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【旅blog】ベトナム統一鉄道の旅 1

アジア2大バックパッカー街のひとつ。
ホーチミン市のブイビエン通り。

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そこにはアジア、ヨーロッパ、アメリカと
様々な国の人間が行き交っていた。

そんな中、私は一人立ち尽くしながら思う。


(カネがねぇ…。。)


これは私が初めて"海外ひとり旅"を決行した
2013年8月10日‐16日の7日間の記録です。

ホーチミン、フエ、ハノイと
寝台列車で北上した小さな冒険。

記憶が曖昧になりかけていたため、
古い内容ですが、文章に残そうと思いました。

当時25歳。

きっかけは沢木耕太郎の"一号線を北上せよ"というノンフィクション作品の影響でした。

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"深夜特急"のような香港からロンドンへの
旅はハードルが高いけど、
こちらのベトナム北上の旅は
自分でもできるのではないかと思ったのです。


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2013年8月10日(土)

私は成田空港へ向かうため、
白い半袖Tシャツ、黒の短パン、
パープルのバックパックを背負い、
山手線に乗車していた。

電車のドア付近でバックパックを降ろし、
窓の外を眺めたり、車内広告に
目をやったりしていると、
ある一点で違和感を覚えた。

もう一度その方向を見ると
横の女の子と私の目が合う。

その時間3秒か。

「え、何してるの!?」

女の子が口を開く。

そこには地元に住んでいるはずの
幼馴染の姿があったのだ。

「いや…、ベトナム行くんだ。」

「…は?」

中途半端な感じで、
私は乗り換えの為に電車を降りた。

成田空港までの道程でこんな奇跡が起きるのだ。この旅はきっと良いものになるに違いない。私は確信した。

成田空港に着き、チェックインを済ます。

搭乗時間までの間、今後もきっと旅をするだろうと思い、マイルを貯める為に私は新たなクレジットカードを契約した。

ちなみに、この旅で貯まったマイルが
後の八重山諸島の旅に繋がるのでした。

搭乗時間になり、飛行機に乗ると
二つ並びの席の窓側に若い女性が座っていた。

私の席はその通路側だった。

若い女性は、黒い無地の半袖Tシャツに
花柄のスキニーパンツを履いていて、
「ダンサー」という言葉がふさわしかった。

同じくひとり旅なのだろうかと気になったが、
変に話し掛けて、警戒されては数時間の移動が
苦痛になると思い、ビビってやめておいた。

この頃は何とも消極的でした。

ゆっくりと飛行機が動き出す。

それと同時に女性は勢いよく、
私の方を見て言った。

「ひとり旅ですか!?」

相手から来るというパターンがあるのか。
私は驚き、はいと即答した。

「良かったぁ、私も一人なの。ホームステイなんだけどね。同じくらいの年齢で隣同士とか偶然だね。」

東京都27歳の保育士だった。

これから行くベトナムのことやお互いの地元のことをずっと話していた気がする。

窓の外が暗くなってきた頃に女性がいう。

「ねぇ。せっかくだし、乾杯しない?」

「いいね!乾杯しよう。」

私たちは客室乗務員に赤ワインを注文し、
飛行機の中で乾杯した。

「あ、外、すごい星だよ!」

窓の外を見て女性が言う。

女性に勧められて窓の外を見ると
小さく星が輝いているように見えたが、
機内の様子が窓に反射して映る為、
よく見えなかった。

「よく見えないや。」

すると女性が自分のブランケットを手に取り、
私の頭にかぶせた。

「それで見たら反射しないよ!」

私はブランケットを頭からかぶり、
窓の外を眺めた。

そこには無数の星が煌めいており、
言葉が出ないくらいに美しいと思った。

私と保育士の女性は2人で頭からブランケットをかぶり、満天の星空を眺めながら赤ワインを飲んだ。

つづく…


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