暗い森の少女 第二章 ⑦ 夢の欠片
夢の欠片
なぜだろう。
北向きの座敷は凍えるようだった。
広さだけはあったが、座敷の真ん中にがっしりした格子が取り付けられて、すきま風が入ってくるような窓側しか使えない。
窓の外にも格子があり、逃げることさえできない身の上だ。
大好きだった着物も、かんざしも、今はない。
乱れた髪を背に流して、身につけているのは薄紫の襦袢、それを映す粗末な鏡台だけが与えられている。
日に三回、豪華な食事は与えられたが、それも冷え切っているので食べると体が冷える。
便所にも行かせてもらえず、