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NTT法改正とユニバーサルサービス制度の謎

 NTT法の改正が提案されており、改正をしたいNTT側とそれを心配する競合他社という対立構造が形成されています。

 改正の目的のひとつに、携帯電話が普及した現代に年々契約が減り続ける固定電話サービスの維持問題があります。

「音声通信サービスの加入契約数の推移」総務省 情報通信白書 令和3年版より

 青い折れ線グラフが固定通信の加入契約数ですが、2010年度にに3,957万加入だったのが、10年で1,716万に半分以下になっています。
 この数字からすると一見さもありなんという感じなんですが、じゃあユニバーサルサービス料金って何のために負担してるの?という疑問が。

ユニバーサルサービス制度

 「ユニバーサルサービス」とは、まさにNTTが負担となっている固定電話サービスなどを維持するため徴収され、それはNTTへ支払われているのです。

 ユニバーサルサービスの維持が難しくなってきたという理由で導入された上、この料金毎年算定された上で請求されているので、この問題については"一応"解決してるはずなんです。

 しかもこの料金って、請求してる通信事業者(KDDI、ソフトバンクなど)は一切負担せず、ユーザーにまんま請求されてるので、余計意味不明です。

ユニバーサルサービス制度が規定されているのはNTT法ではない

 ユニバーサルサービス制度について定めているのは電気通信事業法、つまり今回議論されているNTT法=日本電信電話株式会社等に関する法律ではありません。

 確かに固定電話の契約数は減ってるし、そもそも固定回線があっても、使ってない家庭も多いとは思います。

 ですがもしNTT法改正により、ユニバーサルサービスの提供が義務じゃなくなり、一部地域で提供がされなくなっても、制度自体は生きているので、併せて議論しないと、消費者はユニバーサルサービス料金は支払い続けなければいけないことになります。

 固定電話使えなくなった地域なのに、料金は払わされてるとか意味わからないこともあり得るわけです。
 もちろんユニバーサルサービス=固定電話ではなく、緊急通報なども含まれるので、引き続き維持してもらわないと困るのですが、地域差が出るのは…。

法改正にハッキリと反対なわけではないけれど

 NTT法は、電電公社(昭和ワードだよ!)がNTTになったときに出来た(=1985年、つまり約40年前!そりゃ歳取るわ!)法律なので、改正を検討する必要性は確かにありそうです。

 いまは携帯電話が主流ですし、固定電話に代わる通信サービスに資金を投入すべきとも思います。

 ユニバーサルサービス制度もしれーっと始まった印象(個人の感想です)ですし、数円とはいえ、じわじわ消費者の負担は増えているのに、その目線は入っていないように見えます。

 この制度について通信事業者は当時結構反対してました。

 事業者はこの料金を負担することも不可能ではなかったようですが、結果ユーザーに負担させてるので、事業者は痛くないと思うかもしれません。

 でもね、

「ユニバーサルサービス制度の概要」総務省ウェブサイトより

 この制度こんなややこしいことになってるんですよ!
 これ、事業者の事務負担小さくないと思います。元事務屋が想像するに。

 そんでもって「ユニバーサルサービス」なんて横文字にするもんだから、当時もおそらく今も、「この料金なんなん!?」と突如思ったユーザーが事業者に問い合わせたり多分してると思うんですよ。
 オペレーターの負担を考えるとゲッソリ。

キャラクター「ユニちゃん」
総務省ウェブサイトより

 こんな「ユニちゃん」なるキャラクター開発してるお金、どこから?

 ということでユニバーサルサービス制度もNTT以外誰も納得しないまま発動してしまった過去を考えても、各通信事業者が懸念していることは実際に起こるのではないかと思うのは自然なことのように自分は思います。

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