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「原・点・回・帰」

<舞台裏>シリーズ No.4

かいのどうぶつえん 園長です。

貝の動物の制作現場では、毎日さまざまなエピソードが生まれています。このシリーズでは、舞台裏の失敗談や内緒話、奇想天外な空想や徹底した“こだわり”などをチョイスしてみました。

第4回目は「原・点・回・帰」です。
貝の組み合わせのみょうと、園長の|気宇壮大《
きうそうだい》な夢を、ご覧ください。

海人(あま)の乗る小舟(蜑小舟・万葉集)という、優美な名前の貝「アマオブネ」は、葉山の海岸ではありふれた存在です。

スズメガイ(左)とアマオブネガイ(右)

アワビなどの背中にはりついて育つ、「スズメガイ」も海岸にたくさんころがっています。そんな平凡同士が合体したらどうなったか?
1+1は2ではなかったのです。

ある日、海岸でひろったばかりの2つの貝、アマオブネとスズメガイを組合わせたらどうなったか?

ほんの偶然ですが、サルの顔に見えてきたです。

長い間、動物園と名乗りながら、類人猿がつくれなくて、肩身の狭かった園長は欣喜雀躍きんきじゃくやくです。

あっという間にニホンザル、テナガザル、ワオキツネザルなど種類が増え、動物園の体裁が整いました。

それにも増して、表現の領域が飛躍的に拡大しはじめたのです。

以前は、野生動物やペット、昆虫など“貝の生き物たち”が主体で、せいぜい、彼らが楽しく遊んでいる場面(シーン)どまりでした。

そこにサルが登場すると、さすがは類人猿。

サル役者が演ずる劇場や、サル医者の病院からレストラン、遊園地などが次々に誕生しました。

役者はそろいました!

動物園は活気づき、新作をつくるのが楽しくてなりません。

舞台で決めのポーズの弁慶
「勧進帳」で豪快に舞う弁慶

もはやZOO(動物園)の概念を飛び越えて、WORLD(新世界)のイメージに近づくにつれ、どこからともなく「動物園らしくない!」という声が聞こえるようになってきました。

向かう所敵なしの弁慶
7つ道具をごろうじろ

「動物園と弁慶はなんの関係があるの?」と聞かれると「いゃあ、学芸会ですよ」と笑って答えていますが、背筋がひやりとします。

その理由は明白です。

実は、ほ乳類は5,000種、鳥類は9,000種、魚類は23,000種、両生類は2,000種もいるそうです。昆虫は80万種、軟体動物は11万種も存在するというのに、20年かけてつくった貝の生き物の種類は、ほんのわずかだからなのです。

物語や古典シリーズ、演劇・楽団シリーズなどにうつつを抜かして園長怠慢!
と指摘されても反論の余地はありません。

とはいえ、立ち止まってはいられません。

寄り道も、勘違いもみーんな許容範囲として、前進しようではありませんか。
開園当初の気分にもどれば、どんな批判も鵜呑うのにできるし、鋭い叱咤《しった》も|馬耳東風ばじとうふうとしましょう。

さあ、今年も原点に帰って思いのままに、開園のコンセプトとした梁塵秘抄りょうじんひしょう「あそびをせんとや」に徹しようと、園長は腹をくくっています。つづく

🎵  京の五条の橋の上
牛若丸をぶった斬る!
サイドカーをぶっ飛ばすぞ!
一輪車ジャグリング

貝は「割らない。塗らない。削らない」のスッピン勝負 

      「勧進帳」 ~貝の配役~
★弁慶:アマオブネ・スズメガイ・スガイ・ウミニナ他
六尺ろくしゃく:パイプウニ
★刀:ツノガイ・フトコロガイ
兜巾ときん:フトコロガイ ★おい:イモガイ
★舞台:ヒオウギガ

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