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【左翼は●●で覚えよう】エアバス A320neoのEXT LT(exterior light/航空灯)の機能と用途について #MSFS #MSFS2020

MSFSでA320neoを飛ばす際、これまでライトの点灯の意味についてはよくわからない状態で飛んでいた。
点灯しなくても"一応"飛ばすことはできる。実機ではないので、点灯しないことで困ることは特に無い。点灯しないことで何か危険な目にあったり、何かを壊したり、墜落することも、誰かを殺すことも、怒られることも無い。

しかし、実際の航空機を見ているとどうやらいろいろな状況で様々なライトを点灯したり消したりしているらしいということが分かる。
というか、航空機だって乗り物。クルマと同じように、安全のために自分の位置を示すため暗くなればライトを点灯することもあるし、昼間でも何らかの意思表示を行うためにライトを使うであろうことは容易に想像がつく。

できることならば、各種ライトの用途を知りたい。そして、実機とできる限り同じオペレーションを再現したい。それがフライトシム、いやあらゆるシムゲーの醍醐味だ。全ては好奇心と知識欲がシムゲーへ自分を駆り立てる。

そう思い、自力で調べたり人に聞くことでそれぞれのライトの役割を最近ようやく理解した。
そういうわけで調べたことをここにまとめておく。
今後、フライトシムを始めた方がこのnoteを読み勉強になれば嬉しい。

五反田や原宿で空を見上げれば、こんな感じに光る到着機を夕方頃に見たことがあるはずだ

なお、以下に記載することはすべてエアバス A320neoを基準にした話である。検証はMSFS内でFlyByWireのA32NXを使用して行った。
ところで、そもそもの話だが、私は航空会社の関係者でもなく、何らかの航空関係のエキスパートですらもない。MSFSでフライトシムに触れ、色々好奇心で学んでいたら沼にハマっていった、ただのオタクだ。

つまり、素人が頑張って調べて書いていることだ。ということは、書いてあることが間違っている可能性がある。だから何か間違っている部分を見つけたら何卒教えて下さい。

なお、この文章は全編無料で読むことができる。もし気に入ったら投げ銭という形で購入することもできる。投げ銭されたら多分1ヶ月ぐらい喜び続ける。

EXT LTの各スイッチについて

EXT LTに配置された各種外部ライト類スイッチ

エアバス A320neoのコックピットのオーバーヘッドアップディスプレイの左端の方には、EXT LTと書かれた箇所がある。
これは、機体の外部に搭載されたライトをコントロールする部分である。
該当するスイッチに番号を振った。1つずつ、どういった機能があり、いつ使うかを説明していく。

①Strobe Lights

点灯時の動作

①のSTROBEはストロボライトだ。翼端に1つずつ、胴体の尾部に1つの計3つあり、毎秒2回点滅する。
機種によっては搭載箇所が異なるが、どんな旅客機でも原則全方位どこからでも見えるように配置されている。

ストロボライトは飛行中あるいは滑走路上にて、他機に対して強力なストロボで自機の存在を示すことで衝突を防止する。
滑走路上に進入する直前に(※離陸だけでなく横断する場合でも)点灯する。着陸あるいは横断が終わり滑走路を離れたら消灯する。
これにより、滑走路上に着陸しようとする航空機が、滑走路上でストロボライトを視認した場合、滑走路上に他の航空機がいると判断できる。
なお、このライトは非常に強力なため、濃霧や雲の中では反射しやすい。その際パイロットの視界を遮る場合がある。その時は意図的にオフにすることもできる。

AUTOモードについて

ちなみに、このライトのスイッチを中央にするとAUTOモードになる。
AUTOにセットされている場合は、以下の動画のように着陸脚が地表を離れている時に自動的にストロボが点灯するようになる。

ただし、前述の通りストロボライトは地表を離れてから使うものではない。滑走路に入る際に点灯するものである。
AUTOモードは滑走路進入前にONにし忘れたときのバックアップとしての用途であり、ストロボをAUTOの状態のまま離陸することは本来のオペレーションとして正しくない。これを理解しておく必要がある。

チェックリストでも滑走路進入前での点灯が指示されている

②Anti Collision Beacon(衝突防止ビーコン)

点灯時の動作

②のBEACONと書かれた部分は衝突防止ビーコンと呼ばれている。
ここをオンにすると機体上部・下部から赤色の閃光を発するようになる。
このライトは、周囲に対して自機が移動しようとしている・移動中であることを示すものである。
これからエンジンの運転を開始する・あるいは運転中の時、移動中の時に点灯させる。
そのため、プッシュバックの前から点灯し、以降は常時点灯、到着してエンジンをシャットダウンしてから消灯することとなる。(プッシュバックが不要な航空機の場合はエンジン始動前)
ちなみに、整備工場とスポット間の移動などのトーイングの際にも点灯させる。

プッシュバックよりも前に点灯させる。この点灯が出発準備完了の表示とも言える

③Wing Scan Lights

③のWINGはWing Lightsで、エンジンや翼の前縁部を照らすライトである。

左右それぞれに付いている
このように、エンジンと主翼を照らすことができる

主翼やエンジン部の着氷状態を確認するためのライトである……とされているが、実際この用途で使用されることはほとんど無い
夜間に、より航空機を見やすくする用途にもなるため、航空会社や機種によってはタキシング時にタクシーライトとの併用や離着陸時に使用することがある。

④NAV & LOGO

NAV

NAV & LOGO点灯時。NAVは常時点灯することになっている

NAV Lights, Navigation LightsあるいはPosition Lightsとも呼ばれる。
主翼の前両端部にある赤と緑のライトと、機体尾部(機種によっては主翼後部の場合もあり)にある白いライトで構成されている。
航行中の他機に対し、自機の位置やその方向を示す。
なお、このライトは飛行中、タキシング中、駐機中も、昼夜を問わず常に点灯される。

少し見づらいが真上から見た様子。左翼が赤、右翼が緑、そして後方が白。
どの方向からも何かしらのライトが見え、機体の方向が判別できるようにできている

上記の画像の通り、右側が緑、左側が赤となる。
それぞれ、左右の赤と緑は110°、尾部の白色ライトは140°の開き角がつけられており、全方位どこからも何かしらのライトが見えるようにできている。
なお、非常に重要なライトであるため、故障時に備え電源が2系統存在する。(らしい 自信ない)

どちらが赤でどちらが緑か分からない場合は、
『左翼はアカ』で覚えておくとハラショー。
ちなみにこの赤緑白のルールは、船舶のルールから持ち込まれたものらしい。

進路の譲り合いについて

航空機にも譲り合いのルールがある

主題から少し逸れるが、パイロットが各々で機体間の間隔を取るVFR飛行の場合特に重要となる話をしておきたい。
航空機同士が交差する場合、互いの向きによってどちらが進路を譲るかは決められている。この時に、前述のライトで位置関係や、相手の進路を判断することができる。
基本は以下のようなルールだ。

  • 正面に右からやってくる航空機があれば進路を譲り右へ回避

  • 正面で向かい合っている場合はお互いが右へ回避

  • 自機が正面にいる他機を追い越す場合は右に避けて追い越す

LOGO

ロゴライト。航空会社が判別できるようにできている

垂直尾翼の、航空会社のロゴを照らすライトである。
搭載の義務は無いが、滑走路進入前のholding pointで滑走路に対して直角の状態で待機している時に、到着機から視認しやすいなどの効果がある。

⑤Runway Turn Off Lights

A320neoの場合はノーズランディングギアに搭載されている。
機体に対して斜め前方を照らすことで、滑走路からの離脱時の進路を照らすことができる。
Taxi Lightと同時に使うことが多く、日中でも点灯させることがある。

動作中の様子
動作中の様子

⑥Landing Lights

左右の主翼付け根部分に1つずつある。離着陸時に滑走路を照らすライトで、離陸~1万ftまで上昇する間と、着陸時に1万ft~着陸の間は点灯する必要がある。日中でも点灯させる。

格納時
展開時

上記のように、スイッチの切替で格納・展開を切り替えることができる。
離陸時に点灯することを忘れないよう、滑走路進入前に予め展開しておくなどの運用方法が取られることがある。
着陸後は、滑走路を離れてから消灯する。

なお、余談だがまれに転移高度(※)と混同し、1万4000ftまでランディングライトを点灯し続けると勘違いしている場合がある。
ランディングライトの点灯・消灯は転移高度に関係無く1万ftが境界線である。

※転移高度(transition altitude): 高度計規正値を標準大気圧にセットし、高度がフィートから『フライトレベル』に変わる高度。日本では1万4000ftから上

⑦Nose Lights

Taxi Light, Takeoff Lightがあり、状況に応じ切り替えて使う。前述のRunway Turn Off Lightsとも併用される。

Taxi Light

動作時の様子

ノーズランディングギアに搭載されており、タキシング時に前方を照らすことができる。
多くの航空会社ではプッシュバック完了後にタキシングを開始する際に点灯することになっている。昼間でも周囲への注意喚起のため点灯する。
着陸時にもランディングギアを下ろす際オンにする。

なお、一部では「着陸許可が出たら点灯する」という記述があるが、そのような記述と根拠が他で見つからなかったので恐らくそれは間違いの可能性がある。

点灯時のコックピットからの視界
Runway Turn Off Lightsと併用すると、幅広い視界を取ることができる

Takeoff Light

点灯時
動作時のコックピット

T.Oとも記載されているが、Taxing Lightから角度が変わったもので、これは離陸時により遠くを照らす用途に使われる。機種メーカーによっては存在しない。


終わりに

というわけで、A320neoを題材に、航空機のライトについてまとめた。
フライトシムで飛行する際に参考にしていただき、よりリアルに近いオペレーションを再現していただければ幸いである。

なお、今回紹介していないもので、脱出時の出口を照らす非常用のライトなどがあるが、これについては動作方法がよくわかっていないので説明は省略した。理解できたら追記する。(A32NXではオンにしても点灯しないように見える)

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