note_妄想どうぶつえん

【企画の裏側】妄想どうぶつえん〜もしも落語家が音声ガイドの解説員だったら〜

どうやったら、目の前に動物がいなくても、楽しく動物のことを妄想できるだろうか?

そんな想いを実現すべく、zoojoは新たに「妄想どうぶつえん」という音声コンテンツを制作しました!コラボパートナーとしてお声がけしたのは、落語家の立川かしめさん。「もしも落語家が音声ガイドの解説員だったら」というテーマで、落語を通じて動物の生態が楽しく学べる、オリジナルの小噺を作っていただきました。

落語家による動物ガイド?

zoojoでは日々さまざまな情報をメンバー間で共有して、「動物園の魅力発信」につながるようなアイデアの種を蓄えています。かわいいスイーツ、流行りのSNSキャンペーン、旅行先で立ち寄った場所、新進気鋭のアーティストなど話題のジャンルはとにかく幅広く、「これ動物園でも販売してほしい!」「こうやってアレンジしたらコラボできそう」「え、実現できるんじゃない?!」と好き勝手に盛り上がったり。動物園を盛り上げるヒントは、意外なところに転がっているものです。

今回zoojoが制作した音声コンテンツ「妄想どうぶつえん」は、100BANCHの渋谷怪談ツアーのメンバーとの何気ない会話が誕生のきっかけでした。実際に渋谷の街を巡りながら怪談話が聞けるというその企画構想にヒントをもらって、「動物園でも、その土地・場所を生かした音声コンテンツがつくれないかな」「実況中継は?」「音声ガイドに注力した施設って増えてるよね」「動物園じゃない場所でも楽しめる音声ガイドっていいよね」とブレストが進み、最終的には「落語家が動物の解説をする、音声ガイドってどう?」というアイデアに着地しました。なぜこの流れで「落語」という発想に至ったのかは正直よく覚えていませんが(笑)、日頃集めていたアイデアの欠片が1本の線でつながった瞬間でした。

「ガイドの腕を磨きたいなら落語を聞け」

でも実は、落語という手段を選んだワケもいつくかちゃんとあります。

・語り手(ナレーション)や複数の登場人物を演じ分けられる
・姿形や仕草をわかりやすく伝えられる
・動物へのアフレコ等をタブーとする意見の存在も承知しているけれど、落語の世界観に落とし込めばエンターテインメントとして楽しめるのでは?

台本制作にあたっては立川かしめさんと何度もやりとりを重ねて、情報量、全体尺、言い回しなどを細かくご相談させていただきました。こちらからお渡しした資料は、

・動物の基礎情報
・写真と動画
・チャームポイント
・登場する個体の設定(性別や関係性など)

を箇条書きにしたもののみ。それらを噛み砕いて、あっという間に1本の小噺に仕立ててくださいました。落語家って、すごい!

そしてこれは完全に後付けなのですが、落語とガイドってとても相性がいいんです!とある生物園で動物解説員として勤めている方から伺った話では、「職場の先輩にしゃべりの上達のコツを尋ねたところ、『ガイドの腕を磨きたいなら落語を聞け』と言われたことがある」のだとか。たしかに、落語にはマクラ・起承転結・サゲという構成があったり、人を惹きつけるプロのトーク術が詰まっていますよね。zoojoが今回手段として落語を思いついたのは偶然でしたが、実は理にかなっていたようです。

目の前に動物がいなくても

zoojoが2018年秋から活動拠点にしている100BANCHは、2019年7月7日でオープン2周年を迎えました。その日付が由来の1つである周年祭「ナナナナ祭」が今年も開催され、入居中の有志プロジェクトによる多様な作品展示、多彩なパフォーマンス、未来を語りあうシンポジウム、実験的ワークショップなどが9日間にわたって打ち上げられました。
zoojoは、いきものをテーマに活動する3プロジェクトで結成した「いきもの部」の一員として、今年のナナナナ祭に参加。「動物園も水族館もない渋谷区で、いきもののことを楽しく学べる1日限定のテーマパーク」というコンセプトのもとイベントを開催し、「妄想どうぶつえん」をお披露目しました。

100BANCHのある渋谷区には、動物園がありません。でも私たちは決してそれを批判・悲観するつもりはなく、むしろそんな環境だからこそ、「動物が目の前にいない場所で、動物園の魅力を伝える」という、この環境を逆手に取った実験にチャレンジできたんです。

タイトルの通り、「妄想どうぶつえん」は体験者それぞれが頭の中に自由に作り出す、架空の動物園という設定にしました。また、情報量が多すぎるとお勉強気質が強くなり、遊び心あふれる落語の良さも半減してしまうので、体験者の想像にゆだねる部分を意図的に残しました。例えば、主役となる「動物種の名前」はガイドの中には一切出てきません!音声ガイドとしてこれは異例なのかもしれませんが、名前を明かさないことでそれぞれが楽しく妄想を膨らませて、自由な発想ができるのではないかと考えました。ここで話されているのは一体どんな動物なんだろう?もしかして実在しない動物なのか?!と、いっそのこと架空の生き物を想像してもらってもアリだと私たちは思っています。

「妄想どうぶつえん」の今後の展望としては、

・動物園内での導入(ガイドボックスの設置、再生デバイスの貸出など)
・動物園近隣の交通機関等でPRに活用(近隣の主要駅や商業施設でのブース設置や、バス車内での音源再生など)
・教育機関や移動動物園で教育ツールの1つとして活用

などというように、動物が目の前にいない場所でも「動物園の魅力を伝える」ためのコンテンツとして様々なシーンで展開できると考えています。(導入先やコラボパートナー、絶賛募集中です!)

動物園って、最寄り駅から直通バスを利用して来園することも多いですよね。交通の便が悪い=マイナス面だと捉えがちですが、そんな移動の過程すらも楽しんでもらえるようなコンテンツあったら、きっと動物園の新たな魅力の1つになるのではないでしょうか。

動物園をもっとおもしろくするために、これからもzoojoは楽しいアイデアをたくさん実現していきたいと思います!

「妄想どうぶつえん」の一部音源は、zoojoのWEBサイトよりご視聴いただけます。
http://www.zoojo.net/mosozoo.html


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