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【コトダマ003】「『地域』じゃない・・・」

「地域」じゃない。「隣近所」だ。

荒井裕樹『まとまらない言葉を生きる』p.80(横田弘氏の言葉として紹介)

地域共生社会。地域包括ケアシステム。地域移行。地域生活。
今や福祉ギョーカイも「地域」という言葉だらけです。
そんな「言葉遣い」に何の疑問も持っていなかった私が、文字通り頭をぶん殴られたのが、本書に紹介されていたこの言葉でした。

「地域」という言葉がもつ上滑り感、嘘っぽさ、偽善性といったものを、これほど見事に抉った言葉を他に知りません。
嘘だと思ったら、「地域」を「隣近所」に言い換えてみてください。

「地域で精神障害者が暮らす」
「隣近所で精神障害者が暮らす」

「刑務所出所者を地域で受け入れる」
「刑務所出所者を隣近所で受け入れる」

「認知症高齢者が暮らす地域」
「認知症高齢者が暮らす隣近所」

ね。全然リアリティが違うでしょ。
荒井裕樹さんもこの本の中で、こんな風に書かれています。

「隣近所」という言葉には、生々しい生活実感がある。「地域」には、その生々しさがない。ほどよく生々しくないから行政文書で使いやすいのだろう。でも、横田さんたちが求めてきたのは「書類に書きやすい地域」なんかじゃなかった。(前掲書p.82)

ちなみに「横田さん」こと横田弘氏については、またそのうちちゃんとご紹介します。
どうしても気になる方は、こちらの本を読んでみてください。
震えますよ。


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