西山 逸成(Itsunari Nishiyama)

ル・プチメック ファウンダー 2019年6月までル・プチメックというパン屋さんと、20…

西山 逸成(Itsunari Nishiyama)

ル・プチメック ファウンダー 2019年6月までル・プチメックというパン屋さんと、2020年6月までレフェクトワールというベーカリーカフェをやっていました。 現在は、リタイアした何者でもない人

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リスクの過度な懸念は、足枷だと思う

昨日の話の続きになる。 少し前に本屋さんの話を綴ったときに、こんなことを書いた。 そんなわけで、ぼくのKindleには今や結構な数の本が入っている。 つまり先述の脈略でいえば、生殺与奪の権をぼくはAmazonにかなり握られていることになる。また電子書籍のアプリはKindleだけでなく、他にも3つ入れている。これはKindleになかった本が他のアプリにあったためなんだけれど、それでもやはり圧倒的にKindleが多い。 そこで昨日の話を書いていて、ふと思った。 もし、Am

    • 生殺与奪の権を他人に握らせるな

      生殺与奪の権を他人に握らせるな  「鬼滅の刃」1巻(アニメは1話目)で鬼になってしまった禰豆子の命乞いをする兄・炭治郎に、鬼殺隊の水柱・イケメン冨岡義勇が言い放った名セリフである。 しかしなぁ、さすがこの時代に「生殺与奪」とまでは言わないけれど、今やGAFAMを筆頭に海外のプラットホームに結構握られているというか、飼い慣らされているのは間違いないな。 会社勤めをされている人ならSlackやChatwork、Zoomなどのサービスを日常的に使われているだろうし、食べもの屋

      • 最近のケーキ屋さん、めっちゃ美味しいな

        先日、久しぶりにケーキ屋さんに行った。 昨年の12月にオープンされたばかりの、まだ新しいお店。 CAKE TAGUさん 店内は白とパステルカラーの水色を基調としたシンプルな内装で、主役であるケーキが並ぶショーケースへと自然に視線がいく。 種類はそれほど多くなかったと思うけれど、今どきな洗練された美味しそうなケーキが並んでいた。ショーケースを覗き、ケーキを選ぶときのあの高揚感はやはりコンビニでは体験できないものがある。 後になって全種類買えばよかったと後悔したけれど、結

        • 「ととのいました」

          ぼくは特段スイーツマニアでもないし、今ではそれほど頻繁にケーキを食べるということもなくなった。 以前は仕事柄、勉強したり作ったり、食べたりといった機会が一般の人よりは多かったけれど、それでもマニアと呼ばれる人ほどの経験値もない。 その程度の認識ではあるけれど、長年食べもの業界にいてケーキ屋さんの潮目が大きく変わった、と実感した記憶がある。 あくまでも私感だけれど、それはピエール・エルメさんの登場だった。 時代、時代でお菓子業界もスターシェフが現れていたけれど、エルメさん

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        • 本とか本屋さん(仮)
          23本
        • 日々是好日
          104本
        • 映画とかドラマとか(仮)
          18本
        • お店の話とか(仮)
          32本
        • 食べものの話とか(仮)
          50本
        • パン屋さんをして経営を想う
          81本

        記事

          コンビニスイーツと難攻不落なパン

          ぼくはコンビニのヘビーユーザーで、「〇〇シェフ監修」や「〇〇(店名)監修」といった商品を見かけると、ついつい試してしまう。 それらは侮るなかれ、と言いたくなるほどおしなべて美味しく、近年コンビニのこういった進化には目を見張るものがある。 ラーメンを食べては、 おぉ、なんて再現性が高いんだ スイーツを食べては、 こんなことまでコンビニでできるようになったのか こんな材料まで使うようになったのか などなど。 恐るべしコンビニ、恐るべし大企業である。 そして特にスイー

          コンビニスイーツと難攻不落なパン

          ぬはははは

          ある日の昼下がり、いつも利用する近所のコンビニに行こうと歩いていると、歩道の数メートル先では小さなお子さんを連れた若いお母さんと思しき二組が立ち話をされていた。 傍らまできたぼくは邪魔にならないようにと、歩道から降りてその横を通りかかった刹那、お母さんの1人が大きな声で笑われた。 ぬはははは ぬはははは・・・!? 一瞬、自分の耳を疑ったけれど間違いない。確かに「ぬ・は・は・は・は」で、「は」は4個だった。 い、いま、「ぬはははは」って笑われましたよね?などと、野暮なこ

          銀鮭の塩焼き定食を食べながら考えたこと

          昔から日本人は、「お客さまは神様です」という言葉を刷り込まれてきた。 その解釈を履き違える人もいたりするものだから、そのせいでカスハラなんて社会問題も起きている。 食べもの屋さんでもサービスは無料、といった風潮が根強く残っている印象があるけれど、それならいわゆる大衆チェーン店はどんどんセルフ化、自動化した方がいい気がする。 サービスは無料と思い込んでいる人はそういったお店に行けばいいし、付加価値を理解し、その対価を支払える人はホスピリタティにあふれるお店へ行けばいい。 こん

          銀鮭の塩焼き定食を食べながら考えたこと

          愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

          「AIに仕事を奪われる」と巷でよく言及されるご時世だけれど、18世紀のイギリスで起きた産業革命のときにも同じことはあった。 「機械に仕事を奪われる」と労働者たちが工場の機械を破壊したラッダイト運動と呼ばれるものがそれで、現在は破壊行動こそ起こさないものの、まさに「AIに仕事を・・・」と同じ思考といえる。 そう思うと、いつの時代も世の多くの人が変化を望まないというのは、本能なのかもしれない。また同時に、技術は確実に進化しているけれど人間の脳や思考はそれほど進化しないのかもし

          愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

          セルフ、自動化、無人化

          人材不足の問題は、外食産業に限らず至るところで起きている。 食べもの屋さんの中には以前からスタッフ不足のため、お客さんの人数や営業時間の制限をしているお店もある。また特に地方では、求人を出しても応募がこないといったことも今では珍しくもない。 その窮状は予想以上だけれど、少子化に加えこれほどお店や職業の選択肢が増えた現在では、今や職人さん的なやりがいといったモチベーションやお給料などの待遇面では人材確保も多分困難になった。 そもそも論だけれど、労働人口の減少を考えれば迎える

          セルフ、自動化、無人化

          タブレット メニュー

          少し前のこと。 よく利用するやよい軒さんへ行こうとすると、遠目からも薄暗いことがわかる。 なんと、まさかの改装中で、それもリニューアルオープンまで約1ヶ月もあるという告知が。 あぁぁぁ、銀鮭の塩焼き定食・・・ 仕方がないので、近所のCoCo壱さんに変更することに。 久しぶりに伺うと、知らない間にメニューがタブレットになっていた。 おぉー、なんだか今っぽい。 最近、外食チェーン店ではコレをよく見かけるし、チェーン店のお寿司屋さんではもうデフォルトになった感がある。

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          Winny

          これまで配信はU-NEXTだけだったと思うけれど、ついに数日前からNetflixとPrime Videoでも配信が始まった。 「ゴジラ −1.0」もとても良かったけれど、ぼくが昨年観た映画の中で一番心を揺さぶられた作品は、低予算で制作されたこの「Winny」だった。 こんな理不尽な事件さえなければ、日本が現在のような貧しい国になることはなかったかもしれない、と本当に思う。 金子勇さんという天才が、冤罪によって国家権力に潰されたという事実を風化させないためにも、この事件を映画

          王蟲

          王蟲がいると聞いて、京都市京セラ美術館へ行ってきた。 金曜ロードショーとジブリ展 「金曜ロードショーと」は、要らないなぁ。 シンプルに「ジブリ展」が見たかったな。 まぁ、日本テレビがスタジオジブリを子会社化したから仕方ないんだろうけれど。 ニュースになったときから宮崎駿さんや鈴木敏夫さんの高齢化に伴う後継者問題を思うと、個人的には経営とプレイヤーを分けるのは良い選択だったのでは、と感じていた。 また、そのパートナーが、ジブリ作品を昔から繰り返し放映しここまで支えてきた

          経営本のスゝメ 12.

          お店から特別扱いされることを良しと思う人(それが悪いというわけではない)や自分で常連と言ってしまう人(それはお客さんでなくお店側が感じること、決めることだとぼくは思っている)にはピンとこないかもしれない。 一般的にチェーン店のマニュアルによる接客は往々にしてネガティブな捉えられ方をされることが多いけれど、逆にいえば画一的な接客だからこそお客さんを選ぶといったことがない。それは、お客さんがお金持ちや有名人であろうが一般人や子供であろうと、平等に同じ接客を受けることができるとい

          経営本のスゝメ 11.

          正垣さんの新刊について、の続きになる。 ぼくもこちらで以前に何度か書いているけれど、「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」「万物は流転する」という話も本書の後半に登場する。 今回の著書を拝読し、ぼくの正垣さんに対するイメージは新たに「物理、科学に強いお坊さんのような人」になった。 少し前に天才について書いたけれど、そこで失念していたことがあったので、ここで改めて述べておきたい。 ジャンルを問わず天才に共通していると思うことが、ぼくにはある。 本物の天才は、お金に無頓着

          経営本のスゝメ 10.

          この話は、昨日で最後のつもりだったけれど、奇遇にもこのタイミングで(わずか2ヶ月足らず前)正垣さんの新刊が上梓されたことを知り、早速拝読した。 『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』 そんなわけで、やはり本書のことも綴っておきたい。 改めて述べるまでもなく、素晴らしい内容だった。 3時間ほどで読めると思うので、ご興味のある方は是非こちらも読んでいただきたいと思う。 先述のとおり、かなり以前からぼくは正垣さんを追いかけていたの

          経営本のスゝメ 9.

          この話の最後に、一部ではあるけれどお薦めの経営本を改めてご紹介しておく。 ビジョナリーカンパニー  ジェームズ・C・コリンズ 稲盛和夫の実学 経営と会計  稲盛和夫  生き方  稲盛和夫 おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ  正垣泰彦  『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』※追加しました 正垣 泰彦 サイゼリヤ革命 世界中どこにもない“本物”のレストランチェーン誕生秘話  山口芳生 はじめの一歩を踏み出そ