人体、5億年の記憶|馬場紀衣の読書の森 vol.51
ささやかなことだけれど「体」と「からだ」では、表記以外にもちがいがあるように思う。眼があり、脳があり、左腕と右腕があり、左脚と右脚があり、やはり左右に5本ずつ指がついている、そんな左右対称の構造をもつ「体」。たいしてその中央ともいうべき場所にある「こころ」をも含んだ「からだ」。そういえば「身体」という表記もある。こうした表記の揺れには、カラダのというものの曖昧さがよく表現されているように思う。そして私がつねに惹かれてやまないのは「からだ」なのである。
「からだ」について書き