエルドレインの森の時で十分感じていましたが、明らかにコモンのカードパワー、そしてそれに引っ張られてアンコモンの上限値も上がってるように感じます。
特にコモンは「どのアーキタイプであっても見送り」のようなカードが難しいレベルにまで入ってるんじゃないでしょうか。そのため純粋に取る取らないを考える前に「今どういう方向性なのか」を常にカード評価するときとピックするときに理屈として考えて、カードの評価を是正する必要がありそうです。
この後に説明するいくつかの項目で、この「コモンが強くなっている=セット全体のカードパワーが底上げされている」現象が影響を及ぼしますね。

・サイズ感

2マナがめちゃくちゃ強いです。どの色にも2/2以上になれるコモンクリーチャーがいるのがかなり驚愕でした。青の3/3防衛枠もアタックかなり簡単ですし。3マナは緑と白にも3/3がいて、順調にサイズアップします。ただし、2マナとの比較だと緩やかなサイズアップなので、環境全体で見たときにいつもよりサイズが全体的に多いってことはないのかな?
ただし、白のサイズ強化カードや地図/探検によってクリーチャーの育成は頻発しそうなので、実際遭遇する盤面はクリーチャーがいつもより大きくなりがちなのかな?と思いますね。
コモンに扱いやすい装備品が複数あるのもそれを助長しそうですね。


・除去の水準


赤の削剥、黒の死の重みを始めとしてしっかりと軽くて強い除去は散見されます。白もコズミューム波を始めとして使いやすい除去が多く、環境全体の除去の質は悪くないと思います。
ただし能動的に打てるインスタント除去は多くなく、除去の構えかたには不安が残ります。赤と黒にインスタントコモン除去が1枚ずつしかないせいですね。自分ターンで強化/コンバットトリックでバックアップしながら殴るという動きはかなり通りが良さそうです。そういった点で見ると青は実はインスタント除去/介入が多くすぐれており、環境の押せ押せデッキの隆盛具合によってはそれらまとめて評価が上がる可能性があると思ってます。面白い部分ですね。
一個追加でネガティブに気になる点があり、緑の格闘の弱さですね。なんか緑だけ時代が遅れてない?


・何もしない序盤の危険性

これもエルドレインの森からの続投の意見です。祝祭は終わらなかった。
特に赤が顕著なのですが1,2,3としっかり展開して殴れる色となっています。強化カードや装備品などもある関係で一回殴り始めるとしばらく止まらないように思います。インスタント除去の欠如もそこに影響します。
そのため、2~3ターン目に相手に一切干渉ができない/盤面にクリーチャーを展開しないデッキには非常に不安が残ります。せめてマナ加速したい。
今回は特に作製類が「序盤置いといてクリーチャーは展開しないが、あとからクリーチャーになってくれる」という特徴を持っています。それらを入れすぎたり序盤の動きとしてカウントしてしまうデッキ構築やプレイングがみんな出てきてしまうんじゃないかと思います。通用しづらい考えに令和はなっていると思うので、しっかり盤面を支えるカードから出せるような枚数バランスにしたいです。落魄で「あとから強くなる」タイプのカードもここに引っかかりますね。具体的には2/1/3の誰かとか。それらだけでマナカーブの攻勢はしたくないです。
環境が早いというか「無抵抗だとマウント取られる」くらいですね。

・アーキタイプが越境しているが閑散としている

今回の越境性はすさまじいことになっています。
アーティファクトを場に出すカードは作製や白黒の生贄に、赤青へと越境しますし、トークン以外のパーマネントを使うとすべて落魄につながります。
赤青や青黒がいつもの呪文系じゃない等も影響して、どのアーキタイプも色が共通する他のアーキタイプと似通っている構成になっていて、複数のアーキタイプへと越境していないカード、ないです(断言)。
一方で各種メカニズムそのものに属するカードはそれぞれ枚数が絞られていますね。メカニズム滅茶苦茶詰め込まれてる弊害です。そのため「作製って書いてあるカードを全部取って集めればいい」というような一直線のピックは恐らく通用しません。
「カードに越境性があって便利」の範疇に収まっておらず「越境性が高いカードを自分のデッキの形に当てはめて使わなければならない」とすら感じます。この後項目を複数使って説明しますが、ちゃんとデッキの目的をもってカードを使いましょう。


・イクサランは『下にもぐる』世界観

開発記事でも触れられていましたが、前回のイクサランは『太陽を求めて登っていく』テーマであったのに対して今回は『洞窟の中を求めて地底へと降りていく』テーマをセット全体が貫いています。
それはメカニズム/アーキタイプ/カードデザインにも影響していますね。
筆者は今回『カードが川のように下っていく』としてイメージを抱いています。
山札→手札→戦場→墓地へとカードが動いていく。そしてそのそれぞれの領域でカードが”溜まって”メカニズムが利用している、という感じですね。
それぞれのメカニズム及び個別のカードは『移動を発生させる』か『溜まったものを利用する』に分けることができると考えています。
例えば探検、地図は移動側、落魄は利用側で作製は原則利用側だけど効果次第で移動側にもなれる、といった感じですね。
メカニズム/アーキタイプを意識したドラフトをする際はこのように移動と利用でカードを分けて、そのバランスがどうなっているのか、どこを目指すのかを意識するとピックする際にデッキを整え目指すゴールも設定しやすいでしょう。


・単色の交差路

そしてアーキタイプについて、最も語りたい部分がここですね。
イクサランのアーキタイプ状況は複雑で、パッと見てどのようにピック中に振舞えばいいか難しく感じます。それの紐解き方の考え方ですね。
今回、開発側で明言はされていませんがユーザー側で環境分析をする際に有効だと思える手段があります。それは『単色のアーキタイプが5個あり、それぞれが交差するところに2色のアーキタイプがある』という考え方です。
ドミナリアの団結で取られていたデザインの手法に則って考えてみるということですね。
各色を具体的に見てみましょう

・白 「アーティファクトとクリーチャーの横ならべ」
 とにかくアーティファクト及びクリーチャーを展開するカード、そしてそれによって利益を得るカードが多いです。何はともあれパーマネントを出すところから動きが始まりますし、ピックの際も修繕士の手持ち鞄のような数を出せるカードは高く評価するべきだと思います。
バネ仕掛けの鋸刃のような「実質インスタントソーサリーだがアーティファクトの形を持っている」カードも当然評価されますね。
並べたカードは青では作製に、黒では生け贄に、赤ではタップに、緑では強化して殴る、と交差点が設定されていますね。


・青 「?????」
この評価方法で一番の問題児です。正直青はどうやって分析すればいいのかわかりません。
白の作製、赤の宝物のパーマネントを出す方向性と、黒の落魄の墓地活用が混在してしまっており、またいまいち影が薄い探検もあるため色全体の方針が分かりづらくなっていますね。
水巻きの偵察はコモンとしては単独で非常に強いカードですし、他にも反転された氷山を始めとして別の色のサポートに回れるカードが多い印象です。
メインで組みづらいため、敬遠されがちな色になると思いますが、しっかりと「青のどのカードが自分に必要か」を判断して参入する分には戦えそうです。

・黒「落魄/墓地」
黒は交差点となる2色のアーキタイプのうち3つが落魄、そして残りの白黒も生贄と、とにかく死が付きまとう色として今回扱われています。
他の色以上に「パーマネントカードをデッキに入れる」インセンティブが高く、できる限りパーマネントで物事を解決したいですね。そのような理由から、死の重みが黒のトップコモン候補なんじゃないかと思うほどです。
どの程度落魄を意識するかは2色目の組み合わせで変わると思いますが、基本的には急がない方がいいと思います。逆に「急いで落魄しないといけない色」としてみると、いざ切削カードがいまいち足りないし、落魄の恩恵もそこまで多くないしで弱い色に見えてしまうかもしれません。筆者としてはそんなことないと思いますが、もしふたを開けたときに落魄依存が高すぎる色だとわかったら評価落としそう。

・赤「アーティファクト&アグロ」
赤はちょっと他の色と違います。メカニズムでまとまってるのではなく「アグロ」という方向性でまとまっていますね。
1マナのゴブリンの墓荒らしから始まり各マナ域に優秀な攻め手のコモンが並んでいます。火力面でのサポートも豊富で、速すぎる色というわけではないですが「しっかり攻撃性でまとめれる」色だと認識しています。
また、攻撃支援カードの多くがアーティファクトであり、かなり自然にデッキにアーティファクトを混入させることができます。そのため、アーティファクトもアーキタイプとしてまとめました。
その特徴により、青と白の交差点は両方アーティファクトを軸としていますし、黒はやはり「アーティファクトの形をしたインスタント/ソーサリー」が重要になりますね。緑は勝手に恐竜やってます。

・緑「マナ」
雑なまとめ方になりましたが、緑はとりあえずマナベースを整える色だと今回思います。これも青と同じくらいふわふわしてますね。大体探検がキャラ薄いのと恐竜が勝手にやってるせいなんですが。
でも緑は色で見た場合シンプルにマナ加速→ファッティの動きが強く、青と比べてまとまれると思います。そこにまつわるカードを取っておけばタッチや洞窟シフトもできるので、重点的に意識しておきましょう。その次はクリーチャーのサイズにまつわるものを取っておくと、どのアーキタイプになってもやりやすいかな?

・LOに注意

落魄デッキは要注意です。切削が結構気軽にできちゃう上に探検などで後押しされてしまうので、ライブラリーが削れる速度が思った以上に速いと思います。
特に、落魄のために呪文を墓地に置くようなことをしているとゲーム全体で見たときの有効牌が減る=余計LOが近づくということになりえると思います。自殺行為では?
そういう風な行動を控えるか、いっそ落魄/切削カードが多く取れたときはデッキ枚数を40に縛られなくていいと思います。回収カードや発見である程度強いカードの回収などもできますし。


・トランプルが強い


赤と緑になんかやたらトランプルを持っている/付与カードが多い気がします。多くない?
白がノームトークンを作製するのが得意なのが理由かもしれませんが、かなり気になりました。しかもサイズ大きくなるトランプル持ちも複数枚コモンにありますし。
そのため、序盤削られたライフを守り切るの難しそうですし、トークンとかチャンプでしのごうという考え方は結構不安を感じます。しっかりサイズを出したい。

・レア/神話レアも強め?


精査はしていないんですが、よくわからないコンボ用のレア/神話は少なく、どのレアも次点~優先級くらいの強さは確保されているように感じました。
コモンアンコモンに負けないようになっているように感じます。
置物系のレア/神話も多いので削剥を始めとしたアーティファクト破壊やハンデスの価値はちょっと上がるのかも。土地に変身するアーティファクト群が大体強いためですね。


・色事情


今回はエルドレインに引き続き2色土地がありません。
ですが、コモンのフェッチ枠である有望な鉱脈がかなり強いです。緑の色マナ補助カードも強いため緑を中心とした多色化は簡単だと思います。
アンコモンにはさらに多くの多色化サポートカードがあるので、エルドレイン以上に多色化はしやすい。でも多色カードがそもそも少なかったり、強いレアはダブルシンボルが多いように感じたので、多色化する動機自体は少ないのかなと感じました。


・全体観

ここまでを総合して筆者はイクサラン:失われし洞窟の環境を『極端に早いほどではないが序盤のやり取りが最後まで影響する形のテンポ環境』と定義しています。お互い中盤以降に向けてカードを”溜める”形になるミッドレンジ的なデッキが多くなるが、その溜め方を”ダメージレースを進める”ことによって実行するデッキが赤白/赤青/赤黒/赤緑/緑白/(白黒)と多いため、純粋に中盤で戦う環境にはなりきらないだろうということですね。序盤を無視した長期戦は行うことが不可能で、全体で見ても長期戦は減ると思います。互いに探検/地図/作成とゲームプランを継続して行う、マナフラッド受けに使える要素が自然と多くなることも後押ししていますね。


以上で『イクサラン:失われし洞窟』の序文を終わろうと思います。
アーキタイプの分析が量が多くて、書いてて楽しい反面結構かかっちゃいましたね。各色編も是非お待ちください。

最後になりますが二つ宣伝です。

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もしよければどなたでもお気軽に来ていただいて一緒に活動やご意見いただければMTGAのドラフトを楽しみやすいと思います。この記事を読んでいただいたことをきっかけにドラフトを始めてみたいという方もぜひ!

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また、筆者は非公認MTGA大会『まじ☆すと』というものを運営しております。Vtuber/配信者/動画投稿者/記事執筆者/etcと、インターネット上でMTGAの活動をされている方を広く集めた大会になります。ぜひこちらも公式アカウントから気に留めていただけると幸いです。つい先日『まじ☆すと ~じゅうごかいめ~』を開催させていただきました。元MPLの肩にも参加頂き、どんどん規模と盛り上がりが大きくなり感謝しきりです。

MtGAstreamer_tournament/まじすと(@mtgastreamer)さん / Twitter

また、今回の記事は無料公開としています。が、もし記事読まれたかたでご厚意でサポートしていただける方がいましたら是非今後のMTGAでの活動や主催しているMTGA大会企画『まじ☆すと』の運営資金とさせていただきます。記事や大会のモチベや質にも大きくかかわりますねw!
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では、次の記事でお会いしましょう。


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