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「カメコの螺旋から降りる」というお話

 最近不調なんですよ、写真が。
 いやそんなの感じないよっていう人もいるでしょうし、そもそも気にしてないって人もいるでしょう(ホント、自分勝手な愚痴で申し訳ない)。しかし、本人は思ってるんです。最近、不調だ、と。
 その原因は明らかで、ようは迷いがあるんですよね。どういう写真を撮るか、って点において。
 もう少し具体的に言うと、羨ましいんです。他のカメコの写真が。いいなあ、上手いなあ、きれいだなあ、あんなの撮りてえなあ。
 でも、撮れない。撮ろうともがく。だから不調に陥ってしまう、というわけで。
 個人的な持論ですが、いい写真を撮るために必要なものは四つあると思っています。
 それは「腕」「根性」「運」「機材」です。
 僕がカメコとしてのレベルを上げるためには、明らかに「機材」が欠けています。そんなのは分かり切っている。しかし、今の経済状況を考えると、おいそれと高い投資はできない。なので、腕と根性で機材の差を埋めようともがくわけですが、そのバランスの悪さが現在の不調の一番の要因なんですよね。
 実は、長年ずっとRAWではなくJPEGで撮っていました。アイドルに限らずすべての写真を、です。理由の一つは、パソコンのスペック不足でした。が、それはパソコンを買い替えたので解消されました。もう一つは、カメラオタクとして深みにはまらないための己へのストッパーとして、RAWを遠ざけていました。しかし、にっちもさっちもいかない不調の中、自分を変えるきっかけとして、腹くくってRAWに手を出そう、と。

 というわけで、何度かRAWで撮ってみました。結論から言うと、やっぱりこれからもあんまりRAWで撮ることはないです。でも、RAWに手を出してみてよかったです。
 たしかに、RAWは便利です。ライブハウスの暗めの写真も救えるし、あとで色味を好きなように調整できるし。最良の一枚を追い求めるなら、RAW以外選択肢はありません。
 しかし、決定的に不満な点が二つありました。
 ひとつは、レタッチ作業にとても時間がかかること。「最良の一枚」を編集するだけならRAWで問題ないでしょう。しかし僕は普段、たくさんの写真をアップします。そのすべてをRAWで編集するのは、今の生活スタイルでは非常に厳しい。ただこれは、慣れとともに短縮されるとは思いますが……。
 まあ、もう一点のほうが大きいですね。それは、思うようにシャッターが切れないこと、です。データが大きすぎて、どうしてもシャッターが詰まってしまう。押したいタイミングでシャッターが押せないのが、大きなストレスでした。
 ……というように整理をしていて、気づいたわけです。「そもそも自分はどんな写真を撮りたいの?」ということに。
 千年に一度の奇跡の写真を撮りたい気持ちが、ないとは言いません。でも、自分が本当に撮りたいのはそっちじゃないんだな、と。
 僕は、最上に美しい写真を撮りたいわけじゃない。
 僕は、雰囲気が伝わる写真が撮りたいんだ、と。
 ライブの雰囲気、被写体のキャラクター、撮影時の空気感。そういうのを撮るのが好きなんですよ。画質が劣ろうと、微妙にピントがあってなかろうと、雰囲気が伝わる写真なら、それはいろんな人に見てもらいたい。であれば、好きなタイミングでシャッターが切れないのは致命的だし、雰囲気を伝えるためにはたくさんの写真を撮りたいので、一枚一枚に膨大な手間は掛けられない。
 奇跡の一枚、最上の一枚を撮ることを否定する気は一切ありません。人それぞれです。というか、それこそが一眼レフやミラーレスを使う理由でしょ。だって、自分が撮りたいようにアレンジできる点こそ、一眼レフやミラーレスの醍醐味じゃないですか。
 奇跡の一枚を求めてクオリティーを高めるもよし、画質を犠牲にして雰囲気が伝わる写真を撮るもよし、ひたすら推しだけを撮ってもいいし、メンバーの関係性を重視してもいいし。カメラを持つ人それぞれに「撮りたい写真」があって、それを求めることができるっていうのが、一眼レフの良さであるはずです。
 そこがブレてたのが結局、不調の原因だったんだな、と。
 じゃあなんで柄にもなくカメコさんのハイクオリティーな写真を羨んでしまったのか。それはたぶん、プライドなんですよね。
 実はもともとマジパンはカメコには優しくない現場でした。五人時代は撮影機会がほぼなく、四人時代にようやくスマホのみで撮影曲がある、というぐらい。本格的に一眼レフ等での撮影が始まったのが、四人時代の後半から六人時代にかけてでしょう。
 僕はもともと関西在住で、六人時代の始まりの直後に上京しました。なので、カメコデビューもそのころです。当時、いくらかカメコらしき人もちらほらいましたが、今に至るまで継続して撮り続けているのは僕ぐらいではないでしょうか。
 ようは、マジファンカメコ最古参として、プライドがあったわけですよ。後から来たやつに負けねえ、ってプライドが。でも、そのプライドに邪魔されて、撮りたい写真からブレるなんて、馬鹿馬鹿しいじゃないですか。
 最上の一枚のために、最上の機材をそろえ、腕を磨き、幸運を待ち、レタッチに時間をかける。その終わりなき螺旋に身を投じるカメコさんたちを、心からリスペクトしています。その輝かしさに目がくらみ、己も螺旋に身を投じよう、と欲もかきました。
 ですが、僕は、その「カメコの螺旋」からは降ります。最上の写真は目指さない。僕の撮りたい写真はそれではないから。というか、いろんな形があっていいはずだし、そういういろんな形を許容してくれているのが「マジカル・パンチライン」という撮影現場ですから。
 螺旋からは降りますけど、踊り場で、みんなが楽しくなるような写真をたーくさん上げられたらいいなって思ってます。お楽しみに(まずはさっさと沖縄の写真をアップしなさい)。

 別にこんな風にいちいち宣言するものでもないだろ、とも思うのですが、なんとなく自分の中のけじめとして、というか、不調を脱するための手段として、宣言しておこうかな、という記事でした。
 みんな、それぞれ、自分の好きな写真を撮ろうね!(まあでもやっぱりもう少しいいカメラとレンズは欲しいけどね!)


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