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【ゲームの話】ゲームマーケット2024春の感想


はじめに

 「ゲームマーケット2024春」に4/28(日)に行ってきました。前回が2022秋だから、一年半ぶりです。

 今回も詳しいレポートを書くつもりはなく、個別のゲームの紹介はしません。
 全体の傾向から、トレンドを知る参考にして頂ければ幸いです。

全体の感想

 全体的には、前回(2022秋)からの差はそれほどないように思いました。
 海外からの出展がやや増えたかな、その分国内は頭打ちなのかなと、個人的には感じます。

 前回特徴的だったジャンルの差分と、新たに感じたトレンドを書いていきます。

前回からの差分

 前回勢いを感じた、「謎解き系」「大喜利系」「正体秘匿系」は、いずれも落ち着いたのかなと感じました。

 背景としては、謎解き、特にマーダーミステリーはジャンルとして確立されて、体力のある企業がコストをかけて大作を出したら、体力のないグループは淘汰されるような気がします。
 アイデアよりもシナリオの完成度が物を言うジャンルなので。

 大喜利系や正体秘匿系(人狼など)はアイデアが生きるジャンルだと思いますが、既存の作品がカバーしていない狭い世界観を狙っていくしかなくなり、そのネタが切れかかっているのかもしれません。

ジャンルごとの感想

 前回、昭和レトロからの連想で「TRPGとゲームブックの復権が興味深い」と書きましたが、今回は明暗が分かれた印象です。

TRPG

 今回、TRPGの元祖「D&D:Dungeons & Dragons」は、デッキ構築系TCGの元祖「MTG:Magic the Gathering」とセットでブースを出していました。

 どちらも根強い人気がある超ロングセラー商品なのですが、もう一つTRPGのロングセラー商品と言えば「CoC:Call of Cthuruh(クトゥルフの呼び声)」です。

 今回は特に情報がないのかと思ったら大きな間違いで、よく見ると多くの同人ブースでCoCの自作シナリオを販売していました。

 独自のTRPGシステムを展開しているところもあり、TRPGがここまで市民権を得ていることに、恥ずかしながら筆者は改めて気づきました。

ゲームブック

 それに対してゲームブックは、それほどの広がりがあるようには見えませんでした。
 KindleやiPhone向けなどの電子版が出せてしまうことで、あえてコストをかけて紙の本では出さないのかもしれません。

 一つだけ、ファンタジー系の古典的なゲームブックを多く出していたブースがあったのですが、それはもともとはTRPGのシナリオで、人数が不足するときにGM(ゲームマスター)とプレイヤーを一人で演じる目的のようです。

 古典的なゲームブックであれば、ネタバレを防ぐ必要があるので、分岐する行き先はあちこちのページに飛びます。
 それに対して、「ソロTRPG」であれば、読者はGMでもあるので全てを知っている。従ってネタバレの心配がなく、分岐は近いページに固めて書いておいて、順にめくっていく方が楽だということですね。

 「作者がGMで読者がプレイヤー」なのか、「読者がGM兼プレイヤー」なのか、その視点の違いは大きいように思いました。

 その中で、こちらのゲームブックシリーズの新作が出たということで、今回購入してみました。

  • 旅するゲームブック(台北)

 パラグラフ数が100で平均分岐数が1.2と少なく、ゲームオーバーもないので、初心者向けです。
 3種類のエンディング全てを見るまで繰り返して、全てのスポットをまわって下さいね、という親切設計です。

旅するゲームブック(台北)

 ゲームブックと呼ぶよりはガイドブックを志向しているようですが、個人的には、ガイドブックを開くきっかけとなる「文章で見る旅番組」のようだと感じました。

 ゲームとしては、例えば所持金の要素を入れればゲーム性は高まりますが、かえって商品構想からは離れてしまうかもしれません。

カードゲーム

  • Hi!story

 個別のブースについては書かないと宣言しましたが、ここだけは例外とします。
 この作品の製作者はnoteで製作過程を書いていて、それを筆者は読んでいたのです。

 その作品が完成して、実際に出店しているところを見られたので、感動しました。

 いろいろ見せてもらって、まず話したのは、「歴史とゲームの両立という点では、ゲームに寄っている気がする」という点でした。

 具体的には、「再現したいテーマがあって、それにふさわしいゲームデザインをしたか」という点が重要。
 やはり歴史への想いを感じたいですからね。

 ただの強い武将どうしの殴り合いでは、「まずゲームありきで、そこにただ有名人を当てはめただけ」に見えてしまうのです。

 そういう意味では、もう一つ話した「武将・軍人だけでなく文化人も登場するか」も、重要だと思います。
 単なる殴り合いではない能力をどう生かすか、ゲームに落とし込むことに時間を使えるか、が問われますので。

 よく聞くと、「坂本竜馬」の固有技「薩長同盟」が発動する条件が設定されていたり、文化人として室町時代の「雪舟」が登場したりしていたので、筆者の考えに近いものはあるような気がしました。

Hi!storyブース

 もう一つ、これは後から気づいたのですが、「中国史の人物がいない」ことは気になりますね。

 もしも、「キングダム」や「三国志」、「モンゴル帝国」などをテーマにする予定があるなら、オッサンの意見を聞いて頂けるかな?(笑)

シミュレーションゲーム

 復権が期待されるジャンルとしては、ほかにもシミュレーションゲームがありますが、こちらは苦戦しているようです。

 サンセットゲームズのブースでは、往年の名作「EP戦国大名」のリメイク版を出展していました。
 やはり、40年前のブームを知っている古株ゲーマーの復帰に期待するしかないようですね。

 ブースにいた同社社長に今後のリメイク予定を聞きましたが、見せてもらったページには、なんとTACTICS誌39号の付録ゲーム「HJ旌旗蔽空せいきへいくう」がありました。

 個人的には、この作品は商用ゲームのクオリティには達していないと思っているので、これをベースにした商用ゲーム「HJ英雄三国志」の方のリメイクをお願いしたい。

 それを同社長に伝えると、「それはもうあって、他のブースで売ってますよ」と言われたのですが、どうやら「EP三国志演義」と勘違いされていたようです(苦笑)

 改めて、「英雄三国志」のリメイクを強く希望します!

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貴重なお時間を使ってお読みいただき、ありがとうございました。有意義な時間と感じて頂けたら嬉しいです。また別の記事を用意してお待ちしたいと思います。