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合衆国世論の究極のギャグ

2024年のアメリカ大統領選挙をめぐり、ドナルド・トランプ氏が返り咲く『もしトラ』『ほぼトラ』『多分トラ』というワードが飛び交い、なんとなく今年の流行語大賞でも獲ろうかの勢いになっている。

私は、情勢的に地滑り的に『トランプ圧勝』のシナリオにでもなったところで、民主党支持層が何か秘策を考えているのではないかとおもっている。というのは…

『ホワイトハウスはトランプ政権として受け入れますが、連邦議会のほうで主導権を取らせていただきます。』

という合衆国世論における究極のギャグを模索しているのではないかということ。要するに『大統領任期の頭から決められない政治状態を作ってしまう』というもの。

この根拠はアメリカの選挙制度を知ればなんとなくわかりそうな話。
中間選挙の際には連邦議会議員選挙の扱いが強くなるが、知っている人は知っている話として、大統領選挙の年も連邦議会議員選挙が実施され、下院の総議席と上院の3分の1が改選されるのだ。これを利用して民主党が上下両院で過半数を獲るというシナリオ。ただ、これにはミソもあり、上院で非改選含め与野党が同数になると副大統領が決裁的に一票を投じなければならないため、民主党にすれば下院の過半数も最低条件だし上院でも非改選を含めた議席数で1議席でも上回る必要があるため、考え方次第では負けられない戦いになるのは言うまでもない。

ここで一度横道にそれる。

実はアメリカの場合は、大統領選挙に合わせ、州レベル・地方レベルの選挙を包括的に投票してしまう予備選のピークの『スーパーチューズデー』どころの話ではない選挙ラッシュも自治体によってはあるとか。こちらのアメリカの大使館が書いたコラムによると…

2020年当時で11の州知事をはじめ、州議会議員が5000人以上、地方首長、地方議会議員、さらに州によっては公選制の州最高裁判事、住民発議の住民投票、etc…
これだけの投票を大統領選のタイミングでぶつけるのだから州によって差が出るとはいえアメリカの選挙はある種のお祭り化してしまうのである。

話をもしトラの件に戻そう。

(たぶん)バイデン氏が民主党で順当に指名を受けたところで勝ち目がないと悟った有権者ならここに書いたことを考える人は必ずいるのではないだろうか。要はホワイトハウスと議会のねじれなのだが、こういう結末を予想できるアナリストを探してもなかなか見つからないのである。ここに書いたことは確率が低くても考慮しないとあとで痛い目を見るかもしれないと思うのでアメリカの選挙報道は注意深く見ていければと思う。

こんなことを書くに至った背景は?
最初のトランプvsバイデンの際やヒラリークリントンvsトランプの時も同様のことを考えており、結局つながらなかったがこのようなリスクも選挙にはつきものだと思うと(プロ野球ではないが)『100倍楽しく見る方法』として報道を楽しめそうな気もするから。

それと余談
首都ワシントンの共和党予備選では泡沫の色濃かったニッキー・ヘイリー氏がわずかの望みなのか勝利し、トランプ氏が実現した可能性があったかもしれない『完膚なきまでの代議員完全総なめ』がついに崩れた計算になった。これをトランプ陣営が『完全総取りを逃した忸怩たるもの』と取るか『織り込み済み』と取るかでバイデン氏側への風が変わることも考えられると思われ『もしトラ』にすら思わぬ波乱があるのかと思うと…ゾウたん的にはそっちのほうに期待してしまう。

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