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「水の泡」

<舞台裏>シリーズ No.1

かいのどうぶつえん 園長です。
貝の動物の制作現場では、毎日さまざまなエピソードが生まれています。

このシリーズでは、舞台裏の失敗談や内緒話、奇想天外な空想や細部へのこだわりなどをチョイスしてみました。

第1回目は「水の泡」。動物も人間もずぶ濡れになってしまいました。

「森戸海岸撮影顛末てんまつ」ー夕陽のどうぶつえんー

ある年の1月に、Webマスター(サイト制作・運営担当)からメールが届きました。

「トップページをリニューアルしたいので、海に沈む夕陽を背景に、動物たちの集合写真が欲しい!」

あれこれ手間取って、3月に動物を選び始め、並び順などの工夫を重ね、テスト撮影を繰り返しているうちに、あっという間に4月が過ぎて、”鯉幟”の季節となってしまいました。

運搬や設置でケガしないよう、動物たちはアクリル板に両面テープでしっかり固定。5月1日の昼間、漁港の石垣に置いてテスト撮影しました。帰りがけ、本番の夕日の撮影にぴったりな場所を探しました。

幸いにも翌2日も快晴。午後遅く、動物たちをかかえて海岸にいそぎ、夕陽が落ちる方角や、波の加減を確認し待機しました。

波打ち際に動物たちを置き、砂浜に腹這いになり、両肘をついてカメラを構え、
じっとシャッターチャンスを待ちました。

横にはレフ板(反射板)係の副園長。ふたりで息をのんで待っていると、

実にいい感じの波が寄せてきて、夕陽の高さもジャストフィット。

「よし今だ!」

だがしかし、幸運の女神の微笑みは、数秒後にかき消えてしまったのです。

カメラを構え砂浜に腹這はらばいいになっていると体が冷えてきます。

でも、シャッターを切った瞬間はすべてを忘れ、歓びだけを感じていました。

「やった!やったぞ」

ところがあろうことか、眼前まで迫った波は急に背を伸ばし、
白い泡状になって動物たちを丸呑みに・・・。

レフ板係はとっさの判断でアクリル板を片手でつかみ、動物たちが引き波にさらわれ、すべてが水泡に帰すのを、かろうじて防ぐことができました。

園長はカメラをもちあげるのが精一杯で、全身ぐしょ濡れ。動物たちも泡まみれの惨憺さんたんたる有様でしたが、一緒に帰園することができました。

それにしても厳しすぎる海の洗礼。
でも、撮影データをチェックすると使えそうな夕焼け写真がありました。

「よかった!」

と胸を撫でおろしたのですが、実は、もっと過酷な審判が待っていたのです。

ようやく撮り終えた夕陽の動物たちの写真と、前日の昼間に撮影したテスト写真などをWebマスターに送りました。

数日後「トップページデザインが完成した」とのメールが届き、急いでクリックすると・・・。

何と、使われていたのはテスト撮りした真っ昼間の写真でした。うーむ。

「動物たちのがんばり度は、写真の価値とは正比例しないんだな!」。

とても平凡な事実を再確認して、森戸海岸撮影顛末てんまつの幕は閉じました。(写真はやはり水の泡?) つづく。

レフ板係と夕日を待ちます
シャッターチャンスだ!
ザブーン!あわてて抑える
たすかった!
ホームページに採用されたのは!

貝は「割らない。塗らない。削らない」のスッピン勝負

          ~貝の配役~
★パンダ
:ウラシマガイ/ムラサキイガイ/スガイ/フジノハナガイ他
★レッサーパンダ:シジミ/ウメノハナガイ/フジノハナガイ
★ヒツジ:キサゴ/コウミウサギ/ザルガイ/スガイ/キリガイダマシ他
チンパンジー:アマオブネ/スズメガイ/カニモリガイ/ハツユキダカラ他
キリン:タケノコガイ/バイガイ/チャイロキヌタ//スガイ/アカウニ他
コアラ:ツメタガイ/チャイロキヌタ/スガイ/スズメガイ/サザエ他
サイ:ウラシマガイ/ウミニナ/ムカシタモト/ シマメノウフネガイ他

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