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最新作も公開会決定! 『Terminator: Dark Fate』の前にシリーズ一番人気の『ターミネーター2』を振り返る

『ターミネーター』と言えば、ジェームズ・キャメロンの代表作。
今年はキャメロンがプロデューサー及び原案としてに復帰した新作『Terminator: Dark Fate』がアメリカで11月に公開予定です。
もちろん注目作なので、日本での公開もそう遠くはないでしょう。
監督には『デッドプール』で大旋風を巻き起こしたティム・ミラーを抜擢。
オリジナルでサラ・コナーを演じたリンダ・ハミルトンもキャストに加わり、先日はそのキャスト陣がシネマコンにてアンサンブル賞を受賞。
期待しかできません。
今回はそんなターミネーターシリーズでも人気の高い、ジェームズ・キャメロンの『ターミネーター2』の感想を改めて書いてみたいと思います。

■タイトルコール 

キャメロンの特徴の一つとしてあげられるのが、タイトルコールの場面です。 
このオープニングから、既にかなり凝ったつくりで、観客を一気に映画の中に引き込んでくれます。 
そのおかげで、はじめから集中力が高い状態で映画を観ることができ、その後のストーリーやアクションもより効果が出てきます。 
『T1』『エイリアン2』、そして『タイタニック』など、キャメロン映画ではお馴染みなのですが、 『T2』のこの入りは、最も成功していると言っても過言ではないでしょう。 

■アクションシーン 

キャメロンと言えば、もちろんアクションシーン。 
視覚効果など、映像技術では現在の方が進んでいるはずですが、 それでも近年の映画に劣らないほどの迫力、見応えがあります。 
それはキャメロンがアクション魅せ方を心得ているから。 

その魅せ方の一つがスローモーションです。 
観る者の緊張感を高めたり、恐怖心を煽ったり、また、「カッコイイ」と思わせる場面でスローモーションを使います。 
良い例が、ショッピングセンターで2体のターミネーターがジョンを追いかけるシーン。 
初見の人(もはやほとんどいない気がしますが)は、まずどちらが味方でどちらが敵か分からない状態であり、その中でスローになることで緊張感や恐怖が高まります。 
敵味方がはっきりしてからは、一変、一気に速い展開へ。 
そして、見事なカーチェイスへとつながっていきます。 

近年のカーチェイスは、派手で迫力はありますが、逆に派手にすることで粗さを隠しているものも少なくありません。 
しかし、この映画は近年ほどの派手さはなくとも、見応え満点。 
むしろ、視点があっちこっちにぶれないので非常に観やすく、ハラハラとしたスリルも味わうことができます。 
こちらも、スローモーションの効果と同じように、「静」と「動」をうまく使い分けていて、 
「静」の時は緊張が走り、「動」の時にはスリルを楽しめる。メリハリの利いたすばらしい演出です。 

■人間ドラマと練られた脚本 

アクション以外の人間ドラマもこの映画では十分楽しめます。 
主軸のT-1000型との対決から外れた部分も長いのですが、そここそ、この映画の見所と言ってしまえるほど練り込まれています。 
具体的には、サラとジョンの心のすれ違いと愛情の確認、そしてターミネーターが人間性を学んでいく様子が非常にうまく表現されています。 
それらを成功に導いているのが、主軸から脱線したスカイネット開発者、ダイソンのくだりでしょう。 

何よりも、彼を悪人にしなかったのが賢明でした。 
誰かを悪者にしてしまうのは簡単ですが、現実には善悪の判断は難しいもの。 
それをうまく利用し、悪意のない発明で人類を滅亡に追いやってしまう男を、殺すか、生かすか、という葛藤を描き、 それを通して母、息子の心が繋がりターミネーターは命の尊さを理解し始めます。 

こういう練りこまれた展開はキャメロンが脚本家としてもそれなりのレベルであることを表しています。
センス云々と言うよりも、よく考えよく調べて書いている、非常に丁寧な書き方。 
個人的には『アバター』の脚本もこのくらい練って欲しかったです。 

■優れたエンターテインメント性 

台詞の使い方や、あえて似たシーンを多用するところもキャメロンの武器の一つ。 
ジョンが教えたムカつく相手への決め台詞を終盤でターミネーターが口にするのは誰もが知っている名シーン。 
そもそも、ジョンとターミネーターとのやり取りがコミカルでおもしろい。 
前作でカイル・リースがサラに伝えた「運命ではない」という台詞が登場するのもファンにとっては嬉しい限り。 
「アイル・ビー・バック」という台詞もトラックで突っ込んでくるお馴染みのシーンもあり、 どうすれば観る側が楽しめるかを分かっています。 
そういった気の利いた技が、この映画を楽しいエンターテインメントにしているのです。 

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