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新人キャピタリストの動き方(続・イベント編)

さて、今日は新人キャピタリストの動き方(続・イベント編)と題して、イベント運営について触れたいと思います。今回も社内向けだったブログを、noteに記していきます。失敗談も沢山書いていきます😂煮るなり焼くなり好きにしてください。

イベントって自分で主催・運営すると、めちゃくちゃ沢山の経験を積むことができるんですよね。団体旅行の幹事も似ていますね。若い時の苦労は買ってでもしろ、と諺にあるように、おすすめです。自分は若くないからと逃げ道を作らずに、今からでも主催者を進んでやることをオススメします。

主催してみて初めてわかる、様々な視点。今まで幹事をやったことがなく、ただイベントにゲスト参加していたときの自分は無意識のうちにイベントの文句を言ったりします。しかし、一度でも自分でイベントを運営すると、運営者に対するリスペクトが生まれるので、イベントに対する感想や意見に変化が芽生えるようになります。参加者目線に運営者目線が加わるからです。

さて、苦労は買ってでもしろ、と書きましたようにイベントの主催も旅行の幹事も、一度手を出すと大変です。全体のプランニング、参加者の出欠確認、費用の管理、協力者への事前要請、物件等の予約などなど。そして、参加者を募る際の告知文の準備も。仕事で必要なスキルが凝縮されていると思いませんか?以前、ヤフーの社長の小澤さんが「マネジャー候補を選定する際に、飲み会の幹事をやらせると良い」とおっしゃっていたことがありました。聞いた瞬間に「なるほど!」と思いました。企画を考え、参加者への気配りを常にして、ゲストに高い満足度を感じて帰宅してもらう。それを実現するために、日頃からお店選びや企画など、友人にヒアリングしたり過去の取り組みを振り返って使えそうな店・ネタをストックする。当日の進行イメージを何度もシミュレーションする。幹事に必要なのは決してお酒の強さではありません。

一昨年、ZVC支援先の上場を祝う宴を実施しました。その日はオフィス出社日だったので、オフィス近くの花屋さんで会食のメインゲストの取締役3人にプレゼントする花を購入しました。レストランには予約時間の30分前に到着し、テーブルレイアウトを確認しました。すると、見た目はとても格好良かったのですが、真ん中に座るゲストがトイレに行く際、隣の人がいちいち席を立たないといけないレイアウトでした。逆にホストの私達が座る下座の方がゆったり快適な空間になっていました。私はお店のスタッフにお願いをして、レイアウト変更をしてもらいました。30分早く着いていたので当日のメニューを確認した後、お祝いのデザートプレートを用意しようと思いついたので、その場でお願いしました。事前にお願いしておくべきでしたが(笑)お食事を楽しんだ後に、デザートプレートが華々しく登場し、そのタイミングでお花をプレゼントしました。「ここまで盛大にお祝いしてもらってめっちゃ嬉しいです。ありがとうございました!」と大変喜んでくれました。たまたま早くレストランに到着していてよかったものの、事前準備していなかったらと思うとゾッとしました。コロナ期間で会食の頻度が下がっていたので色々忘れていましたね(笑)

プレゼントの用意、デザートプレートといったサプライズの準備。(サプライズではなくて当たり前と突っ込まれるかもしれませんが)。レイアウトの事前の確認。相手をおもてなしする際に、普段から意識されていますか?こういったことは接待が多い会社では社会人一年目に習う話かもしれません。自分は接待が嫌いで、接待などに時間を費やす会社を避けて選んできた方もいらっしゃるかもしれません。ただ、目の前にいる方も気持ちよく過ごしてもらい、楽しんでもらうためのスキルとして私は無いよりあったほうが良いスキル・意識だと思います。この時の反省は、当初見込んでいた予算をはるかにオーバーしてしまったことでした。以降、気をつけます(笑)

飲み会かー、会食かー、面倒だなー。って思うのは簡単です。「よし、今回はゲストにめちゃくちゃ喜んでもらうお祝いの宴にしちゃうぞ」と意識を変えてみましょう。そしてゲストが喜んでくれれば、頑張って取り組んだ努力が報われます。こうした細かくて業務に一見関係ないように見える飲み会の幹事でも、ものごとに取り組む姿勢、企画力、気配りなどが結局仕事にも通じているんですよね。みんなが面倒くさいと思っている仕事に対しても、前向きの姿勢を持って楽しんで取り組んでいる人には、いずれその姿勢が評価されて面白く重大な仕事が任されるようになっていきます。


さて、話が横道(?)にそれてしまったので、イベントの話に戻ります。今日は自分が関わってきたイベントについて色々振り返ってみたいと思います。ヤフーに転職する前にも実はイベントを企画・運営したことがありました。私の前職の会社はDream Incubatorという戦略コンサルティングとベンチャー投資を行う会社でした。2000年に設立された会社で、私は2003年に入社しました。最初の5年間、東京でコンサルタントとして働きました。2007年にDIにとって初の海外現地法人を設立することになり、私は現地法人の立ち上げメンバーとして選抜されました。初の海外現地法人の拠点はベトナムです。2007年からホーチミン市に駐在を始めることになります。

当時の立ち上げメンバーでベトナムで働く人は私一人。東京からは諸々の支援をしてくれるチームはありましたが、現地で目となり鼻となり情報収集をして、手や足を動かすのは私だけです。当然、知り合いは一人もいません。今思うとよく引き受けたなと思うのですが、若かったので色々心配事をするより、ワクワク感の方が勝っていたのかもしれません。新しいことを海外で挑戦することにドキドキ・ワクワクしていたことを今でも覚えています。

自分の7月16日の誕生日を家族でお祝いした後、ホーチミン市に赴任します。最初のミッションはオフィス探しと会社設立登記です。オフィス物件探しも会社登記も自分でしたことは今までありませんでした。ベトナムでの経験ももちろんありません。日本の会社法もろくに知りませんでしたから会社設立登記もなんとなく必要性を知っていたぐらいです。当時厄介だったのが、会社設立登記でした。ベトナムでは2007年の初頭に法改正が行われ、海外法人の株式会社設立に関するルールが整理されたばかりでした。当時、弁護士事務所も役所も海外法人の株式会社設立の経験がないので、誰も相手にしてくれませんでした。有限会社であれば1週間で設立可能だったのですが、親会社の日本からは株式会社でなければ駄目、と言われて路頭に迷います。日本を代表する都銀のホーチミン支店の方に相談してもみな口を揃えて「株式会社の事例は聞いたことがありません」と言われる始末。困ったものです。

様々なご縁を辿って、ようやくベトナムの法務省で働いていた方が立ち上げた弁護士事務所に巡り合うことができました。今でも衝撃的で覚えているのが、初めての面談時に「日本の会社だが、株式会社を設立したい。他の弁護士事務所では事例が無いので数ヶ月から1年近くかかるかもしれないと言われた。最後の頼みの綱でお願いしたい」と私が相談したら、「任せてください。すぐに取得しますよ」と回答してくれました。その1週間後には登記が受理されました。それからは、各方面から株式会社の設立方法について相談を受ける側になったことは言うまでもありません(笑)パイオニアであることの重要性を身を持って経験できました。

ドリームインキュベータ(DI、本社・東京都目黒区、堀紘一会長)は先月、株式会社形態による現地法人「ドリームインキュベータベトナム」の認可をホーチミン市人民委員会から得た。同社初の海外拠点として11月にも営業を開始する。日本でも行っている企業のマネジメントコンサルティングや投資事業をベトナムでも展開しながら、世界に通用するベトナム企業を多数育成するのが狙いだ。

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さて、会社設立が終わると、親会社から次の指令が下ってきます。会社設立記念パーティーを開催し、本社から役員を何人か連れて行くので、盛大なパーティーにするように。ベトナムにDIが存在していることをアピールするためメディアにも取材をしてもらうように。というどれも業務で経験したことのないオーダーでした。

役員陣が来越できる予定をまず確認します。その次に、開催可能なホテルの宴会場を探します。当然、どれくらいの数のゲストを呼ぶのか考えないといけません。パーティーをするから遊びに来てね、と新聞広告を打っても仕方ありません。そもそも誰に来てほしいのか、ということから考えないといけません。集められるかどうかわかりませんが、役員陣のスケジュールが確定した以上、会場は早めに抑えないといけません。とりあえず中くらいの規模のボールルームを借りました。パーティーのアジェンダも考えなくてはなりません。最初に講演を実施した後に、懇親会を開催するイメージを考えたら、今度は懇親会の会場も抑えないといけません。そうすると、ホテルのボールルームを2つ借りる必要があります。左の部屋で講演が終わったら、右の部屋に移動してそのままビュッフェスタイルで食事です。ビュッフェも手配しなくてはなりません。食事の量が少なすぎるとケチな会社だと来場者に思われてしまいますし、多すぎると無駄な出費になってしまいます。

とこのように考えないといけないことが山のようにありました。イベント当日は広すぎる部屋にちょこちょことお客様がいる状態。ベトナムに駐在をしてから知り合った日本人の方に片っ端から声をかけたので来場してくれましたが、残念ながらDIのクライアント候補はほとんどいませんでした。銀行、商社の方々はきてくれました。残りはベトナムの工業団地で働く工場長さん達です。DIはベトナムで現地企業へのベンチャー投資をしていく予定でしたのでクライアント候補は日系企業ではなく現地企業になります。そこで、ベトナム有望企業500社という書籍を購入して、DMを全社に送りました。数名のベトナムの国営企業の社員が来てくれました。しかし、肝心要のベトナム人ベンチャー経営者は皆無で、投入したコストに見合うほどのパーティーにはなりませんでした。ビュッフェ会場も30分もしてしまえば全員と名刺交換が終わってしまい、気まずい空気が流れていたのを今でも覚えています。思い出したくもないです。100人以上声がけしましたが、結局来たのは50名弱だったように記憶しています。ベトナムのメディアはお金を事前に払わないと取材に来ないそうで、そんなことを知らなかった私だったので当然誰も来ませんでした。日系の現地メディアが、3ページ目ぐらいに小さく記事を掲載してくれたことを覚えています。本社から来た役員陣も、30歳の若造が縁もゆかりも無いベトナムに来て頑張ってイベント運営しているところは評価してくれましたが、ベトナム事業の行く先をとても心配したことだと思います。来場してくれたベトナム人の方には感謝ですが、DIの東京の役員陣からすると造船業や建設業のベトナム企業の方と名刺交換して不安になったことでしょう(笑)そもそも日本にいる頃から、クライアントを集めたイベントなど運営した経験もないなかで、むちゃくちゃだったと思います。

でも、それが仕事であれば、経験がなくても創意工夫して、結果を出しにいかなくてはなりません。今の私ならもっと上手くできたな、と思います(笑)

それから2年後、今度はDIがベトナム企業に投資するファンドを設立することになったので、ファンド設立パーティーを企画することになりました。今度は失敗は許されません。DIは日本ではそこそこ知名度がありましたから、セミナーを開催すればすぐに席が埋まりますが、そもそも名前の知らない日本の会社のファンド設立パーティーなんて、お祝いする理由もないから足を運ぼうとおもいません。そこで、知り合いのコネをたどって、ベトナムで一番有名な経済学者の方に基調講演をしていただくようにしました。そして、ホテルの会場はわざと一番大きい部屋よりワンランク狭い会場にしました。2年間の時間があったので、当日会場に来て欲しい顧客には事前に会社訪問して、きれいな封筒に入った招待状を丁寧に手渡しして、来場を心からお待ちしていますと頭を下げて挨拶しました。VIPとして席を用意するから、と一言メッセージを添えて。ベトナムの現地メディアに対して、お金を払うことはせずに、そのまま新聞や雑誌に掲載できるように、当日の基調講演の内容やファンド設立の趣旨を要約した記事原稿を自分で用意しベトナム語に翻訳し、招待状とともに郵送しました。また、事前にイベントのゲストや講演内容を案内し、記事にしてくれるようお願いしたら地元の新聞にイベント案内記事が載りました。これは嬉しかったですね。

2009年6月26日
日本はベトナムのために何ができるでしょうか?

(TBKTSG オンライン) – それが、2009 年 7 月 10 日 (13:30 ~ 17:30) に大宇ホテルのロータス & ジャスミン ルーム (360 Kim Ma, Hanoi) で開催されるセミナーのテーマです。

このセミナーは、ベトナム商工会議所(VCCI)が日本のドリームインキュベータ社と協力して主催したものです。各省庁のリーダー、駐ベトナム日本大使、レ・ダン・ドアン博士の講演が参加しました。

参加は無料です。

詳細については、Dung 氏または Trang 氏、電話: (04) 3574 2161 までお問い合わせください。

The Saigon Times:https://thesaigontimes.vn/nhat-ban-co-the-lam-gi-cho-viet-nam/

ベトナム商工会議所にも集客の協力を要請しました。ファンドに出資してくれる事業会社LPの方々を当日セミナーに招待するので、パーティーで名刺交換をして日本企業との協業機会を探りましょう、と誘いました。ベトナムにいる日本大使にも来ていただくように調整したところ、ベトナムの省庁の役人にも大使が来るから是非とも顔を出して欲しい、と懇願します。

二回目は、大入り。200名近くの方が80名ぐらいしか入れない会場に押しかけます。席が足りません。ホテルの方が慌てて通路に椅子を出してくれます。座れない人は当然立ち見です。取材に来た記者は盛況ぶりに驚かされ、これはなにかすごい発表の瞬間に立ち会えたと錯覚してくれてのか、翌日朝刊を見ると主要新聞紙にほとんど掲載されました。中には一面を飾ることができた新聞もありました。

ベンチャー企業投資・育成のドリームインキュベータ(DI、本社・東京都目黒区、堀紘一会長)はホーチミン市で9日、ベトナム企業投資の「DIアジア産業ファンド」を開設する記念セミナーをベトナム商工会議所(VCCI)と共催した。会場は予定定員を2倍上回る250人(うち日本人50人)が参加。同ファンドの理念や、ベトナムの潜在力と現実を堀紘一会長が解説した。

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ちょっと当時のニュースを探すのは大変で、今思うときちんと写真にとってどこかに保管しておけばよかったと思います。探せば見つかると思うんですけどねえ。

2009年7月9日
投資ファンドDIの立ち上げ
グエン・クアン
(TBKTSGオンライン) - ベトナム商工会議所(VCCI)が主催する7月9日の日本企業とのビジネス協力機会に関するセミナーの枠組みの中で、アジアDI産業基金(DI)ホーチミン市支部が公開されました。

このファンドは、日本の大手非銀行金融会社であるジャパン・ドリーム・インキュベーター株式会社とオリックス株式会社によって設立され、総投資資本は60億円(1兆1,810億ドン以上)となっています。

DIファンド取締役会長の堀耕一氏は、同ファンドは人材、技術、技術の提供を通じて日本の有力企業にベトナム企業への投資を呼びかけることを目的として設立されたと述べた。コンサルティング…

DI は、国際市場で競争できる輸出企業や将来輸入に代わる消費財を生産する企業に注目する。

The Saigon Times:https://thesaigontimes.vn/nhat-ban-co-the-lam-gi-cho-viet-nam/

結果的にこのイベントは北部ハノイ市、南部ホーチミン市の主要経済紙に掲載されたので、現地の経営者への認知向上に役立ちました。アポがとても取りやすくなったのは言うまでもありません。また、当時DIベトナムで働いていた社員も、よくわからん日本の会社だけど主要紙に掲載されたことで多分大丈夫な会社なんだろう、と思ってくれたに違いありません。これは私の主観です(笑)

とまあ、異国の地でも、イベントは何回かやればコツは掴めます。一回目からは上手くいきません。何度かやってみましょう。あと、幹事は勝ってでもしようね、というお話でした。

次回はZVCに入社してから手掛けたイベントについて振り返ります。お楽しみに。

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