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Temple Morning(テンプルモーニング)はじめませんか?

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朝はお寺のゴールデンタイム

突然ですが質問です。
みなさん1日の中でお寺を訪れるのに、一番気持ち良くお参りできるタイミングっていつだと思いますか?


朝?昼?夜?それとも真夜中の丑三つ時…。



様々な意見があると思いますが、私の独断と偏見でオススメしたいのは、断然「朝」です。

昇る朝日に照らされた本堂。
まだ、人も車の通りも少なく静まりかえる境内。
朝の凜とした静謐な空気の中に鳥のさえずりが響く。
深く息を吸い込むと清らかな何かが自分の中に入ってくるような気がする。

そんな空間に身を置いて、1日をスタートしてみたいと思いませんか?


お寺で朝掃除の会

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今、全国のお寺でTemple Morning(テンプルモーニング)という、お寺で朝掃除の会が少しずつ広がっています。
かくいう私も、自分のお寺で既に取り組んでいます。

上記のような告知をSNSとあわせて檀家さんへチラシでお知らせして毎月1、2回開催しています。
およそ1時間のプログラムで、お経(20分)掃除(20分)お茶とお話(20分)というタイムスケジュールで行なっています。
現在、うちのお寺では大体4〜5名くらいの方が参加してくれています。
今でこそ毎回参加者がいますが、最初は参加者が無く私1人だけで行なっていました。


どこのお寺にもテンプルモーニングはある。

お寺側の目線でのテンプルモーニングについて少し語ってみようと思います。
開催する側としてのメリットとするとなんといっても「頑張らなくてもできる」ということに尽きると思います。

私自身、毎月1〜2回のペースで1年以上続けていますが「頑張って続けている」という感覚はありません。

まず、最初の「お経」です。

これは「朝のお勤め」としてお寺では日常的に行われていることです。
そして、僧侶以外の方(檀家さんなど)がこの朝のお勤めにお参りにくるというのは、自坊ではありませんでしたが、私が学生時代に東京でお世話になっていたお寺では毎朝の当たり前の風景でした。

次に「掃除」です。

これもどこのお寺でも当たり前に行われていることです。
どこのお寺も掃除用具はある程度そろえてありますし、ウチでは参加される方が「もっとこんな掃除用具があった方がいい」と言って自ら持ってきてくれることもあります。

3つ目は「お話し」です。

これも、お茶の用意があって、朝のお勤めと掃除を一緒にした仲間が集まれば自然とお話しが始まります。
お経と掃除の感想をシェアしていればあっという間に時間が過ぎてしまいます。

ここまで書いたとおり、お寺にとって新しく物品を用意したり、未経験の新しい要素を取り入れたりと言ったことが一切必要ないんです。
これまでも日常的にお寺で行われていたことを組み合わせて「Temple Morning」とパッケージを改めて、そこに自由に人が出入り出来るようにリデザインしただけなんです。

そう、特別なことは何も無いんです。

テンプルモーニングは、お寺がその気になれば明日にでも始められるのです。


テンプルモーニングひとりでできるもん!?

そして、開催する側として最も気になるのが

「誰も来なかったらどうしよう」

という心配だと思います。
これに対しての私の答えは

「誰も来なくてもいいじゃないですか」

です。

先ほども述べましたが、「朝のお勤め」「掃除」「お茶を飲む」これらは全て「寺の日常の中」にあるものです。
誰も来なくても朝のお勤めはやるし、掃除もやりますから、いつものお寺の朝がそこにあるだけなんです。
だから、自分以外に参加者がいないなんて全く気にすることは無いんです。

参加者ゼロはありえないんです。
いつでも、自分自身は参加しているので。


参加者の声

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つづいて、参加していただいている方々の声を紹介させていただきます。

・朝のお寺に来ると気持ちがいい。そして、お経を読んだり、掃除をするとさらにいい。
静粛なお寺の朝の空気に触れると、自然と気持ちも整ってくるとのことです。読経や掃除を通してそれらがさらに強調されていきます。

・もっと掃除をしたい。
20分間では、狭い範囲でもなかなか掃除もやり切れないものです。この負担にならない、もう少しやりたいくらいが丁度いいのかもしれません。落ち葉の多い時期には、一度家に帰った後、日中に来てやりかけた場所を掃除してくれる方もいました。(とても助かりました笑)

・自分の修行のために来ている。
自分の家の掃除はどうしても「タスク」になってしまうけれど、お寺の掃除は「行」として捉え、家の掃除とは違った気持ちで取り組むことができるそう。

・掃除を通して四季の移り変わりを感じることができる。
冬には冷たいに水に雑巾を洗い、春には舞い散る桜の花びらを拾う。
夏には額に汗をしながら草をむしり、秋は木枯らしに舞う落ち葉を掃く。
毎回、本堂に差し込む朝日の角度からも、季節の移り変わりが感じられます。
ウチのお寺の場合は1月くらいが、ちょうど朝のお勤めの最中に朝日が本堂の中に差し込んできてとても素敵です。

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・掃除があることで、お経もお茶の時間も安心して楽しめる。
参加する側からすると、お経とお茶だけだと「お客様扱い」を受けていると感じるのだとか。
しかし、掃除をして自分がお寺に貢献することで、掃除の後のお茶の時間も気後れせず楽しむことができるそうです。

・お茶の時間に仏教の話題で盛り上がれるのが楽しい。
普段の仲間とはなかなか仏教の話で盛り上がることは無いですよね。
テンプルモーニングに来る人たちですから、少なからず仏教に興味がある方々です。
「この前テレビにお坊さんが出てて〜」
「先週、ドコドコのお寺へ行ってきて〜」
などの話題をきっかけに気兼ねなく仏教トークで盛り上がることができます。
もちろん、仏教以外の他愛もない話題で盛り上がることもあります。

うちのお寺のテンプルモーニングの場合は、参加してくれている方はほとんどが檀家さんですが、テンプルモーニング開催をキッカケにSNSを通じて新たなご縁をいただいた方や、今まであまりお寺と繋がりの少なかった次世代の方々との縁を結ぶ機会にもなりました。

振り返ってみると、テンプルモーニングの開催を通して、新たなご縁も結べて既存のご縁を深めることができていたことに気がつきました。


求める人たちが安心してお参りできる場所

終わりに、私が1年以上続けてみて感じていること、現在進行形で考えていることをシェアしてみたいと思います。

1年以上続けてみて分かったこととして、テンプルモーニングという取り組みはある種の「居場所づくり」なのかなと思うようになりました。
「お寺」という場所は檀家以外の人たちにとっては、中に足を踏み入れる事が容易ではなく、ハードルが高い場所です。
そのハードルをお寺側からも参加したい人側からも下げていける取り組みがテンプルモーニングだなと思います。

「身近に安心して気兼ねなく仏様にお参りできる場所を求めている人たちに対して、開かれた入り口としてテンプルモーニング」ということに価値があるのだと思っています。
ですから、やはりテンプルモーニングの価値は参加人数の多寡ではなく、「開催している」ということ自体に価値があるのだと思っています。

いまだに一人でテンプルモーニングする時もありますが、ペースを崩さずに淡々と続けています。


特別な準備も必要なく、やると決めたら明日からできる取り組み「Temple Morning」を皆さんも始めてみませんか?

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