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「デジモンカードゲーム」の(スタートデッキを遊んでみての)感想

 以下の文章は全て個人的な見解です。権利者の方々による指摘や、個人的な気付きによって、予告なく変更・削除する可能性があります。
 また、視界が狭い人間なので、色々とご指摘いただければ幸いです。




前提

  • 比較的新しい方のデジモンカードゲームを指している。
    (確証が得られる情報が集められなかったのだが、古い方は「デジタルモンスターカードゲーム」で、新しい方は「デジモンカードゲーム」であるように思えるのだが、それで合っているのだろうか?)

  • スタートデッキのいくつかの組み合わせで遊び、いくつかのプレイ動画を観た上でのゲームシステムに対する感想になる。

  • あくまで、スタートデッキを遊んでみてのコアルールに対する内容であり、実際の競技環境、あるいは、最新の環境とは異なる可能性がある。
    (TCGはカードプールや各カードのデザインによって、システム的な特徴を大きく変えることも可能である)

  • 概念が同じ場合、「マジック:ザ・ギャザリング」や「デュエルマスターズ」の用語を使用して説明することがある。(筆者が慣れているため)



感想

コストシステムが特徴的なデュエマ系のTCG

 比較的最近新生したデジモンをテーマしたカードゲームだ。

 国産のTCGの構造は、いくつかの系統に分類されると個人的に考えているのだが、「デジモンカードゲーム」は大きく分けて、「デュエルマスターズ」の系譜を継ぐと考えてもよいだろう。マナ、色、シールド、タップ、ブロッカー、戦闘、パワーと言った基本的なシステム(もちろん、名称は異なるがメカニクス)が共通している。これは本作だけでなく、多くのTCGで採用し続けられているシステムだ。

 本作において、最も特徴的な実装と言えるのは、コストのシステムだ。

 コストは2人のプレイヤーで共有していて、自身がそれを使用していった結果として、マイナスになった場合、すぐに相手のターンになり、そのままの値をマナとして持つ、という形になる。

 つまり、たとえば、自身が2マナの行動をした場合、相手は2マナでターンを開始する。ここで、1マナを使った後に、2マナ(計3マナ)を使うと、すぐに相手のターンになり、1マナの状態で始まる、という形だ。

 綱引きのような形でマナを使っていく。

 デジモンの他にも、テイマーというエンチャントのような戦闘に関与しないカードがあり、これが一種のマナ加速(特定の条件でマナを得られたりする)ができることが多いために、マナの動きが激しくなることはあるのだが、基本的にはこのような形で行き来するシステムとなっている。

 勝敗は、「デュエルマスターズ」と同じく、シールドがすべて破壊された状態で、本体を攻撃されたら負け、という形になっている。



進化を重要視したシステム

 デジモンをテーマにしているということもあり、進化のシステムが基盤に存在している。

 まず、デジモンカードは普通に出すこともできるが、色やレベルといった条件が合っていれば、デジモンの上に重ねて出すことで、進化することができる。この場合、コストが大幅に軽減される(素出しで3マナが進化で0マナなど)他、1ドローまで付いてくる。また、進化元の効果のうち、0~1つの効果が進化後に引き継がれることになる。(制限付きの『変容』のようなイメージだ)

 よって、かなり進化が重要になっている。

 「ポケモンカードゲーム」と比べると、進化の回数がかなり多くなる(ポケモンは基本的に3段階の進化だが、デジモンは究極体まであることを考えるとさらに段階が多い)が、その分条件が緩く、色々なルートがある感じだ。また、ポケモンはその進化をスムーズにさせるためにTCGとしては破格なほどサーチが多いTCGとなっているが、本作はそこまでではないものの、デッキの上からX枚見て、特定のカードを手札に入れるタイプの制限サーチがよくあることでバランスを取っている形になっている。

 また、デジモンを除去する方法もかなり限られていて、それほど豊富ではない印象だ。(ただ、これは最新の競技環境などでは異なるかもしれない)

 加えて、育成エリアと呼ばれる箇所がある。ここはデジモンが呪禁を持つ代わりに、どんな効果も与えられないし、攻撃もブロックもできない、というような場所になっている。(つまり、一般的な戦場と隔絶されている)

 ここにはデジタマカードという特殊なカードを置くことができる(専用のエキストラデッキから公開される形になる)が、それを進化させていき、ターン開始時に場に出すこともできる。このメカニクスによって、進化が十分でないデジモンをやられてしまうリスクを下げることができる。

 総じて、進化と言うシステムを重視しており、これを中心にしてゲームが展開するように設計されている印象だ。



コストシステムと手札

 上述したように、進化によって1ドローができる。つまり、進化をしている分には、手札が減らない。

 また、コストシステムの関係で比較的頻繁にターンが切り替わり、そのたびに1ドローができる。

 その結果として、他のTCGからは羨まれるほどに手札は多くなる。

 基本的には上限はなく(そのはず……)、かなり溜まっていく。

 しかし、本作のコストシステムがある以上、そこがボトルネックとなり、手札がある、というリソース量が効いてくることはないと感じられ、単純に選択肢が多くなる、という利点が大きい。

 「EPIC CARD GAME」も基本的には1ターンに1枚しかカードがプレイできないために、このような状況になりやすかった。

 やはり、手札の枚数が少ない、ということは選択肢が少ない、ということであり、その状態で敗北するのは、ストレスが大きい、ということなのだろう。最近のTCGは手札が多かったり、ドローが多いことが多いと感じる。



シールドトリガー

 本作のシールドトリガーの仕組みはシンプルながらによく出来ている。

 本作のようなシールド制を採用した場合、問題となりやすいのは、ウィニー系の速攻デッキだ。シールドは基本的に攻撃回数が問題になるので、クリーチャー破壊のしやすさにもよるのだが、低コストクリーチャーを連打して、どんどん攻撃していく、という形が強くなりやすいと感じる。(もちろん、それゆえに多くのTCGはそれに対策をしている)

 この抑制の仕方の一つとして、シールドトリガーのシステムをどのように使うか、ということがある。

 稀に見るのは、ある種類のカードにシールドトリガーを付け、それらをデッキの半分とか、3分の1とか、そういう割合になるように入れる、というようなメカニクスだ。

 だが、率直に言ってしまえば、その様なメカニクスはあまり優れていると感じられない。デッキ構築に制限を入れるのはなるべく避けるべきだ。

 単純に構築がどんどん面倒になっていくし、大会などでも確認や、イカサマの問題など、利点よりも欠点が目立つ、と考えている。

 本作に置いては、ソーサリーやエンチャントは、基本的にはそれをプレイするのに近い効果を発揮する、というようなシールドトリガーを持っていて、クリーチャーの場合、そのパワーより低いクリーチャーが攻撃してきた場合に、そのクリーチャーを倒す、というルールを採用している。

 つまり、低コストのクリーチャーで攻撃した場合、シールドから高コストのクリーチャーが捲れると、そのクリーチャーが破壊されることになるのだ。(この時、シールドから捲れたクリーチャーは召喚されるわけではなく、単に破壊のチェックだけに使用され、どちらにせよ墓地に行く)

 これはシンプルながらに、低コストのウィニー戦略をある程度防いでおり、進化の価値も高めている良い実装だと感じた。

 墓地に行くにも「デュエルマスターズ」よりも良い仕様だと感じる。

 「デュエルマスターズ」のように手札に行く場合、(もちろん、他のシステムにもよるのだが)それがアドバンテージとなってしまいやすい。結果として中途半端に攻撃すると、返しで負ける、ということが多くなり、攻撃しにくくなった結果、ゲームが長期化する可能性も高くなる。

 シールドトリガー(やそれに類する効果、攻撃クリーチャーの破壊など)が発生する可能性は高いが、それ自体は墓地に行く、というような形の方が適していることが多いのではないか、と感じた。(本作の場合は、前述したコストシステムとの兼ね合いもあるだろうが)



接死と道連れ

 「マジック:ザ・ギャザリング」においては接死と呼ばれる効果の名称が本作では道連れとなっていて、面白いと感じた。

 もちろん、厳密には効果が異なる(「マジック:ザ・ギャザリング」は複数体によるブロックやトランプルなどが存在する関係もある)のだが、基本的には、低パワーでも、高タフネスのクリーチャーを破壊できる、というのは同じである。

 「ハースストーン」でも猛毒と呼ばれているように、「マジック:ザ・ギャザリング」系統のゲームでは、そういった攻撃する側の能力によって、少しの傷でも致命傷になっている、というフレーバーである。

 一方、本作では『一方的に倒された時に、相手も道連れにする』というフレーバーになっており、ゲーム処理的には同じことなのだが、少し視点が異なるというか、意味付けやゲームの処理文が異なっていて、面白いと感じられた。

 参考にしたTCGに似たような効果が採用されている場合、フレーバーなども似たものにしてしまうことが多いと思うが、一歩踏みとどまって、視点を変えて検討してみることによって、より作品に適した説明、フレーバー、処理文にできるかもしれない。



ランダム性のある詰め将棋的なプレイ感

 実際に、全国大会の様子などを観てみたのだが、思ったよりも展開が遅く、時間のかかるゲームである、と感じられた。

 おそらくなのだが、次第に手札が増えていき、選択肢が増える中で、相手の妨害手段は限られていて、一方でシールドの中身など、(ある程度推測できる)ランダム性もいくつか存在するために、それらのパターンをすべて検討して行動するのに、かなりのコストがかかるのではないか、と感じた。

 相手のターンに干渉できるようにするルール、というのは複雑性を一気に上げることから、近年はそれをある程度制限することが多い。というか、干渉度合いが高い「マジック:ザ・ギャザリング」が例外的で、他は(それと比べると)かなり制限されていることが多い。

 このような方針は「ハースストーン」のようなDCGでも基本的には引き継がれていると感じる。

 しかし、それゆえに、特に終盤は、ランダム性のあるリーサルパズルを解くようなゲームになることも多く、逆に手軽さがなかったり、時間がかかってしまったり、と言うような側面もあるのではないか。

 これから、いくつかのTCGをまとめてプレイする期間を設けるつもりなので、それらと比較し、それぞれのTCGがどのような立ち位置にあるのかを把握していきたい、と考えている。

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