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ZOZO人事本部長が自身の育休経験を語る!父として、仕事と家族にどう向き合ったのか?

こんにちは!真夏のピークがすっかり去ったので、夏終わりのエモい曲を聴きまくっていたら、せつない胸に風が吹いているくぼりです。

さて。つい先日、小泉進次郎さんが結婚報告と共に「育休取得」を検討していることが話題になっていましたね。厚生労働省は今年の6月「2020年までに男性の育休取得率を13%に引き上げる」と目標を掲げてましたが、男性の育児休業取得率は2018年度で6.16%。取得率アップの雲行きは怪しいところ…

現在未婚・子なしの私ですが、いつかは子供を授かれたら嬉しいな~と思う中、シゴトと育児の両立はどうなるのか。社内の先輩ママの育休はよく見るけど、パパの育休は…そうでもないかも?

ということで、ZOZOで働く男性スタッフの育休事情はどんなものか!?を人事・総務・秘書部門を統括する想像戦略室の本部長、西巻さんに聞いてみました!何を隠そう西巻さんは育休取得経験者。パパとして、そして人事本部長として、2つの側面から意見を聞いてみたいと思います。

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西巻 拓自(にしまき たくじ)/㈱ZOZO 想像戦略室 本部長 (twitter)
勤続14年の最古参で、面倒見のいいみんなのアニキ分的存在。無遠慮な物言いでギョッとすることもあるが、残業続きの夜にはさりげなくスタバを差し入れてくれたりという優しい一面も。2016年10月末から11月末の1ヵ月間育児休暇を取得。

——そもそも、なぜ育休を取得しようと思ったのですか

子供が生まれるって、人生に何度もあることじゃないから最初から取ろうと決めてたんだよね。特に生後3ヵ月間は、日々の成長が目まぐるしくて、育児も大変って聞いてたから、せめてその期間は会社を休んで家族と一緒にいたいなと思って。本当は3ヵ月間取る気だったのに、ビビッて1ヵ月になっちゃったけど。

——育休中の一日の過ごし方はどういった感じでしたか

新生児のお世話のメインは、どうしても妻になるからそれ以外は基本的に全部担当してた。当時うちには犬が5匹いたので、散歩に行って、洗濯して干して畳んで、部屋の掃除・ゴミ捨て、日用品の買い出しとか・・後は食事だね!

——西巻さんがご飯を作ってたんですか?

いや、それが作れないのよ。だから、生協とかの宅配サービスや僕の親に頼んで栄養バランスのいいご飯を作ってもらって、それを取りにいってチンして嫁に出すとか。とにかく「食事」の負担を一切なくした。でも、それがきっかけで喧嘩になったこともあったんだけどね(笑)

——え!?なんで?めちゃくちゃ感謝されそうなのに・・

喧嘩になった理由は、「なんで自分で作らないの」だった。プロセスはなんにせよ、僕は“妻に栄養のあるご飯を食べてもらう”というソリューションを提供していたのに“料理をしないこと"に対して「なぜこれを機に挑戦しないのか」を指摘されたんだよね。

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——あはは(笑)私も奥さんと同じ突っ込みをしてしまいそうです。そもそも料理欲はないんですか?

まったくない。自分で作るより美味しいものが世の中にあるんだもん。田端さんがよくメディアで話してる「女性はソリューションだけを求めてるのではない」ってこのことだなと後から思ったよね。僕にとっては、育休取って慣れない家事を頑張って、なんなら褒めてもらえるだろう!くらいの気持ちでいたのに!(笑)

■自分がいなくても会社は回る。それでも、職場を離れることに不安がないって言ったら嘘になる

育休取得に対する周りの反応は「あ、そうなんですね」程度で、「自分1人いなくても、業務が回るってことは自覚していた」と話す西巻さん。それでもなんとなく寂しくなり、会社に顔を出しに行ったこともあったそう。

――ちょっと意地悪言いますが、ぶっちゃけ西巻さんは「管理職」だから育休がすんなり取れたって、あると思うんですよ

うーん、どうだろう。でも制度があって周りも協力的なのに、取得に対して「なかなか業務を引継げない」とか「周りに申し訳ない」って話を聞くと、ちょっと自意識過剰なんじゃない?と思う。2~3人でやってる会社とかなら別だけど、ある程度人数がいるなら1人いなくても会社はつぶれないし、奥さんが妊娠した時点で、取得する気があるなら準備をすればいいだけの話。そういう人に限って“自分がいなくてもなんとかなってしまう現場を見るのが怖くて離れられない”んじゃないかな。正直言って、産休と育休で1年近く休む女性の方がよっぽど不安だよ。たった3ヵ月の取得でさえビビッて1ヵ月にした僕だってショボいなと思うし。

——でも実際のところ、人が抜ければやっぱり現場の負荷は増えると思うんです。「人事本部長」としてそのあたりはどう考えてます?

子供を持つって、皆が平等に出来る経験ではないけど、素晴らしいことだと思うんだよね。ZOZOでも結婚して子供を持つ人が増えているし、そういう人たちが"休むのが申し訳ない"と思わなくてもいいように、人員を整えている。あとは、誰かの育休が「みんな、持ちつ持たれつの関係なんだ」ということをチームとして理解し、助け合う環境づくりのいい機会になればなと思っています。

——もう一歩ツッコませていただくと…給与面でのサポートはどうですか?

1人の親としては、家族と過ごせる時間はプライスレスだと言い切れる。でも、給与が下がってまで「育児」という、恐らく大変であろう未知の世界に飛び込むことを「貴重」だと思えるかどうかは人によると思う。育休中も給与の約3分の2程度は健康保険組合から給付されるけど、所得が減ることはやっぱり気にするところだと思うから、会社としてなにかサポートが出来ないかの制度の部分は今チームでも考えています。
あとは、ママスタッフの産休・育休中のサポートも充実させたいなと。会社の様子を共有するのもそうだけど、悩みや育児の工夫だったり、なんならお菓子食べながら好きにおしゃべりして気分転換してもらうだけでもいい。託児スペースを設けてママ達にそういう場を提供しようという動きが少しずつ始まっています。

——おお!ではパパ会も計画してたりするんですか?

パパなんか大して悩んでないって!パパ同士の悩みなんかどうせ「なんで妻が不機嫌なのかわからない!」とかだから(笑)

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■育児は過酷。形だけの育休は家族の迷惑になるだけだから、覚悟してまるっと飛び込むべき

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——育休を経験してわかったこと、気が付いたことはありますか

ちょっと語弊があるかもだけど、育児は過酷だってこと。
まず、自分の時間が何もない。会社にいれば、会議も面談もスケジュールに入ってるし、ランチやコーヒーとか自分で時間を見つけて一服できたりするのに、育児となるとトイレすら好きなタイミングで行けない。ミルクもおむつも「さっき変えたばっかじゃん!」ってツッコミたくなる。一つ一つのことは難しいことじゃなくても、自分のリズムでできることが何もない。そうやって、常に自分の時間が支配されているような状況が過酷なんだってわかった。会社にいる方がよっぽど楽だし休めてるよ。

——今、全国のママ達の大きな頷きが見えました…!

「育休」の大変さを身をもって知ったことで、“本来生まれなくていい嫁との非効率なバトル”が起きる確率も確実に下がってると思う。例えば、余計な一言で怒らせてしまうとか(笑)あとは、今まで以上に家事に対して「見て見ぬふり」が出来なくなるね。大変さを理解しているのとしていないのとじゃ、家族への感謝の気持ちが全然違うと思う。

——「育休」という形でなくとも、家事や育児に対して積極的なパパもいます。私は世の「育休=正義」の思想に少し疑問もあって…

自分がどうしたいかじゃない?育休の良さは”育児をやらなきゃいけない”というプレッシャーを直に感じられることだと思う。仕事に逃げられないからその「大変さ」を理解する。むしろ、形だけの育休で家でゴロゴロしちゃう位なら、家族に迷惑になるから取らない方がいいよ。せっかく育休とるなら、仕事はシャットアウトしてまるっと飛び込んでしっかり「体験」したほうが・・・いや、「体験」って気持ちの時点で妻に怒られそうだけど。「サポートするから大丈夫」は大間違いで”お手伝い的なノリ”でいくとさ、まぁでも男はそういう気持ちはどっかであるかもだけど、そういう発言はなるべくしないように気を付けましょう。


■どこまで「育児」に合理性を求めるか

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――結局のところ、西巻さんは男性の「育休取得」推奨派ですか?

きちんと家事や育児を家族と一緒にやる気があるなら、手取りが減ろうが、いくら大変だろうが「子供の成長を妻と一緒に感じる時間」って絶対に価値がある。僕の場合は最初から、家族と一緒にいたほうがいいなと思ったし、実際いてよかったなと思う。もし2人目に恵まれるなら、次は3ヵ月育休を取りたいなって感じてるし。

――1ヵ月より3ヵ月?

生後3ヵ月だけでも子供って結構変わるんだよね。最初は泣いてばっかだったのが、たまにニコニコ笑うようになったりして。会うたびに成長しているのがわかるから、その一瞬を逃してしまうことに罪悪感があるし、見逃したくない。そうなると自然と優先順位が変わっていくよね。まぁ普通っちゃ普通だけど(笑)あとは価値観の違いで、僕はたまたま家族にかける比重が大きいだけ。まぁでも。大変なことを忘れさせてくれるかわいさが子供にはあると思うよ。

――育休を経験して、今思うことは?

お金を稼ぐだけが自分の役割ではないと思ってるから、仕事が終わればすぐ家に帰るし、土日は家族の時間。でもそれは人それぞれの価値観の違いだから強制はしない。

例えば西巻家の場合、僕が働いてお金を稼いだ方が「家庭」においては合理的。でも「家庭を運用」するためのタスクとして役割を割り振るだけでいいのかって話で。妻に割り振られたタスクを、妻がこなし続けることが「育児」においての正解かっていえば、そんな単純な話じゃない。そのタスクは、「体験」そのものだから、たとえ僕がやることが非効率でも作業的な「合理性」だけで判断するべきじゃない気がするんだよね。男ってついつい淡白に効率を考えがちだし、短いスパンで見れば役割を分けたほうがいいかもしれない。けれど、「育休」を経験したことで妻の大変さを理解して、感謝が生まれて。同じ時間に一緒に育児をしたことが夫婦関係をより良くしてくれたから、LTVで考えれば、人生においての効率はめちゃめちゃ上がってると思うよ。


Written by くぼり (twitter)
2011年ZOZO入社。小中はアニメイトに通い、高大はミュージカルと世界遺産巡りにお金を費やし、入社後やっとファッションと食にハマりだしたダイバーシティなアラサー女

#zozo #ZOZOTOWN #育休 #こんな社会だったらいいな