翻訳不能な深夜3時
また目覚めてしまった。
けど、それもおそらく今日までだ。
というのも今日、主治医に睡眠導入剤を処方してもらうようにお願いするつもりだからだ。
確かに、睡眠不足は、僕の不調のいちばん分かりやすい兆候だから、先生もきっと出し渋るようなことはしないだろう。
そんな近未来の明るい展望のおかげだろうか、いつものようになんとか眠らなきゃ、という焦りも今はなくて、自分でも不思議なくらいとても穏やかな気持ちに満たされている。
こんな僕でも、このときばかりは、なんだか誰にでもとても優しくできそうな気がして、さっきから
「もう許してあげようよ」
ってずっと心の中で呟いている。
もちろんその中には僕自身も含まれているわけだけど。
「久しぶりに映画でも観ようかな」
とそんな僕が棚から取り出したのは
Lost in translation
なんだか今の自分の気分にぴったりなタイトルじゃないか。
確かに僕らはきっとお互いに分かりあえないからこそ、
こんなにもドラマティックな人生を送れているんだろう。
ラストシーン
新宿西口の電気街の雑踏の中に消えていく
あのビル・マーレイのように
出来れば僕もみんなの前から鮮やかに消えていなくなりたい
と今、そんなことを考えている。
それはきっと僕らの楽しかった思い出を
永遠
にするための
最後の大切なイニシエーションだから。
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