トイレットペーパーの芯の売り方と、これからの知識の売り方はもっと似てくるという話


川上徹也さんの「売れないものを売る方法? そんなものがほんとにあるなら教えてください! 」という本を、昨年末に読んだ。

ジャンルでいうと、マーケティングの本なのだけど、理論的な本が出てこず、とても読みやすい。身近な例を多数とりあげて、分析していて、マーケティングに興味がない人も面白いと思う。

本書の冒頭で取り上げられていたメルカリの例が面白かった。

トイレットペーパーの芯を売る方法

もはや有名なエピソード(?)でもあるのだけど、メルカリではトイレットペーパーの芯が売れている。普段捨ててしまう、あの芯が値段がついて売れているのだという。肝はいつ誰が買っているのかであり、答えを言うと、夏休みに、子どもの親が購入している。子どもの自由工作用に使われているのだという。さらに、段ボールやサランラップの芯、牛乳パックをセットにする戦略もある。

この本が全体を通して主張していることは、一見売れないものも、when(タイミングや時期)、who(売る対象等)、why(用途等)などなどを変えれば売れるのだ!ということ。メルカリのトイレットペーパーの芯の話は、普通はゴミになるのに、これらを変えれば売れることを示す代表的なエピソードである。


知識・情報のマーケンティング的売り方

面白いな〜と思いながら読んでいたのだけど、ハッとした。なんかこれが僕のやりたいことでもあるし、これから求められることではないかって。

この本で語られているのは「モノ」。

だけど、「知識・情報」も同じように売られているのではないか。そして、さらに売られていくのではないか、と感じた。

つまり、普通に野ざらしにしているだけでは、その知識・情報・経験は全く売れないし、恋人や友人ぐらいしか聞いてくれない。大事なのは、その知識を売る対象を変えてみたり、時期を変えてみる、まとめ方を変えてみること。そして、一番重要なのは、知識が「使われる用途」を変えることではないか、と思う。

先日、見かけたツイッターでは、「編集力」と書かれているけれど、「うまくまとめること」も、さっきのトイレットペーパーの芯のセット売りのように、知識・情報のマーケティングのひとつだろう。


本屋のベストセラー売場で分かる知識のマーケティング

本屋に行っても、うまく売れているのは、知識・情報の5w1hを上手く変えているなあと実感する。

まず、知識の表現媒体(how)を変えて売る方法が、主流になっている。たとえば、池上彰等を筆頭として難しい知識をわかりやすく説明したり、売れている「君はどう生きるのか」のように名著を漫画にしたり、または図解にする。または、「もしドラ」のように、小説媒体にする等もある。

また、面白いのはwhy(用途)を変える方法である。たとえば、「孫子の兵法」等、戦争の知識をビジネスでも使えるように売り出している例があげられる。最近みたものでは、「RED ヒトラーのデザイン」という本では、ヒトラーを優れたクリエイティブディレクター・デザイナーとして捉えて、ヒトラーに関する知識をデザインという視点から再構成している。

また、ホリえもん等多くの本を出している作家は、同じ知識を、テーマ(ターゲットや用途の変更を含む)によって再構成している著書が多いように思う。


知識も「価値の再定義」の時代

本屋が好きなのだけど、本屋の話で絶対に出るキーワードが「本屋が提供する価値の再定義」だ。簡潔に言えば、本屋は「本を並べて売る」という価値を提供してきたけれど、それでは生き残れなくなってきたから、「本を選ぶコンシェルジュ的な価値」「みんながあつまる場という価値」等新しい価値を提供するように転換していかないといけないねっていう話。

もちろん、本屋だけでなく、多くの産業や行政に当てはまることなのだけど、モノだけでなく、知識にも同じことが言えると思う。これまで、同じ知識でも、違う価値を編集していかなければ、知識は売れなくなるのかも。


まとめ

編集の現場の人からすると当たり前のことなのだろうけど、売れないモノを売れるようにするのと同じように、一見価値がない知識を誰かの役に立てる形に「編集」することに、僕は楽しさを感じる。どうやったら、それを実現していけるのか、noteでも書きながら模索していきたいと思う。



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ぬっぺい

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