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不安な時に「開いてみよう」と思えるアプリに|『ninaru小学生』ができるまで。#1

10月リリースの新プロダクト「ninaru小学生」の制作内部をお伝えするnote。

今回からは、エバーセンスでインターンシップをする金が、開発に携わったメンバーへのインタビューを通して、アプリに込められた想いや制作の裏側に迫っていきます!

前回はこちら。

第1回目は、ninaru小学生のPO(プロダクトオーナー)である坂上さんが「今回のプロジェクトが走り出す前に巻き込んでいた」と話す、友保さんです。

POが一番に巻き込みたくなる友保さんから、いったいどんなお話が聞けるか楽しみです!

巻き込まれたというより丸投げでした

ーPOの坂上さんから「ninaru小学生のプロジェクトが走り出す前から友保さんは巻き込んでた」と聞いたのですが、初めて話を振られたときはどんな感じでしたか?

いつも通りって感じですね。

ーいつも通り…というのは?

さかっち(坂上さん)っていつも「やるよー、あとお願い!」みたいな感じなんですよ。

ーけっこう丸投げ感があったってことでしょうか?

そうですそうです。ただ、世界観はしっかりできていたんです。価値定義とか主要機能の骨組みとか。それを現実に落とし込むところを丸投げされたという感じ。

ーそれって困惑しなかったんですか…?

えーしなかったかな。POってめちゃめちゃ大変だし、今回のPOは部長でもあるので余計に。「世界観は落とし込んでくれてるので後はこっちで頑張ります」みたいな感じですかね。最終ジャッジはちゃんと指示してもらわないと困るけど、それ以外はやれるところは巻き取りますみたいな感じでやってました。

ーなるほど…今回、ninaru小学生の開発で、友保さんはどんな役割をされたのでしょうか?

デザインディレクターとPM(プロジェクトマネージャー)、ですかね。アプリの全体デザインを統括する役割と、開発プロジェクトをマネジメントする役割を兼任してます。

ー兼任…!なんだかとても大変そうです。それぞれの仕事について教えてください!

ちょっとダサいけど、なんか懐かしいデザインに

ーまず最初に、一つ目の役割であるデザインディレクターとしてはどんな仕事をしていたんですか?

POがアプリの世界観や価値定義をもとに作ってきた初期プロットを、デザインに落とし込んでいきました。

↑坂上さんの初期プロット、友保さんのデザインパワーによりどんな進化をとげたのか!?

ー なるほど。坂上さんの初期プロットが友保さんの手により素敵なデザインに生まれ変わっていくわけですね。

ですね。POが決めた骨組みはいったん乗っときながら、デザイナーとして提案できるところはしていく、という感じです。

ーデザインで、特に力を入れたところはどこでしょうか?

やっぱりホームですね。ホームの黒板。アプリの名前が「ninaru小学生」に決まったときに、ユーザーがワクワクするモチーフを取り入れたいなぁと思いつきました。ninaru小学生の想定するユーザーは小学生の親なので、親がninaru小学生を見て「学校っぽい」と思ってくれたらいいなぁ、と。

完成したホーム画面は黒板がドーンとメインに。
ちなみに黒板の緑に対し、もう一つのメインカラーの黄色には、小学生らしい元気なイメージが込められています。男の子らしさ・女の子らしさを色で決めつけないよう、赤と青はメインに使われていません。

ー確かに黒板のデザインって、あんまりアプリで見ない気がします。

とはいっても、黒板って決まってからが大変でしたけどね。小さい変更のパターンを含めると30くらいの案を出しながら、納得いくまで修正を繰り返しました。いろんなタイプのPOがいるんですけど、今回のPOはデザインにけっこうこだわりがあるタイプで、こだわりを上手くデザインに落とし込むことに時間をかけて向き合いましたね。

ー例えばどんな修正をしたんですか?

最初は、黒板をめちゃくちゃ崩しまくったデザインで提案したんですよ。正常な状態から崩すとよくわかんなくなっちゃうので、崩したところから正常に整えていく作業をしてました。

初期の黒板は、斬新な斜めのデザイン!
アプリ名も、最初は「ninaruスコラ」でした

ー黒板以外のデザインは考えなかったんでしょうか?

初期の頃、フラットな感じのデザインもPOには見せましたが、すぐ消えましたね。

黒板のモチーフがないバージョン、すっきりした印象のフラットなデザイン

ーそれって何で却下されたんでしょう…?

プロダクトの世界観に合ってないからじゃないですかね。私も合ってないと思いつつ、選択肢を広げるために見せました(笑)。エバーセンスのアプリって、「めっちゃおしゃれ!」ってアプリが一つもないんですよ。ただそれは、デザイナーとしては意図的につくっています。

ーそれってどういう意図なんでしょう…?

ユーザーの不安に寄り添うアプリが多いからですね。デザイナーとしては尖ったものとか最先端なものをつくりたいけれど、それより温かみの方が大切で。プロダクトの世界観に合わせるのが鉄則で、「ちょっとダサいけどなんか懐かしい」デザインにしようといつも思ってます。

ー…深いですね!

不測の事態が起こっても「予想通りだな(ニヤニヤ)」

ーでは次に、PM(プロジェクトマネージャー)の仕事について教えてください。そもそも私はこの言葉を初めて聞いたので、どんな仕事か全くイメージできないのですが…。

PMの仕事はみんなが円滑に開発できるようにすること、それに尽きます。

ーなるほど…?

スケジュール通り進むようにメンバーのケツをバシバシ叩きまくって、詰まっている部分を整理整頓しまくる感じです(笑)。

ー叩きまくって…ですか?

そうです。プロジェクトの目的は、「POが狙った通りのプロダクトをスケジュール通りに世に送り出すこと」なので、そのためにできることはなんでもやります。

ープロジェクト全体の整理をする役目がPMなんですね。

ですね。今回エバーセンスとしては久々の大規模な新規開発だったので、あちこちで常に小さな問題が起こるんだろうなと思っていて、実際に起こりました。POが求める質の部分と、スケジュールの部分のバランスを見つつ、「今入っといた方がいいかな」ってタイミングで交通整理をしてました。

ー交通整理というのは、具体的にどんなことなのでしょうか?

ミーティングに入って整理を手伝ったり、表をつくったりとか。私はデザインもできるので、機能の要件を詰めるときに迷っているチームがあったらちゃちゃっとデザインで起こして、行き詰まっているチームメンバーの頭を整理してもらったりとか。

困りごとや不安が解消されて、チームメンバーが自分たちで進めるようになったらバイバイって言って出ていく、その繰り返しです。

ー…なんかすごいですね…!

開発のときに迷路に入りやすいタイミングってあるんですよ。例えば、各機能の細かい部分を詰めていくときとか。今回は各機能にもPOがいるんですが、そのPOが迷うとチーム全体の士気が下がるんです。そうすると1回チームがぐちゃぐちゃになります。

ーぐちゃぐちゃに…!?

船頭さんが迷ってるわけだから、船の漕ぎ手はもっと迷いますよね。入るタイミングはその時々で違いますけど、「これ以上放置すると質かスピードに問題が起こるなぁ」と思ったら、いろんな手を使って開発中のみんなの不安を取り除いていきます。

ーPMすごいですね……。自分のデザインの仕事をしつつ、チーム全体の動きにまで気を配るなんて、私からすると千里眼をもってるようにしか思えないです。どうしてそんなに視野を広くして、チーム全体をみることができるんですか?

だいたい予測できてるからですね~。

ーなんで予測できるんですか!?

経験ですね。私はこれまでPOの経験があるので、チームに起こることが大体予測できているところが大きいかなと思います。チーム開発をしていく中で、何が起こるのか、なぜ起こるのか、 大体いつ起こるのかなどは経験から予想がつくので。余裕をもってみていられますね。

私とPOのさかっちは、不測の事態が起こって、チームのみんながバタバタしているところを「やっぱり予想通りだな」とニヤニヤしながら見ていることもあります(笑)。

ー なるほど。これまでの経験があってこそ成せる技なんですね...!

そうですね。マイナスなことだけでなく、プラスの予測ができるのも大きいです。チームで開発をするときは、最初はみんな気分が上がるけど、その後に混乱してチーム全体がバラバラになる時期が絶対来るんですよ。

でも、また必ずチームとしての力が伸びる時期も来るから、例えぐちゃぐちゃになってみんなが不安になってたとしても焦らないでいられますね。

ーメンバーが迷っているとき、伝え方で大切にしていることはありますか?

否定はしないけど指摘はする、ってことですかね。基本的にチームメンバーはめっちゃ頑張ってくれているので。頑張り自体を否定はしたくない。迷ってるときって、たいていは「結局このアプリの方向性が何なのか」を見失っている時です。そういうときは、今やってることは否定しない。士気を下げたくないので。ただ、原点に一回戻れるように指摘します。

ー「原点に一回戻す」というのは…?

開発者目線からユーザー目線に戻って考えることです。開発中はどうしても開発者目線になってしまいますが、「ユーザーが使いやすく、かつこちらが提供したい内容がスムーズに使えるようになっているか」といったユーザー目線に戻ることが必要だと思います。

開発者目線になってしまうと、「これ以上こだわると大変なので、これはやらなくていいですか?」みたいなブレが起きちゃうんですよ。「それ、どっち目線で考えてる?」と聞くと、「今のはユーザー目線になれてなかったですね。」と気づくことができる。

ユーザーにいいものを届けるためにも、メンバーに問いかけ、原点回帰してもらうことを大切にしてましたね。

私は楽な立場なんです

ー聞けば聞くほど本当にすごいなとビックリしています…そんな友保さん自身が焦ったことはないんでしょうか?

基本的にはないですね。デザインに手が回らなくて終わらなくて焦る、みたいなことはありますけど。

ーでは、迷ったことはありますか?

ないですね。POじゃないので。今回のプロジェクトでは、私は楽な立場なんですよ、責任ないので。

ー楽、ですか…。

私自身ほかのアプリのPOをやってるときは、ずっと苦しいですよ、笑ってるけど。苦労が9割で、基本的に楽しいことはほぼないです。責任あるし、失敗だらけだし。

ーPOに面白いところはないんですか?

自分で意思決定して自分で動かせるのは面白いですよ。それが数字になってあらわれたり、ユーザーさんが喜んでいる声を寄せてくれたりするととっても面白いです。

ーなるほど…すごい。すごいですね。

それに比べれば、今回のデザインディレクター兼PMというのは、とっても気が楽。デザインで遊びもできたし、プロジェクトの進み方を余裕をもって見ていられましたね。

ーとはいえ今回、開発スケジュールが伸びて、1ヶ月ほど当初の計画よりリリースが遅れてしまったと伺いましたが、そこに焦りや迷いはなかったんでしょうか?

なかったですね。公表はしてませんでしたが、私とPOの間で、「あーこりゃ遅れちゃうね」っていう話はずいぶん前からしていましたし。

ー実はわかっていた、と。

そうです。メンバーが「無理です遅らせてください」って言ってくれるのを待っていました。

ーなぜ待っていたんでしょうか?

「無理です」って言うのも凄い大事なスキルなので、それをやって欲しかったという感じですね。さっき言った通り、今回のPOは部長でもあるので、遅れるのは歓迎はしないけど仕方ないよね、という経営的な判断が事前にできていたので。上の立場にいる人から「無理だから伸ばそう」って言われるより、現場が「無理だから伸ばさせてください」って言う方が、大変だけど、次につながるスキルが身につくと思って。

ーなるほど…ずっと同じ感想ばっかり言ってる気がしますが、すごいです…。

不安な時に「開いてみよう」と思えるアプリに

ー最後に、ユーザーさんにどんな風にninaru小学生を使ってほしいですか?

私も小2の親で、小学生の親になって2年目なのでだいぶ慣れてきましたけど、勉強が1日何時間なのかとか、登下校は大丈夫なのかとか、学童はどうするのかとか、最初は全然わからなかったので不安でしたね。そういう親の不安に寄り添えたらいいなと思います。

入学前から入学後まで、わからないことで不安になったら「ninaru小学生開いてみよう」と思える存在になってほしいです。

ー多くのユーザーさんのもとで不安を解決する存在になると嬉しいですね。
インタビューありがとうございました!

小学校の入学式の友保さんと娘さん

インタビューを終えて

インタビュー中、とにかく「すごい!」を連発してしまうくらい友保さんの仕事ぶりに圧倒されていました。

友保さんのこれまでの経験と、チームメンバーやユーザーへ真摯に向き合う姿勢が、ninaru小学生の開発チーム全体に波及していて、だからこそPOも開発メンバーも友保さんに並々ならぬ信頼を寄せているのだろうなぁと感じました。

個人的には、インタビュー時が友保さんとの初対面でしたが、「困ったことがあったら友保さんに相談しよう」と勝手に心に決めました!(笑)

さて、次回はninaru小学生の主な機能の一つ、「学習チェック機能」のPOであるようこさんにインタビューしていきたいと思います!