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「転売死ね」とヒステリックに言う人たちは思考停止のバカなのではないかと思う

正義とは幸福、自由、美徳の3つの立場から別の理論が成り立つ

昨日、株式会社ZOZOの田端信太郎さんがTwitterでこのようなことを呟いた。

ぼくは転売は誰でも始められるし、経済も学べるし、お小遣いも増えるし、良いことを教えるお父さんだなと素直に思ったのだけれど、やはりというか「転売」という点だけ指して「悪いこと」と決めつける人たちの反応も多かった。

ネット上ではなぜか「転売」という行為に対してヒステリックな反応をするひとが一定数存在する。

ぼくが正月頃に書いてバズった記事、

では、自分が後藤真希のファンの友だちになっていった経緯を事細かく書いた。その中で当時、後藤の全ての活動に対応するために、それまでの仕事を辞めてアフィリエイトや転売をすることでお金と時間を作っていったことなども嘘偽りなく明かした。

そしたら記事のコメントで「今の時代では転売は悪いことなので、そのようなことを書くと後藤さんの印象も悪くなります。この記事を消してください」という見当違いのコメントを残したひとがいたり、Twitterでも似たような「転売とかやってたのか死ね」といったクソリプもたくさんもらった。

そういう人たちに共通するのは、自分が信じている信念や正義といったものが絶対に正しいと思っているところだ。なので、ぼくがこの記事で伝えようとしたい事とはまったく関係ない、単に時間とお金を作るためにしていただけの行為を指して、正義の鉄槌を振りかざす。それで自分は良いことを言った気分でいらっしゃるのだろう。

何を正義とするか。

それはひとの立場によって変わってくる。万人に正しい正義など存在しない。ハーバード大学教授マイケル・サンデル氏の名著「これからの『正義』の話をしよう」の第1章「正しいことをする」で、ちょうど転売に近い便乗値上げの話があがっているので、それを紹介したい。

2004年夏にハリケーン・チャーリーによって甚大な被害を受けたフロリダ。物資の不足から生まれた便乗値上げに対して論争が生まれた。とあるガソリンスタンドでは普段1袋2ドルの氷が10ドルで売られた。また小型の家庭用発電機を通常は250ドルで売っている店が、ここぞとばかりに2000ドルの値段をつけたりしていた。多くのフロリダ住人は物価の高騰に憤り、新聞には「嵐の後でハゲタカがやってきた」という見出しが踊った。フロリダ州司法長官チャーリー・クライストは「ハリケーンの後で困っている人の弱みにつけこもうとする人間の欲深さには、驚きを禁じえない」とし、便乗値上げ禁止法を執行した。
しかし、著名な経済学者や識者たちはその法律や一般市民の怒りは見当違いだと論じた。自由市場を信奉する経済学者のトーマス・ソーウェルは、便乗値上げというのは「感情には強く訴えるかもしれないが経済学的には意味のない表現」とし、「『便乗値上げ』のおかげでフロリダの住民がどれほど助かるか」を説明。氷、ボトル入り飲料水、屋根の修繕代、発電機などが通常よりも高いおかげで、こうした商品やサービスの消費が抑えられるいっぽう、遠隔地の業者にとってハリケーンの後で最も必要とされている商品やサービスを提供するインセンティブが増すことになる。8月の猛暑のさなかの停電で困っているフロリダの住民に、氷が1袋10ドルで売れるとなれば、製氷会社はどんどん増産して出荷するのが得策だと気づくはずだ。こうした価格になんら不公正なところはないと。
また評論家のジェフ・ジャコビーは、「市場でつく価格を請求することは暴利行為ではない。強欲でも恥知らずでもない。それは自由な社会で財やサービスが分配される仕組みなのだ」と発言。物価の急騰に怒る気持ちも理解できるが、一般市民の怒りは自由市場への干渉を正当化するものではない。「害よりもはるかに多くの益をもたらす」というのだ。「売り手を悪者扱いしてもフロリダの復興が早まることはない。売り手には思う存分商売させてやることだ」というのがジャコビーの結論だった。

マイケル・サンデル氏は、便乗値上げ禁止法への賛成論と反対論は3つの理念を中心に展開されているという。それは幸福の最大化、自由の尊重、美徳の促進だ。

この幸福、自由、美徳の3つの立場から別の正義の理論が立つ。どれが正しいというわけではない。エンタメではなく、嵐の傷跡でひとの生死に関わる問題ですら、こういった議論が生まれているところがアメリカらしい。

翻って日本ではそういった議論はほぼされず、美徳の観点だけで正義を押し付けてくるひとが多い。特にネットで正義を振りかざす輩はこの一点だけの思考停止のバカばかりだ。ゆえにそれによって自分自身が不都合や不利益を被ることに考えが及ばない。抽象的な話をしていてもわかりにくいと思うので、とりあえず、転売禁止によって興行型アーティストのファンとアーティスト自身がどういった不利益を被るのか具体的に書いていこうと思う。

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※2019年1月末に投稿したのにも関わらず、その週にもっとも多くスキされたnoteとなりました。「転売」を巡るネット上での議論は大体ヒステリックな感情論での否定で終わっていたので、そこに違う視点を取り入れて語りたかった。反射的な感情論での否定はやがて自分たちの首もしめることになるのだと。そこを汲み取っていただいた方からは「こんな視点もあったのか」「目からうろこでした」といった声を多数頂戴いたしました。ありがとうございます。

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