ゼリ沢梨

ゴミ場から蘇った包帯戦士。雨とたい焼きが好き。ブロッコリー嫌い。経験値だけで乗り切るこ…

ゼリ沢梨

ゴミ場から蘇った包帯戦士。雨とたい焼きが好き。ブロッコリー嫌い。経験値だけで乗り切ること、センスだけでねじ伏せること、これはどっちも好き。

最近の記事

早起きしたのに…みんなよってたかって俺をいじめてる。

    • ゼリ営業部。職場でユニットごっこ。

      営業には教科書がない。そんな中で現代の若手を一人前に育てていかなければと、大人達は言う。 馬鹿だなぁ。花が咲くまでに、別の花が咲き方を教えるかい?自然にしてれば嫌でも勝手に咲く。環境だけしっかり整えておけば、後は放っておいても強く美しく咲くから。 そこそこの陽射しと水と肥料、後は時々気にかける程度。そんな環境を意識するのがゼリ営業部。 「これ読んで勉強してね」 「え、何も見えないよ?宗教なの?」 眼に見えない教科書を渡そうとすれば誰だって戸惑う。見えないんだから。馬鹿

      • タクトト

        ノート。 君がまだ3歳の頃、かかは君を連れて家を出た。場所は知らされなかった。 その場所に君のおもちゃはあるのか? それが真っ先に気になった。家には君のおもちゃが散らかったままだった。 その1週間後、ファミレスで君と会える可能性があると告げられる。 僕は古本屋に走り、君が好きな乗り物やキャラクター、動物の本をたくさん買った。その絵をハサミで切り取って、のりで貼り付けて1つのノートを作り始める。大きくなくて持ち運びができれば捨てられることもないし、君が持っていることも

        • 二の人

          白市「もしもし?」 凡内「はいはい、どうしたの?」 白市「落ち込んでるの?」 凡内「落ち込んで…ないよ」 白市「落ち込んでるじゃん!」 凡内「うるさいなぁ…どうしたの?」 白市「妬いてるの?」 凡内「何に?」 白市「私さ、同窓会に行っても浮気なんかしないよ?」 凡内「うん…わかってるよ」 白市「ほら、凡内」 凡内「何?」 (ガサガサガサガサ…) 凡内「何?なんか雑音が…」 白市「落ち着いた?」 凡内「いや…何が?」 白市「赤ちゃんってね、スーパ

        早起きしたのに…みんなよってたかって俺をいじめてる。

          君と文通する『共依存』

          眠った僕がいる空間に、君がいる。 君が生きていて、 隣で本を読んだり時々歌ったり。 生きていることを、眠った僕に伝えてくれる。 眠った僕の、近くにいてくれる。 その鼓動が愛しい。 誰も気にせず、 この二人がいつまでもこの二人で、 二人だけの世界を展開していく。 不安定な心を互いに持ち寄せ、共存したい。 手に取るように見せられるはずだから。 わかるはずだから。二人は。 お菓子の袋を開ける音、お菓子を噛む音。 今は離れているけど、また聞かせてほしい。 あのね、

          君と文通する『共依存』

          人の形⑥

          天井を見ていた。見ていることにようやく気づいた。ずっと何もしていないことには、まだ気づいていない。 どうして体が起こせない…。 部屋には彼女がいないのに、どこかで香水の匂いがした。部屋全体に染みついているのは甘くて変なお香の匂いなのに、今は香水の匂いを感じた。 この枕か? そう思った瞬間に枕を足元目掛けて投げた。するとタバコの匂いがして気持ち悪くなる。彼女を今は思い出したくない。 電球すら眩しくて、左手で影を作った。 欲望の果ての匂いが染みついている。それは左手だ

          お前は俺か!

          お前は俺か!

          見つけた!

          見つけた!

          いつかまた豪遊しようファミレスで 苦楽を共に青春の数

          いつかまた豪遊しようファミレスで 苦楽を共に青春の数

          バーサーカー。

          昨日の晩、お風呂で鏡を見たら鼻毛がまぁまぁ伸びていた。 春だからかな…? なんて思った。量的に抜くのもなかなから痛そうで、後で切ることにしても、それを忘れてしまったらどうしようと不安になるくらい飛び出ていたので、普段ヒゲを剃っているT字カミソリでなんとかしようとした。 そしたら、血だらけになった。 たくさん寝たのに、寝た後の方が目のクマがひどくなっていた。 僕の可愛い商売道具が傷だらけだ。 目の下のクマ、血だらけの鼻、破れたトランクス。今日の僕は部族だった。後は槍

          バーサーカー。

          人の形⑤

          久しぶりに実家に帰って、彼女にもらった手土産をまるで自分が買ってきたかのように渡す。適当に嘘つきながら母と話していると、すぐに見破られていることに気づいた。 それでも母は追求することもなく、黙って僕の話を聞いていた。なにに驚いたかというと、手土産の色鮮やかな綺麗な餃子に、母も彼女と同じようにポン酢を乱暴にドボドボとかけた。 「餃子ってさ、ポン酢ってさ、そうじゃないよね?」 「食べたら一緒よ。あ、何これ美味しい…」 くだらない話で盛り上がって数時間後、再び実家を出る時に

          人の形④

          彼女の家に住むようになって数日が経った。彼女は僕に諭吉を数枚渡して仕事に行く。僕はその間、パチンコとゲーセンとラーメン屋、そして銭湯でゆっくりしてから彼女の家に戻り、ゴロゴロしながら詩を考えたりゲームをしたりしていた。 僕の心は諭吉に縛られていた。 彼女は仕事を終えると百貨店で食べる物を買って帰ってくる。飼い犬のように尻尾を振って出迎えた僕はその餌に食らいつく。 「いつもどこで髪の毛を切ってるの?」 「子供の頃から行ってる地元の床屋さんです」 「だからださいのね。美

          サクラ

          君は相変わらず元気で明るい男の子だった 本当に僕の子なのかと疑いそうになるくらい 大きな声で笑う明るい男の子だった 両親から与えられた理不尽なストレスが 今後どのような形で出てしまうのか 非行や登校拒否、引きこもり いつ何が起きても不思議ではないくらい 一人では考えきれないものを与えている 最近の面会交流では そんなことを気にしながら君の顔を見ている 君が今後どうなっても それはどんなことでも悪いことではないから いつでも近くにいる存在でいたいと思う 「寂しがりの父

          気持ち良く起こそうと、寝癖を直そうと、今日1日を見守ろうと、雨がまた会いに来てくれた。 きっと今日も最高の1日になる。 ね。

          気持ち良く起こそうと、寝癖を直そうと、今日1日を見守ろうと、雨がまた会いに来てくれた。 きっと今日も最高の1日になる。 ね。

          久々に会った息子の髪型が奇抜なツーブロックになっていた。履いているジーンズはダメージとかそういうレベルじゃない。 完全に不良になってる…。 実家に来て食事をいただく。 奇抜ちゃんの父親は相変わらず「鼻かみなさい」と母にティッシュを手渡しされている。

          久々に会った息子の髪型が奇抜なツーブロックになっていた。履いているジーンズはダメージとかそういうレベルじゃない。 完全に不良になってる…。 実家に来て食事をいただく。 奇抜ちゃんの父親は相変わらず「鼻かみなさい」と母にティッシュを手渡しされている。

          人の形③

          彼女の部屋でおにぎりを食べていた。彼女は缶ビールを開けて一気飲みし、2本目を少しだけ飲むとタバコに火をつけた。 テーブルの上には今まで見たことがない鮮やかな色と綺麗な形をした餃子が置かれて、彼女はそんな上品な餃子の上にポン酢をドボドボとかけた。 「私がどんな仕事をしてると思う?」 「何歳なんですか?」 「34。もう質問返しは無し。答えて」 香水臭くて化粧が濃くて、派手な赤いコートを着ていた。僕の好きなタイプではないけど、顔も美人な方だと思う。そして高級マンション。お