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「クローズアップに、どこまで耐えるか?」

<舞台裏>シリーズ No.2

かいのどうぶつえん 園長です。

貝の動物の制作現場では、毎日さまざまなエピソードが生まれています。
このシリーズでは、舞台裏の失敗談や内緒話、奇想天外な空想や徹底した“こだわり”などをチョイスしてみました。

第2回目は「クローズアップに、どこまで耐えるか?」です。
園長の細部へのこだわりをご覧ください。

さて。とても個人的な感想ですが、春という季節を実感するのは「花吹雪」ではないかと思っています。満開のサクラの花びらが、春風に舞い散る光景や、水面に落ちて流れる花筏はないかだなどは、とても風情ふぜいがありますね。

今回ご紹介する「サクラの妖精」は「花の妖精シリーズ」の12作目です。

サクラの大樹の根元を“ねぐら”とするリスが、巣穴に溜め込んだ木の実をせっせと運び出し、お花見の準備中。

樹上では、お気に入りの帽子とイヤリングでおしゃれした妖精が、お客さんたちが早くこないかと人待ち顔をしています。

「サクラの妖精」の制作に使用した貝は180個以上で、制作には時間がかかりました。
なにより手間がかかったのは接着剤の隠し方です。

使用する瞬間接着剤も木工ボンドも、乾けば透明化します。

とはいえ人間の目はごまかせてもカメラのレンズは冷酷で、接着剤がちょっぴりはみ出しただけでもアウトなのです。

たとえば妖精の“目”に使ったスガイのフタは直径2ミリ、“眉”と“口”用のウニのトゲはその半分の長さしかありません。

極小パーツが飛ばないように息を詰め、爪楊枝でボンドを塗り、定位置に接着する作業は、指が震え肩が凝ります。
もちろん、ボンドがはみ出したらやり直し・・・。

ようやく完成して撮影し、パソコンでクローズアップ画像をチェックして、もしボンド跡が光ったら失格!

躊躇ちゅうちょなくやり直し。園長は自分にもかなり厳しいのです。

さて、サクラは古くより春の訪れを告げる花として、散り際のいさぎよい花として親しまれてきました。

歌人や俳人によって、たくさんの名作が残されていますね。つづく

「ひさかたの 光のどけき春の日に しづ心なく 花の散るらむ」(紀友則)
「願はくは 花の下にて 春死なん そのきさらぎの 望月のころ」(西行)
「さまざまの 事おもひ出す 桜哉」(芭蕉)

満開です
お花見の準備中
ごちそうです。食べて、食べて。
イヤリング、いかがですか?
お花見日和になりました

貝は「割らない。塗らない。削らない」のスッピン勝負

          ~貝の配役~
★サクラの妖精
:タマガイ/スガイ/フジノハナガイ/イガイ/ムシボタル/ヒメカノコ/ジュドウマクラ/ チゴバカガ イ/ナミマガシワ/他
★リス:チャイロキヌタ/スガイ/タモトガイ/ヒメカノコ/ホトトギスガイ
★サクラ:マメニセザクラ/アカウニ/エダサンゴ
★ごちそう:ヒメカノコ/ヨフバイモドキ/コメツブガイ/ナミマガシワ/他  
★地面:ホタテガイ




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